配信日時 2022/12/15 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (391)】神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(28)    渡邉陽子(ライター)

こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第391号です。

1212に渡邉さんが出演(3回目)された
ニッポン放送ラジオ
「私の正論」(毎週月曜1810-1820)
聞きました?

自分はラジコで聞きましたよ。
こんかいは女性自衛官に関するお話でした。
「アンドレ」さんのはなし、実に興味深いものでした。
現在渡邉さんは、月刊正論で「われらの女性自衛官」を連載中です。

渡邉さんの出演は全4回。
残り1回です。

ぜひお聞きください。
https://podcast.1242.com/show/seiron/

※サイトでも聞けるようにしています。
https://okigunnji.com/watanabe/


次回放送(最終回)は一週空けて12月26日(月)です。

ニッポン放送ラジオ
「私の正論」(ゲスト:渡邉陽子(ライター))
(毎週月曜1810-1820)
https://podcast.1242.com/show/seiron/


では今日の記事、
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
の28話目。

火箱さんが、真っ青になりました。

早速ご覧ください。


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (391)』

 神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(28)

  渡邉陽子(ライター)

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こんばんは。渡邉陽子です。
先週末に目の手術をしたため(日帰りで終わる簡単なものです)、
PCの画面が見づらく、土日は仕事になりませんでした。視線をあ
ちこちに動かしている状態だと大丈夫なのですが、じっと見つめる
などあまり目に動きがないと、どんどんかすんでしまうのです。今
日は多少ましになりましたが、それでも目の違和感もあって、仕事
がはかどらないったらありません。困りました。救いは日々回復す
るだけで、これ以上ひどくはならないということです。しかし締め
切りは待ってくれず困りました(しつこくてすみません!)。


<ラジオ出演のご案内>
毎週月曜、1810~1820に放送されているニッポン放送「私の正論」
に、11月28日から4週連続(12月19日を除く)で出演します。自衛
隊のことなどお話させていただきます。次回、12月5日は、自衛隊
に興味を持ったきっかけなどをお話します。
私の正論 https://www.1242.com/seiron/
https://podcast.1242.com/show/seiron/


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■神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(28)

先週に続き、火箱氏の陸幕広報時代、どんより時期の続きからです。

仕事も悲しいほどわけがわからなかった。
電話がかかってきて「陸幕広報です」と出ることはできても、そこ
から先はなにを言われてもまるで対応できない。勝手なことを答え
るわけにはいかないが、みんな忙しそうに仕事をしていて、そのつ
ど電話を替わってもらうのも心苦しかった。
そもそも新聞や雑誌、テレビ番組がどのようにつくられているのか
もまったく知らない。そんなこと、考えたこともなかった。しかし
「敵を知れ」ではないが、報道担当として対峙する相手の仕事を理
解していなければ、自分の仕事をこなすことはできないと考え、記
者の行くところにはあちこち同行して必死に聞き取り勉強した。

また、報道担当A(新聞社などに対応)の先輩は電通で研修を経験
してきた「陸幕広報の王道スタンダード」だったので、その先輩に
もくっついてことあるごとに質問し、ほとんどOJTで教えてもら
った。火箱は今でも先輩に心から感謝している。

記者が夜遅くまで広報室にいるときは、酒を作って一緒に乾きもの
をつまみながら雑談を交わし、その中から色々学んだ。「夕飯食い
に行こう」と誘われ、記者と夜中に不健康な食事をしながら、マス
コミの重要性やメディアの役割などを徐々に覚えていった。
終電がなくなり広報室のソファで朝まで仮眠することもたびたびだ
った。「野営訓練より寝心地がよくていいや」と思うようにしてい
た。
必死に学ぶ毎日だったが、着任早々、火箱はなんと陸幕長まで巻き
込むほどのとんでもない大失敗をおかしてしまった。

当時は募集難で、人材確保に募集担当が四苦八苦していることは火
箱も知っていた。その折、従来の自衛官募集のポスターとは毛色の
異なる新しいイメージのポスターができ上がった。「自衛官募集!」
とこてこてに押し出すのではなく、「自衛隊はあなたをお待ちし
ています」的な、イメージ重視のポスターができたのだ。当時はそ
ういうイメージポスターが流行っていた。

このポスターについて、ある記者が「防衛庁の募集ポスターがイメ
ージチェンジした」という旨の小さな記事を書いた。
するとその記事を見たのか定かでないが、写真週刊誌の女性記者が
やってきて、そのポスターを貸してもらえないかと言う。聞けば
「自衛隊もこういった新しいタイプのポスターを作成している」と
いうことで、東京地連の募集担当者がポスターを貼っているシーン
を撮影したいのだという。
このポスターをPRすることで、募集に少しは貢献できるかもしれ
ない。しかも写真週刊誌の発行部数はかなりの数だし、銀行や床屋
に置かれたら1冊が多くの人に読まれることになる。そう考えた火
箱は、東京地連の快諾も得て、記者にポスターを貸した。
火箱にとっては報道担当としてほとんど初仕事に近く、広報らしい
ことができたと満足していた。

ところがである。ほどなくしてその女性記者から連絡があった。記
事の内容が変わったと言うのである。
「自衛隊のようなイメージ重視のポスターを、同じ時期に日教組も
作成していました。そこで自衛隊と日教組のポスターを並べて掲載
する記事になります」
「日教組!?」
とんでもない話である。そんな記事にするとわかっていたら、決し
てポスターを貸し出したりしていない。女性記者とはいえ、火箱は
相手が涙ぐむほど激しく抗議した。
「そんな記事承諾していない!」
「もう輪転機が回り印刷にかかっているので間に合いません」
火箱の顔から血の気が引いた。



(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年 https://amzn.to/3ar7IBq
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