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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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おはようございます。エンリケです。
「陸軍工兵から施設科へ」第63回です。
記事を拝読しながら、
「いまの時代は、後世からどういう形で振り返られ
るのだろう?」
という思いを抱きました。
きょうもさっそくご覧ください
エンリケ
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陸軍工兵から施設科へ(63)
安保闘争(1960年)の後のこと
荒木 肇
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□さまざまな言説
いよいよGDP2%程度というNATO国並の軍
事費の負担を行なうという路線が固まり始めました。
とはいいながら、さまざまな観測気球が挙げられて
います。陸自の定員を2000人減らし、海空へそ
の枠を回すとかいう話も出ました。何よりびっくり
したのは、航空自衛隊が航空宇宙自衛隊となるとか。
財源はどうするのかとかいろいろです。そこでこ
んなにも情報が溢れかえっているなか、自分で、自
分の意見をもつということがとても大切になってき
ました。今日も、わたしも体験した、あの国民的運
動だったといわれる60年安保闘争のことをふり返
ってみます。
▼石坂洋次郎は何を書いていたか
「青い山脈」とか「若い人」という小説や映画を
ご存知でしょうか? わたしはテレビ少年でしたか
ら、これらの映画とはみなテレビで出会いました。
ただし映画館に行って観てはいません。わたしより
年長の方々は映画館で楽しまれていたのでしょう。
これらのベストセラーを書いた人は1900(明治
33)年に青森県弘前市に生まれた慶応義塾大学文
学部を卒業した高等女学校の国語の先生です。亡く
なったのは86(昭和61)年ですから、わたしが
30代半ばまでお元気だったのでしょう。
地方の古い因習や封建的な人間関係を否定して、
戦後のデモクラシーを明るく描いた流行作家でした。
若い頃の石原裕次郎さんも「日活」映画の中で石
坂洋次郎原作の戦後民主主義を広報する作品によく
出ていたのです。
では、この安保闘争の頃、石坂氏はどんなものを
書いていたのか。友人の中に教えてくれる人がいま
した。それは1960年9月から翌年3月まで「週
刊読売」に連載されていた「あいつと私」です。時
制を見れば分かるように、この小説は安保闘争が大
きな花火のように打ちあがり、急にしぼんだ頃に多
くの人に読まれたのです。さらには映画化されて6
1年9月には主演が石原裕次郎さん、そして相手役
は芦川いづみさんでした。
▼デモを眺めて
慶応大学の男女5人の学生がいました。アメリカ
製のビュイックという乗用車に乗った5人は郊外の
高級住宅地である自由が丘から、お濠端の東京会館
に出かけようとしていました。友達の女子学生の毛
結婚式に出るためです。
その慶応の女子学生は婚約者が海外赴任をすること
になり、同行するために大学を中退し結婚する。そ
の結婚式に参加する、当時としては中流階層のきら
びやかな人たちでした。同年齢の大学進学率はよう
やく25%ほどになりましたが、自由が丘に家があ
り慶応大学に在籍しアメ車に乗る若者たちです。
映画の中でドライバーを務めていたのは石原裕次郎
さんでした。車は赤坂の溜池交差点で国会に向かう
デモ隊に前をさえぎられてしまいます。女子学生は
デモをする同年代の男女を見て反射的に劣等感を感
じました。政治的な目的のために団結して行動する、
そういった人たちに比べて豊かな暮らしを送る自
分たちはどうなのだろう。
ところがドライバーの学生は言うのです。なんて日
本人の体格は貧弱なのだろう、力強さが全くない。
それを聞いて女子学生は、痩せて、背が低く、眼鏡
をかけた多くの学生がいたましくなりました。さら
に女子学生のデモ隊がやってきます。これがまた男
子と比べてもさらに貧弱な体型をしています。
▼しゃくにさわるから行く
東京会館で華やかな披露宴は終わります。すると
石原さんも芦川さんもデモに加わることにしました。
「自分は政治オンチだけど議会の通し方が癪にさ
わるから行く。みんながみんなきちんとした認識で
行っているわけじゃない」と石原さんは言うのです。
裕次郎さんは、当時、育ちはいいけど事情を背負
っていた若者をよく演じました。頭がいい、格好い
い、ただし上っ面な正義感は振りまわさない・・・
そんな役が得意でした。この映画でも、地方出身の
真面目な同級生から「生きる理想は持っていないの
か?」と問われます。すると彼は答えたのです。
「ないよ、そんなもの。俺は毎日その日、その日
の欲望に従って生きてゆく。社会主義者以外はみん
なそうだよ。いや、社会主義者の中にだって、とっ
くに理想を見失っている連中が多いんじゃないか」
「政府や官僚が愚鈍かも知れない、しかし、外国
と比べれば十分ましなレベルにあるし、日本という
国の枠組みはしっかりしている・・・」と裕次郎さ
んは語ります。
DVDの映画で確認すると、芦川いずみさんのお
母さんは言いました。デモに参加してから帰るとい
う彼女に「女はそんなことに関わらなくていいのよ」。
その後ろにいる高校生の妹は受話器に言います。
「お姉さん、がんばれえ。私も行きたいわ」。そ
れが吉永小百合さんでした。
▼挫折ムード
ちっとも変わらなかった・・・熱心に運動した学
生たちは「挫折」しました。のちの言葉で言えば「
心が折れた」のでしょうか。いいや、わたしはちょ
っと年長の彼らを見て、そうは思いませんでした。
ナショナリズムを発散したあとの虚脱感だったので
はないかと思えます。あるいは大学生は憂国の資格
を持っていると自負していたのが、異常な進学率の
増加があって、自分たちがエリートではなくなった
という失意もあったのではないでしょうか。
次回は経済のことを思い出したいと考えています。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
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ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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