配信日時 2022/12/05 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(198)】 「衣替えができない」自衛官!?──ウクライナに 防寒服提供

198回目の美佐日記。

桜林さんの新番組がYoutubeで始まっています。
くわしくは<おしらせ>でどうぞ!


自衛隊にかかわる、

知られざる「深刻な問題」

が描き出されています。

さっそくご覧ください


エンリケ


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くわしくは文末<おしらせ>でどうぞ。

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自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
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桜林美佐の「美佐日記」(198)

「衣替えができない」自衛官!?──ウクライナに
防寒服提供


桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年12月の今
回は198回目となります。

師走になってしまいました。仕事や日々の生活に追
われていると、前の日の延長が次の日、みたいにな
ってしまいますので、寝る前の数分でも1日をじっ
くり振り返ったり、感謝の思いに集中する時間を持
ちたいと思う今日この頃です。

 冬を迎える中、ウクライナではロシアによる電力
インフラを狙った攻撃により高電圧送電施設などの
70%ほどが損傷したといいます。多くの市民が停
電を強いられるという、厳しい状況です。

 極寒の地で暖房が使えない冬を迎えている人々が
いるのかと思うと。うかつに「寒い」などと言って
は不謹慎な気もしてしまいます。

 「明治天皇と日露大戦争」の映画では、天皇陛下
が「兵たちは衣替えなどできない」と
真夏に冬服で過ごされたり、兵と同じ粗食にされた
様子が描かれていたと記憶しています(細部が間違
っていたらごめんなさい)。

 また、乃木大将も開戦以来、ほとんど睡眠をとら
ず、極寒の中でも暖房を使わず、兵士たちと同じ物
を食べていたといいます。

 こうしたことは全て過去の歴史の中の話だと思っ
ていました。今はこんなことはないだろうと。しか
し、そうではありません。

世界がどんなに便利になっても、インフラを破壊さ
れれば私たちは瞬く間に過去の時代に舞い戻ること
になります。

 東日本大震災の直後、宮城県に行き、ガスも電気
もおぼつかない中、大渋滞の道路を延々と進み、遠
くにほのかに吉野家の明かりが見えた時に、不覚に
も涙が出そうになったことを思えています。まさか
、このようなことになるとは思いませんでしたし、
当たり前のことではなかったのだと思ったものでし
た。

 むしろ、便利になり満たされた暮らしに慣れてい
るほど辛さが際立つことになります。もう少し言う
と、日本人は何か辛いことがあると「罰が当たった
」といった感覚に陥りがちな気がしますが、欧米人
は概して受け止めがちょっと違うかもしれません。
これは宗教的な感性の違いではないかと思います。
 
いずれにせよロシアによるこうしたインフラ攻撃は
多くの民間人の生命を奪うことにもなり、許されざ
ることだと思います。

 一方、そうした中、全く気付かれていないことだ
と思われますが、自衛隊も今「寒い冬」を迎えよう
としています。

 実はウクライナに防寒服を提供した自衛隊では、
自分の着る分がない隊員さんがいるのです。

そんなバカな!と思われるかもしれませんが、ウク
ライナへの物資は「不用品」として出していますの
で、後で補正予算等がつかないのです。

 今年配付するはずだったものはウクライナに渡し
てしまったため、段々と現場では「寒い」という声
があがってきているとのこと(そりゃそうです!)


この「装備移転」が決まった時は、まさに自分が着
ようとしていたものだっただけに、すでに名札をつ
ける準備をしていた頃だったようですが、その部分
を皆さん夜を徹して剥がして差し出したようです。
なんという真面目すぎることを・・・。

 とはいえ、もし増産しようということになっても
、実際にはもう日本の関連企業にはそれができませ
ん。

設備も人員も、長年の極めて限定的で不安定な受注
により縮小されてしまっているからです。

 私たちも多くが輸入の服を着ていて、もはや「国
産」にこだわるのは制服ぐらいだと考えられます。

それも、自衛隊などの特別なところのみ。確か以前
は危機管理上、航空会社の客室乗務員などの制服も
国産にこだわっていると聞いたことはありますが。

 国内需要がほとんどないのに、いきなり大量に増
産して欲しいと言っても無理なのです。10年先、
それ以上まで受注が約束されていれば設備投資もで
きるでしょうが、一時的にであればやはり難しい。

 今、巷で言われている喫緊に必要な装備は、スタ
ンド・オフ・ミサイルであったり、ドローンなど無
人機であったり、色々ありますが、着る物なんて重
要ではないと思われたら大間違い。

「衣替えができない兵」のために自ら辛抱された明
治天皇の時代が再来することになりますし、有事に
制服が足りずジャージなんかを来て戦うことになり
ます。

 これが、世界第3位の経済大国であるという日本
の実態です。これこそ「防衛生産・技術基盤」のテ
ーマなのではないかと私は思います。

 被服のような、民生品との差が理解されにくいも
のは、競争性を持たせることが必要と考えられてい
ますので、むしろこうした物品のほうが他の特殊な
装備品よりも基盤維持が難しいとも言えるのです。
 
 今日も最後まで読んで下さりありがとうございま
す!どうぞ良い1週間をお過ごし下さい!


<おしらせ>

●オープニング動画に全力が傾けられていると評判
の(!?)YouTube企画『Boei Cafe』がアップデー
トされました。今回は元国家安全保障局次長の兼
原信克さんです。4回シリーズで、毎週月曜の朝に
アップされるようです。
前回の、内閣官房参与で安倍元首相のスピーチライ
ター谷口智彦さんの4回シリーズも引き続きどうぞ
よろしくお願いします。
https://www.youtube.com/channel/UCzO7HYpVqnrnCAdlaq7bRwg


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る日本の防衛産業』(産経NF文庫)発売中です。
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)




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