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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
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こんばんは、エンリケです。
本連載のアーカイブサイトができました。
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過去記事をすべて格納してますので、
ブックマークに入れ、折に触れ読んでみてください。
宗像さんの「嗅覚」に強く共感しています。
「嗅覚」へのアプローチについても参考になります。
読みながら、
思うことがいろいろあふれてきて止まりません。
さっそくどうぞ
エンリケ
◆本連載のバックナンバーはこちらで
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我が国の未来を見通す(46)
「気候変動・エネルギー問題」(11)
「『地球温暖化』と対極にある考え方」(3)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
「国連気候変動枠組み条約」の第27回締約国会議
(COP27)が11月6日、エジプト東部シャル
ムエルシェイクで開幕しました。会期は18日まで
のようです。シャルムエルシェイクはシナイ半島の
最南端にあるリゾート地で、ここでの開催は警備が
しやすいということもあるのでしょう。
すでに紹介しましたように、つい先日、国連環境計
画(UNEP)が「各国が現在掲げる温室効果ガス
排出量の削減目標を達成しても、今世紀末までに世
界の平均気温は産業革命前から約2.5℃上昇する。
『1.5℃上昇』に抑えるという目標は達成でき
ないため、各国のさらなる削減努力が必要だ」と発
表したばかりですので、COP27では、そのため
の排出削減加速が焦点になると報道されています。
また今回は途上国が多いアフリカで開かれるため、
先進国による途上国への資金支援をめぐり、激し
い攻防がすでに始まっているようです。前回のグラ
スゴーで注目を集めた「損失と損害」(ロス&ダメ
ージ)が争点のようですが、その背景に、途上国側
には「これまで先進国が温室効果ガスを大量に排出
しながら開発してきたことが温暖化を招いた」との
認識が強いことがあるのでしょう。
一方、ロシアのウクライナ侵略で国際社会の分断
が深まるなか、地球規模の課題に向けて各国が協調
できるかが焦点となっていることに加え、ウクライ
ナ侵略に起因するエネルギー不安から、CO2排出
量の多い石炭火力発電に回帰する国が相次いでおり、
各国の合意のとりまとめはかなり難航しそうです。
COP27については、しばらく注目しつつ、会
議の結果や課題が判明しそうな頃を見計らって再度
取り上げましょう。
さて先日、有能な若い会社経営者と環境問題や気
候変動問題について話をする機会がありました。そ
の際、歴史問題などもそうなのですが、人は一度頭
の中にインプットした考え方(視点)を変えるのは
容易なことでないということに改めて気がつきまし
た。
「人間は耳目に入る情報から、自分にとって価値が
あり有意義な情報を『嗅覚』によって選択する。そ
の『嗅覚』を培うものは、『教養とそこから生まれ
る見識』である」とお茶の水大学藤原正彦名誉教授
が自書『国家と教養』で述べていますが、「感知力」
とか「洞察力」と置き換えてもいい「嗅覚」は、
確かに自分の「見識」の範囲でしか働かないことは
よく理解できます。
気候変動問題については、素人の私の「嗅覚」が未
熟なことが主な原因かも知れませんが、何か“きな
臭い匂い”を感じ始めています。だからこそ、「温
暖化否定論者」たちが温暖化を否定する根拠やデー
タをよく理解した上で、つまり、自分なりの「教養
とそこから生まれる見識」をもって「嗅覚」を働か
すことができるようもう少し掘り起こしを続けたい
と考えています。しばらくお付き合い下さい。
▼地球は「寒冷化」に向かっている!?
前回、データの「加工」の話題を取り上げました。
この「加工」の正当性については、気候の専門家
である気候学者をはじめ、このデータを完成するま
でに様々な分野の知見者が英知を集めているはずで
すので、前回のような「加工」の指摘は大多数の知
見者たちの意に反する極論であり、少数意見なのか
も知れません。
温暖化否定論に立つ人たちは、「加工」以外にも
温暖化を否定する様々なデータを投げかけているこ
とも事実です。しばらくそれらを追ってみましょう
。まず第1に、「約1万年の気温の変化をみると、
地球は『寒冷化』に向かっている」、つまり「自然
変動」の主張です。
まず、1万年も前からの気温がどうして測定でき
るのか、という疑問が沸き上がりますが、その解は
、氷河の氷を分析すると、水分子H2Oをつくって
いる酸素原子Oの「同位体比」を測ると、氷ができ
た時の気温、つまり、蒸発した海水が雪になって降
った時の気温を測定できるのだそうです。こうして
、氷を掘って円柱形の「氷床コア」を採取し、深さ
方向の年代と同位体比を決めれば、気温がどのよう
に変わってきたかをつかむことができるのだそうで
す(ここまでが私の限界で、これ以上踏み込むのは
不可能です)。
こうして推定された過去1万1000年(地質時
代の区分のひとつで最も新しい時代を意味する「完
新世」と呼ばれます。新石器時代以降にあたります
)の北極圏の気温の変化は、1万年ほど前を最後に
「氷河期」が終わって「間氷期」に入り、その後の
気温は上がったり下がったりしているものの、おお
づかみにすると下降傾向をたどっているのだそうで
す。
地球全体が暖かかった9000~5000年前を完
新世の「最温暖期」と呼び、日本ではちょうど縄文
時代の中期で、海面が今よりも10メートルほど高
かったようで、関東の内陸で見つかる貝塚はその名
残といわれています。
約4000年前からあとに、地球は温暖期を3回迎
えますが、それぞれ「ミノア温暖期」「ローマ温暖
期」「中世温暖期」と呼ばれます。この「中世温暖
期」は、日本は平安時代に相当し、岩手県平泉で藤
原3代が繁栄していた頃です。食物の豊富な暖かい
時期に文明が栄えたことは当然だったのです。
「中世温暖期」の後の1350~1850年ごろは
「小氷期」(ミニ氷河期)と呼ばれ、当時は世界各
地が寒かったとの様々な記録が残っています。日本
は室町時代から江戸時代で、冷害や飢饉がよく起き
たことも記録されていますが、この「小氷期」以降
、気温が約1℃前後上昇しています。その原因は、
地球温暖化論者が主張する「人為的CO2」に加え
、前回指摘しました「データ加工」、そして「自然
変動」の“合わせ技”であると温暖化否定論者は主
張しています。
過去1万1000年間のCO2濃度についても南極
の氷床コアの分析から推定されるのだそうです。C
O2濃度についてはのちほど詳しく取り上げますが
、260~280ppm(百万分率、百万分のいく
らであるかという割合)の間でゆるやかに変化して
います。正確には10000年~7000年ぐらい
までは、濃度はやや下降傾向にあり、6000年以
降は、ゆるやかな上昇傾向にあります。
これらから、「過去6000年前までにはCO2濃
度は下がっているのに気温が上がっている、あるい
は6000年前以降は、CO2濃度は上がっている
のに気温が下降傾向」にあります。これらから「C
O2の温暖化力はほとんど効かなかった」、極端な
話をいえば「CO2と気温の変化に因果関係がない
」とも言えるのだそうです。
▼衛星観測データが語る「真実」
温暖化論者をはじめ多くの人々は、前回取り上げた
ような気温の「加工」の正当性を主張し、「氷床コ
アの分析など信頼できない」との意見を持っている
のでしょう。実は、米国アラバマ大学ハンツビル校
(UAH)では、1979年から約40年間、人工
衛星で大気温度を観測し続けてきました。
衛星は、北緯80度から南緯70度の地球上空を日
に何周もしています。UAHは地表から約2キロメ
ートル(大気低層)と6キロメートル(対流圏中層
)と18キロメートル(成層圏下層)に焦点を当て
、酸素分子が出すマイクロ波を測って温度に換算し
ています。特に、地上の実測値と対比できる大気低
層のデータは、「都市化」の影響をほぼ除いたもの
とみられています。
それらのデータから様々なことが判明しています
。第1に、地球表面の約7割を占める海の表層水温
がグラフの姿、つまり大気温度に大きく左右してい
ることがわかります。とりわけ、1997・98年
と2015・16年、大気はその前後の年に比べ、
プラス0.5℃ほど突出しています。「エルニーニ
ョ現象」の影響と分析されています。
「エルニーニョ現象」の簡単に触れておきましょう
。太平洋の表層水温は約10年とか数十年周期の振
動に加え、エルニーニョ(神の息子・キリストとい
う意味のスペイン語です)現象とラニーニャ(ニー
ニョの女性形です)という特別の推進変動がありま
す。
南米チリ沖合の深海では、冷たいフンボルト海流が
南極海からゆっくり北上しますが、赤道あたりで浮
上した冷水塊が貿易風に押されて西の方に向かい、
太平洋の中央部を冷やします。この貿易風が弱まっ
たり強まったりし、弱まった時は冷水が浮上しにく
くなって表面水温が上がります。これを「エルニー
ニョ現象」と呼び、反対に貿易風が強まると気流に
吸い出された冷水塊が表層水温を下げますが、これ
を「ラニーニャ現象」と呼びます。エルニーニョと
ラニーニャはほぼ交互に繰り返し、1951年から
2017年間の67年間で17回のペアが発生しま
した。
その中で最強だったのが1997・98年と20
15・16年で、世界各地で高温をもたらし、20
15年12月の北半球は大暖冬になりました。強い
エルニーニョは、しばらく太平洋の表層水温を高く
保つためにその後の気温は高止まりしやすいといわ
れています。
第2に、前回も言及しましたが、大規模な火山灰
が太陽光をさえぎって気温を下げることです。衛星
による気温データでも1982年のメキシコ・エル
チチョン噴火と1991年のフィリピン・ピナトゥ
ボ噴火の影響がくっきりと見えます。
これらから「都市化」を除いた大気温度は、年代
の古い順から、まず2度の火山の大噴火によって、
少なくとも1年間は気温を0.3~0.5℃下げ、
それ以降の2~3年ほど冷却効果がありました。そ
して、2つのエルニーニョに挟まれた2001~1
5年の気温偏差は0.2℃程度で、気温が上がった
気配はほとんどありません。
さて最近、大気中のCO2は年々増加傾向にあるこ
とは間違いなく、「温室効果ガス世界資料センター
」(DCGG)の解析によると、2021年の世界
のCO2平均濃度は、前年と比べて2.5ppm増
え、415.7ppmといわれます。産業革命前の
1750年以前の平均的な値とされる278.3p
pmと比べれば、49%ほど増加していることにな
ります。上記2001~15年の間にもCO2は快
調に増え続けたことを考えますと、少なくともこの
15年間の大気の気温を「おもにCO2が決めた」
と断定するのは難しいことがわかります。
これらから、「都市化」の影響も「加工」もない衛
星データを見る限り、「エルニーニョ現象」も火山
噴火になければ、過去40年間に上がった気温は0
.2℃(100年あたりでせいぜい0.5℃)程度
だろうと予測できます。その半分が自然現象の影響
と見積もられることから、人為的CO2の効果は1
00年あたりでせいぜい0.3℃とういうことにな
ります。
ただし、「約40年はまだ短く、結論を出すにはも
う20~30年ほどの観察が必要だろう」(前述の
渡辺正氏)との分析のように、まだ結論を出すのは
早そうです。地球温暖化の結果として起きていると
いわれる様々な現象を否定するデータについては次
回、紹介しましょう。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学
校卒業後、陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロ
ラド大学航空宇宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第
8高射特科群長、北部方面総監部幕僚副長、第1高
射特科団長、陸上幕僚監部防衛部長、第6師団長、
陸上幕僚副長、東北方面総監等を経て2009年、
陸上自衛隊を退職(陸将)。日本製鋼所顧問を経て、
現在、至誠館大学非常勤講師、パソナグループ緊
急雇用創出総本部顧問、セーフティネット新規事業
開発顧問、ヨコレイ非常勤監査役、公益社団法人自
衛隊家族会理事、退職自衛官の再就職を応援する会
世話人。著書『世界の動きとつなげて学ぶ日本国防
史』(並木書房)
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(代表・エンリケ航海王子)
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