配信日時 2022/11/10 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (386)】神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(23)  渡邉陽子(ライター)

こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」。
こんかいは第385号です。

「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
の23話目。

「正論」の渡邉さんの記事読みました?
ここで見るのとは少し違う渡邉さんが見れましたよ。
まだならあなたにも是非読んでほしいですね。

『正論』12月号
https://amzn.to/3zvgRlN

では今日の記事、早速ご覧ください。


エンリケ


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『ライター・渡邉陽子のコラム (386)』

 神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(23)

  渡邉陽子(ライター)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

こんばんは。渡邉陽子です。
久方ぶりに開催された国際観艦式、ライブ配信されましたね。私は
取材申込書提出締め切り前日に濃厚接触者となり、泣く泣く断念し
ました。昨日は「本当なら今映っている『いずも』に乗っていたは
ずだったのに…」とうらめしく思いながら配信を見ていました。そ
してもちろん結果は陰性です。よかったですが、タイミングの悪さ
をうらみました~。
本日の連載には、火箱氏が観閲式に参加したときの話もあります。


◆最新刊です!

『神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生』が刊行
されました。Amazonだと送料がかかってしまいますが楽天ブックス
なら無料です。発送も楽天のほうが早いです。また、Amazon Kindle
から電子版も発売中です。

「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
 https://amzn.to/3CL1aat (単行本 アマゾン)
 https://amzn.to/3O2riTI (電子本 アマゾンkindle)
 https://a.r10.to/ha0qvt (単行本 楽天ブックス 送料無料)


◆雑誌記事のお知らせです。

●『正論』12月号に「北海道日米共同訓練密着ルポ 実戦知る部隊
に学ぶ「リアル」の緊張感」が掲載されました。先日取材したレゾ
リュート・ドラゴン22について、いつものレポートとはちょっと
異なり、個人の見解も結構書いています。また「われらの女性自衛
官」は陸上自衛隊中央警務隊のSP! 任務中のきりっとした雰囲
気と、インタビュー中のほんわかした雰囲気のギャップが最高でし
た。https://amzn.to/3zvgRlN


●10月27日発売の『丸』12月号の「世界の軍備」に「防衛白書
ができるまで」が掲載されました。https://amzn.to/3D4kEaN




■神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生(23)

指導したのは陸曹・陸士だけではない。
小隊長に対しても、「降下後の攻撃・防御について、そして自分た
ちの持っている装備品をどう使うか、幹部たる小隊長がちゃんと考
えなくちゃだめだ」と教え込んだ。

また、火箱が気になっていることのひとつに、空挺は「短距離は得
意だけど長距離は苦手」ということがあった。

火箱は常々、「即動必遂」には持続力が不可欠だと言っていた。確
かに空挺は“即動”の部分はきわめて早い。しかし、どんな体力の
ある者でも、不眠不休で3日も経つと死んだマグロのように横たわ
る。立哨を交代させなければ誰も動けなくなってしまうのだ。

そこで長期野営で追い込むことにし、2連隊時代にも散々通った新
潟の関山演習場に足を運び、妙高山走破をはじめ、隊員たちを鍛え
に鍛えた。
「ラグビーの試合が近いのに練習できない」と言われないよう演習
場にもラグビーボールを持参させ、訓練終了後に野営地で練習させ
た。火箱自身もまだ30代で気力体力がみなぎっていたので、自衛
官人生を振り返ると、この空挺の2中隊時代がいちばん部隊を鍛え
たのではないかと思う。
骨折者が出るほどきつい訓練の日々だったが、さすが2中隊の隊員
たち、磨けば光る。見事なまでに強くなっていった。今でもOB会
で「あの頃の訓練は本当にきつかったが鍛えられたし、2中隊は最
強だという自信もついた。今となってはいい思い出」とかならず話
題に上る。

その後、火箱は第1空挺団長として再び空挺に戻ってくることにな
るが、その際も空挺に対して「精鋭無比」という言葉は使わなかっ
たし、中隊長時代以上に、隊員たちを鍛え上げた。

着任した早々、火箱は空挺が「空っぽ団」だと嘆いたが、それには
空挺が忙しすぎるという事情もあった。
士気を上げるという名目での競技会がいくつもあったし、全国の駐
屯地から記念行事で降下を依頼される。訓練する時間を作るのに難
儀するという状態だったのだ。

常に多忙な第1空挺団だったが、限られた時間で訓練したもので忘
れられないことといえば、着任した年の10月にあった観閲式への
参加である。
現在は動画サイトで観閲式の様子が見られるので観閲行進を見ると
よくわかるのだが、いくつもの部隊が観閲行進をする中で、第1空
挺団の白いマフラーとシンボルマークを描いたノンカバーの鉄帽は
異様に目立つ。全部隊が整列した状態で、観閲官の正面に位置する
のも空挺だ。火箱から言わせればあの鉄帽も「ただのかっこつけ」
なのだが、その様相には「精強」を体現しているような頼もしさと
力強さがある。だからこそ、火箱も中隊長として観閲式に参加でき
たことをうれしく思った。

ほかの部隊は何か月もかけて観閲式に向けての準備をするが、忙し
い空挺にそんな時間の余裕はない。本番の3週間前くらいからよう
やく観閲式の練習をはじめ、当日は3時間、「不動の姿勢」か「整
列休めの姿勢」を維持した。
当時の66式鉄帽は現在使われている88式鉄帽よりもつくりがよ
くなく、細心の注意を払ってかぶらないと次第に縫い目や結び目が
当たり、頭がずきずきと痛くなった。だが鉄帽の位置を直す動作な
ど、許されるはずがない。そこで敬礼の際に伸ばした指先で鉄帽に
ほんのわずか触れ、それで鉄帽をずらしたりした。そんな苦労もあ
ったが、中隊を率いて観閲式に臨み、観閲行進をするのは誇らしか
った。



(つづく)


(わたなべ・ようこ)



「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/

ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
http://okigunnji.com/url/7/



□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年 https://amzn.to/3ar7IBq
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
を刊行。 https://amzn.to/3nQiCE2


PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個人情報を伏せ
たうえで、メルマガ誌上及びメールマガジン「軍事情報」が主催
運営するインターネット上のサービス(携帯サイトを含む)で紹
介させて頂くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝しています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、心から感謝
しています。ありがとうございました。

 
------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)

メインサイト:https://okigunnji.com/

問い合わせはこちら:
http://okigunnji.com/url/7/

メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置き換えてください)
------------------------------


●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com


<丸谷 元人の講演録&電子書籍>
謀略・洗脳・支配 世界的企業のテロ対策のプロが明かす…
知ってはいけない「世界の裏側」を見る
 http://okigunnji.com/url/13/
---------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。
 
Copyright(c) 2000-2022 Gunjijouhou.All rights reserved.