配信日時 2022/10/28 05:08

【本の紹介】『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 - 日本の未来のために必要なこと』

『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
 桜林美佐 チャンネルくらら
https://amzn.to/3RZlcWc
定価:1,650円
発売日:2022-07-27 
発行:ワニブックス


おはようございます、エンリケです。


憲政史家・倉山満さんが主宰するYoutube番
組「チャンネルくらら」が配信している「陸・海・
空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」シリー
ズ。

ユーチューブに最初の動画が公開されたのは、
ウクライナ侵攻開始から約3週間後の3月17日。

今だから打ち明けますが、
こういう番組始まるよ、と知っても、
当初見る気は起きませんでした。

正直言ってこの種な軍事番組には
魅力も新鮮味も感じなかったからです。

でも初回放送の3月17日は私の誕生日だったんで
すね。

なぜかどこかひっかかりました。
そんなかすかな引っ掛かりが、
わたしの固定観念をぶち破ってくれたのです。

初めて見た日、
思わず目が釘付けになり、
息をのんで番組に見惚れました。

番組の内容は、防衛問題研究家・桜林美佐さん(月
曜日連載「美佐日記」著者)の司会進行のもと、
元西部方面総監 小川清史・元陸将、元呉地方総監
 伊藤俊幸・元海将、元航空教育集団司令官 
小野田治・元空将という陸・海・空の軍事のプロが
ロシアのウクライナ侵攻を最新情報に基づい
て分析・考察するというものです。


【著者略歴】
小野田治(おのだ おさむ)
昭和29年生まれ。神奈川県横浜市出身。防衛大学
校第21期生(航空工学専攻)。航空自衛隊幹部学
校指揮幕僚課程。防衛研究所一般課程。主要職歴(
自衛隊)航空幕僚監部防衛課長、第3補給処長、第
7航空団司令兼百里基地司令、航空幕僚監部人事教
育部長、西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令
官(最終補職)。退職時の階級は「空将」。ハーバ
ード大学シニア・フェロー。東芝インフラシステム
ズ(株)顧問。(一社)日本安全保障戦略研究所上
席研究員。(一社)平和・安全保障研究所理事。コ
ールサイン「Axe」。


伊藤俊幸(いとう としゆき)
昭和33年生まれ。愛知県名古屋市出身。防衛大学
校第25期生。機械工学専攻。筑波大学大学院修士
課程修了、修士(地域研究)。主要職歴(自衛隊)
 潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、海幕情
報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、
第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛
隊呉地方総監(最終補職)。退職時の階級は「海将」
金沢工業大学大学院(虎ノ門キャンパス)教授(
専門:リスクマネジメント、リーダーシップ・フォ
ロワーシップ)。日本戦略研究フォーラム政策提言
委員、日本安全保障・危機管理学会理事、全国防衛
協会連合会常任理事、趣味:ゴルフ、ウオーキング、
オペラ歌唱。


小川清史(おがわ きよし)
昭和35年生まれ。徳島県出身。防衛大学校第26
期生、土木工学専攻・陸上自衛隊幹部学校、第36
期指揮幕僚課程。米陸軍指揮幕僚大学留学。主要職
歴(自衛隊)第8普通科連隊長兼米子駐屯地司令、
自衛隊東京地方協力本部長、陸上幕僚監部装備部長、
第6師団長、陸上自衛隊幹部学校長、西部方面総
監(最終補職)。退職時の階級は「陸将」。現在、
日本安全保障戦略研究所上席研究員。日課として、
毎朝マンデリン(珈琲)をドリップで淹れること。
趣味イラスト描き。


桜林美佐(さくらばやし みさ)
昭和45年生まれ。東京都出身、日本大学芸術学部
卒。防衛・安全保障問題を研究・執筆。2013年
防衛研究所 特別課程修了。防衛省「防衛生産・技
術基盤研究会」、内閣府「災害時多目的船に関する
検討会」委員、防衛省「防衛問題を語る懇談会」メ
ンバー等歴任。安全保障懇話会理事。国家基本問題
研究所客員研究員。防衛整備基盤協会評議員。著書
に「日本に自衛隊にいてよかった ー自衛隊の東日
本大震災」(産経新聞出版)、「自衛隊と防衛産業」
(並木書房)など多数。趣味は朗読、歌。



「こんな番組を作れるのか!」

出演者の質の高さ
語られている内容の深さ、
戦後日本ではついにお目にかかれなかった、
「すさまじい反響を得た軍事人気番組」

という三点で、きわめて異常な作品です。
もちろんいい意味でです。

版元さんによると、動画がアップされるや再生数が
瞬く間に急上昇したそうで、2022年6月末時点
で67万回以上再生されているそうです。

そしてコメント欄には、感謝と賞賛の声があふれて
いったそうです。

この手の専門的(マニアック)な番組は、一般的に
あまり再生回数が伸びませんが、この番組はまるっ
きり違う状況を呈しているわけです。

この番組こそ、本書のもとになった番組です。



◆目次

はじめにー本書の説明

第一章 ウクライナ侵攻のプロの読み方
 なぜロシア軍はウクライナの制空権を奪えなかっ
 たのか?
 ロシア軍が国会の制海権を握っている
 ロシア陸軍の進軍スピードは鈍かった?
 ロシア軍の動きは「ドクトリン」で読み解かない
 とわからない
 サイバー戦の”失敗”を地上戦で取り返す?
 キエフ攻撃は軍事目標設定が難しい
 ウクライナ軍はなぜ善戦できたのか?
 ウクライナに戦闘機を供与しても有効活用できな
 い?
 ロシア空軍の実力
 プーチンはおかしくなったのか?
 北方領土の東部軍がウクライナに投入された理由
 プーチンが「敗北」を宣言することはありえない
 「ウクライナの非武装化」「中立化」発言の呪縛
 キエフを攻めるロシア軍の士気が上がらない理由
 プーチンは核を使うのか?
 停戦に向けて求められる政治的な駆け引き
 プーチンが側近たちに寝首をかかれる可能性は?
 ロシア軍と旧日本軍の共通点はPDCA?
 画期的だった防弾チョッキとヘルメットの供与
 国会で”タブーなき防衛論議”を!
 国民保護法は今のままで大丈夫か?

第二章 ウクライナ侵攻一か月の分析
 ロシア軍はキエフとハリコフを落としてはいけな
 い
 ロシア軍の将官クラスの戦死者が出ているのはな
 ぜ?
 アメリカ空軍とロシア空軍では「用兵思想」が違
 う
 ロシアが極超音速空対地ミサイルを使ったのは”
 やり過ぎ”?
 ロシアの揚陸艦「サラトフ」撃沈の真相
 「戦争に善も悪もない」→「合法」と「違法」な
 らある
 ロシアは”言っていること”と”やっていること”
 が全然違う
 「ウクライナも悪い」論はナンセンス
 日本の”縦割り”では独裁国家のハイブリッド戦
 に対抗できない
 明日は我が身?日本にも迫る「合理的じゃない戦
 争」の危機
 ロシア軍の通信は杜撰?
 通信ひとつで部隊のレベルが丸わかり
 マリウポリを見捨てるべきか、死守すべきか
 クリミア侵攻後に”大化け”したウクライナ軍
 新しい国際機関がロシアとウクライナの”妥協点”?
 ロシア軍は化学兵器を使用するのか?

第三章 ロシアの北海道侵略に備えよ
 なぜこのタイミングで「総司令官」登場?
 ロシア軍はあえて女性や子供を狙っている?
 残虐行為はロシア軍の伝統的”戦術”
 ”格好の標的”である駅から避難民を逃すのは危険
 戦力の逐次投入がロシア軍の損害を大きくした?
 ウクライナ軍で活躍する優秀なドローン
 「エスカレーション抑止のためのエスカレーショ
 ン」
 イギリスがウクライナに供与したハープーンミサ
 イル
 「ペルソナ・ノン・グラータ」で日本が示した強
 い意志
 武器供与を加速させるレンドリース方式の根拠は
 「自衛権」?
 ロシア軍の部隊配置が意味するものは?
 自衛隊は文明的手段の執行組織
 西側の軍事介入はありえるか?
 「あいつは何を考えているかわからない」も抑止
 効果がある
 国際社会は正しく権利を主張するものの味方
 もしロシアが北海道に侵攻してきたら
 自衛隊のトラウマ、ベレンコ中尉亡命事件
 ロシア兵たちはプーチン政権に”心”を縛られて
 いる?
 
第四章 マリウポリの攻防と旗艦「モスクワ」の沈没
 旗艦「モスクワ」撃沈でロシアはピンチ?
 黒海艦隊の司令官がクビになった本当の理由
 ウクライナ東部・南部の制空権はロシアの手に?
 飛行禁止区域の設定は「NATO対ロシア」の戦争
 おかしなタイミングで”単独投入”された空挺部隊
 ロシアはキエフを諦めて撤退したわけではない?
 戦争の「目的」と「エンドステート」の違い
 「マリウポリ」を制するものが戦局を制する
 ロシアの「組織的抵抗線」VS西側諸国の武器供与
 今後の目標をうかつに語れないゼレンスキー大統領
 ロシアの防御線に”風穴”をあければ交渉が有利に
 国際政治の目的を見失うことなく戦争をコントロ
 ールできるか
 外交に求められるのは摩擦を防ぐ「曖昧さ」のグ
 ラデーション
 目的達成では”全勝”していた日本の大東亜戦争

第五章 ウクライナ侵攻の今後
 プーチン大統領が冷静さを取り戻した?
 飛行機を飛ばさなかったのは天候が理由ではない?
 ロシアは戦争目的をほぼ達成した
 ロシア国民に「西側=ナチス」のイメージを与え
 たい
 ウクライナ軍が仕掛けた「見せる」ための反撃
 ロシアはこれ以上航空機を失うことを恐れている?
 ウクライナの戦闘機では利亜の最新戦闘機に勝て
 ない?
 参謀総長の最前線視察は何を意味する?
 ロシア軍の被害を拡大させた、ウクライナ軍の「
 積極機動防御」
 「戦車戦」と「機甲戦」は何が違う?
 戦車主体か歩兵主体化で変化する戦術
 大隊が砲兵部隊を抱えると実は大変
 連度の低い部隊はすぐに集まろうとする
 供与決定からわずか72時間で武器が届く
 ロシアのミサイルが枯渇する日は近い?
 ロシアはすでに極東に対する計画を作っている
 
 
おわりにー本書によせて 桜林美佐
 陸海空自衛隊は仲が悪いのか?
 意外な防大の効果
 日本人の感覚を変えたロシアによるウクライナ侵攻
 武器を持って戦うしかない
 偏らない防衛力の重要性を示された
 真の抑止力の意味
 国民保護の具体的方策も
 「平和を仕事にする」、それが自衛隊の仕事


いかがでしょうか?


本著の元になった番組に国民が「異常な」反応を示
していることについて、
一般国民は、時宜に適した軍事事情を知って満足し
たい、というより、歴史の大転換点にある今起きた
エポックメイキングな出来事として、ウクライナ
侵攻を心理的に無意識に受けとめようとしているの
ではないか?と私は捉えています。

そして国民が、いかに自国の国防軍事安全保障に不
安を抱いているか、も、ひしひし伝わってきます。

そんな中出た本著。

いま生きる国民の期待に沿う内容と感じています。


今日ご紹介したのは

『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
 桜林美佐 チャンネルくらら
https://amzn.to/3RZlcWc
定価:1,650円
発売日:2022-07-27 
発行:ワニブックス

でした。


エンリケ


追伸

軍事の世界は変わって変わらない。
そんな感じがしますね。

人間社会の最深部とつながっている分野だけに、
そういう不思議な感覚になるんだろうと思います。

最先端と最も古いものが矛盾なく包み込まれている。
そういう世界に触れ合えることを正直ありがたく感
じています。

だから、
防衛力整備の分野で

時代は変わった

とか

時代遅れ

という言葉が出てきたら

その人や勢力には要注意です。

桜林さんがあとがきで述べられている

「戦力の多様性維持」

は今回の紛争で明確に顕れた教訓の1つです。


『陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析 -
 日本の未来のために必要なこと』
小川清史元陸将 伊藤俊幸元海将 小野田治元空将
 桜林美佐 チャンネルくらら
https://amzn.to/3RZlcWc
定価:1,650円
発売日:2022-07-27 
発行:ワニブックス





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