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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんばんは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。
『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監
修), 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
武器オンチの日本人に
特におススメです。
冒頭文の内容を読んで、理想論にすぎる、と感じる
人は多いかもしれません。しかし現実論のかなたに
は理想論という地平が見えてなきゃいけない気がし
ます。
日々国を護るために生きている人々にとり、くじけ
ぬ魂を培ううえでこういう言葉は想像以上に大事で
はないでしょうか?
さっそくどうぞ。
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編
Takashi Kato
中国の台湾侵攻が難しい理由(5)──日米介入
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□「三方一両損の知恵」を持つ日本の出番
4月1日付の本メルマガで、ウクライナ戦争をめぐ
る「敗者の出ない采配」について書きました。引き
合いに出したのが古典落語『三方一両損』。
金銭に執着しない江戸っ子の金太郎が三両入りの財
布を拾い、わざわざ落とし主の吉五郎に届けます。
ところが、意地っ張りで短気な吉五郎もちゃきちゃ
きの江戸っ子。いったん落とした銭に未練はない、
と頑として受け取りません。押し問答を繰り返すう
ち殴り合いの喧嘩になり、とうとう奉行所で裁かれ
ることになります。名奉行の誉れ高い大岡越前は捌
(さば)けた江戸っ子気質に好感を持ち、双方の言
い分に一理あると認めます。そして自分の一両を足
して四両とし、両名に二両ずつ渡します。三両落と
した金太郎は二両しか戻って来ず一両損。吉五郎は
正直に三両届けたのに二両しかもらえず一両損。大
岡越前は自腹を切って一両捻出したので一両損。全
員が損をすることで二人を和解させ、大岡も江戸の
司法と治安維持の職務を果たすと言う筋書きです。
これを現実に当てはめ、
1)ロシアは即刻停戦・撤収。クリミア半島をウク
ライナに返却し、同国に戦争賠償金を支払う。
2)ウクライナはNATO加盟を永久に断念し、武
装中立国となる。
3)アメリカはNATOの東方不拡大を公式に宣言
する。
三者三様に「損をする」ことで、まず戦闘を早期終
結させ、長期的には米露核戦争を避けることを提案
しました。「ゼロサム・ルール」に基づく経済制裁
や軍事介入では、長い目で見た場合「核戦争の危険
を孕むテクノロジー幼年期」を生き延びることは至
難だからです。
読者諸氏もご存じの通り、この7か月で状況は悪化
の一途を辿りました。「プーチン悪・ゼレンスキー
善」で結束した欧米はウクライナへの武器供与を増
強。最新兵器を得て勢いづいたウクライナは反攻に
転じ、露軍を退却させていると報じられています。
一方、プーチン大統領は9月30日クレムリンで演
説し、ウクライナ東部4州をロシアに併合すると宣
言。その際、氏は同戦争を「ロシアの伝統的価値観
を否定する欧米との戦い」と位置づけ、さらに「ア
メリカ主導の新植民地主義」からの解放を訴えまし
た。ウクライナ侵攻を民主義陣営との全面対決に格
上げしたカタチです。
「こちら側」にいる我々からすれば、プーチン大統
領の言動は歴史修正主義であり虚偽であり非道。到
底受け入れられるものではありません。反露感情が
嵩じ、ドストエフスキー、プーシキンといった文豪
や『白鳥の湖』で知られるチャイコフスキーらを排
斥する動きも出ているほどです。
一方「あちら側」から見ると、プーチン氏の振る舞
いは「ロシアの主権とアイデンティティを守り抜く
こと」にほかならず、正義と真実はロシアと共にあ
ることになります。
「真実対真実」「正義対正義」「真理対真理」とい
った対立を生み出しているのがグレコローマン文化
の根底を流れる二元論。ロシアもアメリカも欧州諸
国も、この意味では同一家系の国々なのです。
二者択一を迫る世界観は米露欧の潜在意識に深く
浸透しているため、「誰が真理は一つしかないと言
ったのか?」という疑問は出てきません。プーチン、
ゼレンスキー両大統領は対立の根本原因に気づく
ことなく、ひたすら「自らの」正義と真理のために
戦い続けることになります。その先に待ち受けるの
が核戦争による破滅であっても、唯一絶対の正義と
真実に妥協はあり得ないからです。
もっとも革命はロシアの十八番。ロシア民衆が隆起
してプーチン氏を退陣に追い込むかも知れません。
しかし元首をすげ替えても、対立を産む真の原因、
すなわち二元論に光が当てられる訳ではありません。
将来、新たな独裁者が現れれば領土紛争は再燃し
ましょう。
この点、八百万の神に象徴される多元論を育んでき
た日本人には、ウクライナ戦争が実は骨肉の争い、
つまり二元論に煽(あお)られた「お家騒動」であ
ることが見て取れます。「正義も真実も真理も一つ
だけではない」ことを露米欧の人々に納得させるこ
とができれば、妥協や譲歩の選択肢は出てきます。
頑強な二元論者であるプーチン氏やゼレンスキー氏
を変心させるにはどうするか? まず、日本が刀を
抜かずとも相手を委縮させる「鞘の内の勝ち」の「
実力」を身に着けることです。「殺気」に裏打ちさ
れた説得力と「三方一両損の知恵」を持ってすれば、
崖っぷち目指してチキンレースを続ける両国を覚
醒させることも可能になります。
ちなみにバイデン大統領ですが、後先考えずエネル
ギー自給体制を捨て燃料高騰を招いたように、ウク
ライナ戦争でも長期戦略というものがありません。
場当たり対応に終始し、覇気も人望も慧眼も展望も
ないバイデン氏に調停役は無理。「終末時計」の針
を止める才覚もありません。
現下の危機は『三方一両損の知恵』を持つ日本を必
要としているのです。
藩に代わる日本国を目指した異端の藩士坂本龍馬
の如く、世界に蔓延(はびこ)る二元論の危険を見
抜き「テクノロジー幼年期の終わり」を目指す「時
代精神の権化」が、いまこの瞬間にも日本のどこか
で出番を待っている。私はそう信じます。
読者諸氏の見たてはいかがでしょうか?
▼中国の台湾侵攻が難しい理由―日米介入
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。「加藤大尉の軍隊式英会話:
兵器編」では、それぞれの武器が持つ抑止力に着目。
兵器と平和の関係を考えていくことにします。
ウクライナ戦争を機に露中が接近し、世界は民主主
義圏と権威主義圏に二分された感があります。この
新たな力関係を背景に、台湾侵攻の可能性が取り沙
汰されています。
最悪の事態を想定し備えるのが平和の基本ですから、
防衛努力は粛々と進める必要があります。同時に、
勢いを増す「好戦的世相」に飲み込まれない冷静な
状況判断も求められます。
「中国にとって台湾侵攻が難しい理由」シリーズ最
終回は「日米介入」です。
「背に腹は代えられぬ」このことわざをいま誰より
噛みしめているのは欧州の人々でしょう。冬場の暖
房に欠かせない天然ガスをロシアからの輸入に頼る
国々は、「ウクライナと共に立つ」とのお題目を多
少犠牲にしても、ロシア産ガスを買わざるを得ない
からです。事程左様に、ヒトも国も時として主義主
張やイデオロギーより実利を優先させるものです。
万が一台湾有事が起きてしまえば、日本の選択肢は
参戦しかありません。台湾が落ちれば次は日本だか
らです。
しかし、海の彼方のアメリカはどうでしょうか?
一般市民の本音は「遠い台湾が中国に侵攻されても、
即アメリカに戦禍が及ぶわけではない」というと
ころでしょう。またプーチン大統領の例に倣い、習
国家主席が「米軍が介入すれば核で対応する」と威
嚇すれば、バイデン大統領は躊躇します。ただでさ
え支持率低迷に喘ぐ同氏にとって、夥(おびただ)
しい米軍将兵の犠牲を伴う参戦は政治的致命傷にな
るからです。
では、バイデン氏は再三の台湾防衛発言を翻(ひ
るがえ)し、軍事的静観を決め込むのか? 意外に
も本ビデオの答えは「ノー」。その理由は「民主主
義を守る」との観念論ではなく完璧な実利主義、す
なわち「国益」です。そのカギとなるのが台湾セミ
コンダクター製造会社(Taiwan Semiconductor
Manufacturing Company:TSMC)だというのです。
TSMCは半導体製造に特化した世界初の企業。
最先端生産技術を誇る屈指のマイクロチップ供給源
で、同社のシリコン・ウエハー(半導体の基板)は
欧米市場を席巻しています。同社なしにはスマホ、
パソコンなどの電子機器から人工衛星に至るまで、
ありとあらゆるハイテク製品が作れなくなります。
これはTSMCがアメリカ軍需産業と安全保障に
とっても不可欠な存在であることを意味します。当
然、TSMCが中国の支配下に置かれることは、多大な
犠牲を払ってでも阻止すべき米国存立の危機だと言
えましょう。
日本とアメリカにとって、台湾防衛はイデオロギ
ーより国益に直結しています。中国側から見れば、
台湾侵攻時には日米が必ずや合同軍事介入するであ
ろうとの読みが成り立つわけです。しかし、TSM
Cがこの先もずっと米台の鎹(かすがい)であり続
ける保証はありません。日本が独力で習主席の領土
野心を封じるには、氏をたじろがせるより強烈な
「殺気」が不可欠です。
教材ビデオ:
6 reasons invasion of #Taiwan will be hard fo
r #China ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CVSXTlbYN0U&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=247&t=363s
(本エピソードは9:29から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Given(ギブン)〜を考慮すると
Circumstances(サーカマスタンスィーズ)状況
Intervene(インタービーン)軍事介入する
シナリオ(カウンターを11:02に合わせてくだ
さい)
Given the circumstances, even if the U.S. does
n’t want to, it may be forced to intervene.
(このような状況を考慮すると、アメリカはその内
心とは裏腹に、軍事介入せざるを得ないだろう)
(今回のエピソードは最後まで続きます)
英語一言アドバイス:
givenは「与えられた」という意味ですが、接続詞の
ようにも使え、この場合は「〜を考慮すると」にな
ります。本ビデオに出てくる given the
circumstances は「こういう状況を考えると」とい
う慣用表現です。
発音サイト:
given の発音 given pronounce - Google 検索
http://okigunnji.com/url/161/
参考サイト:
三方一両損(落語) 三方一両損 (落語) -Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%96%B9%E4%B8%80%E4%B8%A1%E6%90%8D_(%E8%90%BD%E8%AA%9E)
大岡越前 Oooka tadasuke - 大岡忠相 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B2%A1%E5%BF%A0%E7%9B%B8#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Oooka_tadasuke.jpg
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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