--------------------------
荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
https://amzn.to/34szs2W
-----------------------------------------
おはようございます。エンリケです。
「陸軍工兵から施設科へ」第53回です。
冒頭文が痛快です。
強くつよくうなづきました。
本文は、
鉄道ファンの荒木先生ならではの「鉄道よもやま話」。
実に楽しいです。
さっそくどうぞ
エンリケ
メルマガバックナンバー
https://heitansen.okigunnji.com/
ご意見・ご感想はコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
陸軍工兵から施設科へ(53)
昔の汽車旅(映画『張り込み』から)
荒木 肇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□昔も今も
安倍元首相の国葬儀が終わりました。一般献花に
参加された方が数万人、行列はいっとき北の丸公園
から四ツ谷駅まで延びたそうです。わたしの友人も
列に並んで3時間かかったと言っていましたから、
数万人というのは間違いではないようです。テレビ
で中継を見ても列になった方々が延々と並ばれてい
ました。
また、反対する方々は、国会前で某党の委員長をは
じめとして1万5000人だったと反対運動の主催
者は言っていました。いや、せいぜい300人だっ
たという記事もあり、いつものことながら反体制運
動者の方々の発表はいつも大げさなようです。
テレビに出演(敢えて偶然出た一般人とは思えませ
んので)された通りがかりの(これがあやしい)初
老の女性は語っていました。「国民の過半数が反対
なのにどうして強行するのでしょう」。過半数とは
50%以上のこと。ただし、それはマスコミの出し
たテレビや新聞のアンケート結果の数字ではありま
せんか。
さらに国葬儀の経費のことを口にされ、「暮らしに
困る庶民からすれば納得いかない」などともおっし
ゃる。そうですかね。国際儀礼から言っても、元総
理ですから外国からも弔問客が来ます。その警備や、
会場の整備に経費がかかるのは当然です。明日の
食費にも困るような人には見えませんでしたが、お
かしなことを言う方でした。
世論調査と言いますが、聞かれた人は「どっちかな
ぁ」と迷ったところに、「おかしいですよね、反対
ですよね」と言われれば、なんとなく「まあ、反対
かな」と答えてしまう。そんなものを積み重ねれば
反対は賛成を上回るに違いありません。ただ、わた
しはああいったアンケートの数字はまったく信じま
せん。本当かどうか、確かめようがないからです。
それにしても、政治活動というか政治運動に熱心な
人はウソツキが多いような気がします。昔のことで
すが、ある組合運動の役員と話したことがあります。
県内にある米軍基地に反対をするために人が手を
つないで包囲したというのです。
そりゃ、数キロになるからたいへんな人数でしょう
と聞くと、「いや、いいんだ。3万人と発表するか
ら」と言う。「ほんとうは何人集まったのですか?」
と聞いたら、「いや、3万とこっちが言うからそ
れでいいんだ」とにやにや笑いながら答えます。
ほんとうのところは下部の組合員に「動員」をかけ
て数百だったに違いありません。それが驚いたこと
に新聞には3万人となっていました(笑)。組合運
動家と新聞記者はいつも仲間だったのです。愚かな
民衆を善導する・・・そういった思いあがった使命
感が彼らにはありました。今回も反対派の参集を1
万5000人とウソをつくのは、きっと同じ構図に
違いありません。
いま、日曜日ですが、ネットによれば、また有名
な玉川氏がモーニング・ショーで放言し、翌日に発
言取り消し陳謝したとのことです。菅前総理の故安
倍氏への弔辞でした。内容は素晴らしく思いました。
その中で驚かされたのは、やはりテロの凶弾に倒
れた伊藤博文公への思いを山縣有朋公がつづった詠
草に触れたものです。それを玉川氏は「大手広告代
理店が作ったものだ」と断言し、翌日はそれを取り
消すといった醜態を見せました。
得々と、わたしは裏側を知っているのだ、ああや
って体制側は世論操作をするのだと語る驕った表情
と口ぶりには、ほんとうに腹が立つものです。
今日は昔の映画から見た汽車旅を書かせてくださ
い。寄り道です。
▼ホームの洗面台
昔、大きな駅のホームには必ずタイルで作られた、
蛇口がいくつもある洗面台がありました。亡母の
故郷、木曽谷の外れにある小さな町に行くには新宿
から中央線に乗りました。朝の7時に発車する急行
「白馬」に乗ります。牽引機はたしか運転台の外側
にデッキがあったEF58でした。朝早いので客車
の中は快適です。窓をいっぱい開けて、扇風機が天
井では回っていました。
大月を過ぎ、長いトンネルの笹子峠を越えると甲
府の盆地が見えてきます。その頃から車内は暑くな
りました。甲府で長い停車時間を過ぎると、煙が流
れて来るようになり、牽引機は蒸気機関車になった
のです。上諏訪に着いた頃には、顔や首筋はじゃり
じゃりとした煤や石炭の粉で汚れていました。機関
車がつけ替えられる5分以上の長い停車時間、周り
の大人はハンカチやタオルを手にして洗面台に行き
ました。
▼映画「張り込み」
1958(昭和33)年、公開された映画です。
夏の汽車の旅の様子が分かります。強盗殺人犯が田
村高廣、その元恋人が高峰秀子さんでした。脚色が
橋本忍、監督は野村芳太郎です。原作が松本清張で
した。全編、暑い映画です。
思い出に残る映画ですが、わたしよりちょっと年
長の鉄ちゃんである関川夏央氏もこの映画のことを
書いていました。関川氏の書かれたものにわたしの
感想もつけ加えてご紹介しましょう。
警視庁の刑事2人が主人公です。若い方が大木実
さん、年長が宮口精二さんでした。2人は逃走する
田村高廣さんの恋人がいる佐賀へ向かいます。この
スタートから見せてくれました。ホームの駅名板が
「横濱」なのです。小さなバッグだけを持った2人
は、窓が3枚のガラスでできた葡萄色の国電、京浜
東北線の桜木町駅行きから降りて地下道を駆け下り、
駆け上り、すでに動いている急行「薩摩」に飛び
乗ります。
当時のダイヤでは「薩摩」は横浜発22時19分
でした。次の停車駅は大船、そのアナウンスが聞こ
えてきます。終着駅は鹿児島です。当時の西へ向か
う急行には、「薩摩」の他にも「西海(さいかい)」、
「玄海」、「霧島」、「阿蘇」、「安芸」、「瀬戸」
などがありました。関川さんによると、長距離を走
る列車ほど混んだといいます。「薩摩」はその最も
長距離を走りますから、案の定、満員です。
同じ列車に犯人の故郷山口に向かう刑事2人も乗っ
ているはずでした。2人は東京から乗れたので、座
席を得ているに違いありません。
大木刑事と宮口刑事は通路に新聞紙を敷いて座り
ます。乗客はみなワイシャツを脱いでいます。中に
はズボンを脱いでしまい、ステテコだけになってい
る男性も見られます。誰もが扇子を使っています。
窓はどれも開けっぱなしでしたが、あの夜汽車でも
暑い空気は懐かしいです。
▼東海道線全線電化
東海道線の電化工事の最後は米原(まいばら)-
京都間でした。1956(昭和31)年11月の時
刻表大改正は、そのおかげです。特急の「つばめ」
と「はと」は東京と大阪の間をこれまでの8時間を
7時間半として30分の短縮をしました。
丹那トンネルが開通した1934(昭和9)年に
は特急「つばめ」が9時間で結びます。映画「アル
キメデスの大戦」で櫂主計少佐が大阪まで往復に使
いました。それが戦後になって浜松で機関車をつけ
替えながら8時間で走っていたのです。高度経済成
長の時代の前夜、昭和30年代初めに7時間半に短
縮され、全線を電気機関車が最速を出した記録でし
た。
だから2人の刑事は機関車の煤煙に悩まされるこ
とはなく、ひたすら熱気に耐えるだけで済みました。
もちろん、2人とも半袖開襟シャツは脱いでしまい、
下着だけの姿です。「さつま」の京都到着は朝の
7時36分でした。そこで東京からの乗客が1人、
ボックス席から降りて行きました。年長の宮口刑
事はそこに座り、空いた車内を大木刑事は2人の同
僚を探します。別の2人組の刑事たちは、容疑者の
故郷山口に向かうのです。
夏の朝の風が吹き込んで、ほっと一息、観客の私
たちもなごみます。大阪到着は8時26分でした。
東京から10時間41分もかかっています。夜行急
行は決して速くありませんでした。人々の活動時間
もありました。あまり早く着いたところで乗り継ぎ
がうまく行かなかったり、街も動いていなかったり
ということもありましょう。コンビニはなかったし、
終夜営業のお店も少なかったのです。
また、夜行急行は大きな駅ごとに長い間の停車を
しました。関川氏によれば、浜松5分、名古屋6分、
京都12分という長い停車時間があったからです。
これは電化された後になっても乗客にホームでの
洗面を保証するといった慣習が続いていたからだと
のこと。
次回も話を続けさせてください。
(つづく)
(あらき・はじめ)
☆バックナンバー
⇒
https://heitansen.okigunnji.com/
荒木さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
↓
https://okigunnji.com/url/7/
●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
https://amzn.to/31jKcxe
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
----------------------------------------------
-
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
■メルマガバックナンバーはこちら
http://okigunnji.com/url/105/
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:okirakumagmag■■gmail.com
(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
--------------------
ビタミン、ミネラル、サプリメントなら
↓ ↓ ↓ ↓ ↓、
http://okigunnji.com/url/108/
※↑は5パーセント割引専用URL。利用者多数
---------------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。
Copyright(c) 2000-2022 Gunjijouhou.All rights reserved.