こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」第382号。
「第2師団集合教育「レンジャー」」の三回目です。
では今日の記事、早速ご覧ください。
エンリケ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ライター・渡邉陽子のコラム (382)』
第2師団集合教育「レンジャー」(3)
渡邉陽子(ライター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんばんは。渡邉陽子です。
コロナによるリモートワークは私にはあまり関係ありませんでした
が、新しい働き方によって飛躍的に便利になったものがあります。
それは音声文字起こしアプリ&ソフトが激的に増え、しかもクオリ
ティは高く、料金は安くなったことです。
ライターにとって文字起こしほど苦痛なものはありません。1時間
のインタビューの文字起こしには3~4倍の時間がかかると言われ
ています。
15年ほど前に買ったソフトはCDで5万円でした。ひとりの声し
か判断できず、聞き取りレベルもかなり残念なものでした。今は年
間1万円ちょっとで時間無制限の利用、動画にも対応でき対談や座
談会でも使えます。60分までなら無料というものもあります。
先日並木書房の社長に教えていただいたアプリも素晴らしいクオリ
ティで、近日中に有料会員になる予定です。
まだケバ取り作業は必要ですが、1から起こすより心理的にもはる
かに楽です。特にここ半月ほど、取材がことごとくネットを介して
だったので、本当に助かっています……!
◆最新刊です!
『神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生』が刊行
されました。Amazonだと送料がかかってしまいますが楽天ブックス
なら無料です。発送も楽天のほうが早いです。また、Amazon Kindle
から電子版も発売中です。
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
https://amzn.to/3CL1aat (単行本 アマゾン)
https://amzn.to/3O2riTI (電子本 アマゾンkindle)
https://a.r10.to/ha0qvt (単行本 楽天ブックス 送料無料)
◆雑誌記事のお知らせです。
『丸』9月号に3年ぶりに開催された陸上自衛隊第7師団記念行事
の記事が掲載されました。機甲師団の観閲行進や訓練展示の紹介の
ほか、北海道に位置する7師団がなぜ現在に至るまで機甲師団たる
のか、その事情もご紹介しています。
https://amzn.to/3biPRgK
■第2師団集合教育「レンジャー」(3)
ところが一晩かけて山地潜入し橋梁爆破などを経た翌朝は、様子が
一変していました。
食事のために一度腰を下ろすと、立ち上がれない学生が続出。
空腹よりも渇きよりも猛烈な眠気に襲われた学生は、一蓮托生のバ
ディが必死に声をかけようが、助教があの手この手で起こそうが、
なかなか起き上がることができません。
ただ眠いだけなら数人がかりで強引にでも立ち上がらせるのですが、
脱水症状や熱中症の可能性もあるので見極めが難しいところ。衛
生隊員はもちろん救急車、通称アンビも常に2台帯同しています。
この日は朝から道北とは思えないほど猛烈な暑さで、雲ひとつない
青空に照り付ける太陽は、隊員から容赦なく体力を奪います(取材
陣の体力も)。
レーションですがご飯&おかずという組み合わせは、最終想定が始
まってから初めてまともな食事のはず。とはいえ本来なら温かい状
態で食べられるものをそのまま食べるので、固い白米に刺したフォ
ークがポキリと折れてしまう学生も。それでも食べているならまだ
元気な証拠で、食事に手をつけることもできず完全に寝落ちしてい
る学生も片手では足りません。
取材に帯同してくれた第2師団広報のレンジャー隊員に「飢えと渇
きと睡魔、どれがいちばんきつかったですか?」と尋ねると、間髪
を入れずに「眠気です」と返ってきました。
「元気なうちは腹が減ったとか喉が渇いたとか、そっちが優先する
んですが、睡眠不足がいちばんこたえますね。『飲まず食わずでい
い、5分でいいから寝かせてくれ』と思うようになります。一度座
っちゃうと自然と目が閉じてしまうし、歩きながらも寝落ちしそう
になります」
実はこの時間帯、助教のひとりが持っていた熊スプレーが誤って噴
射されてしまい、ほんの一瞬のことだったのに取材陣も含めてみん
な咳が止まらなくなりました(熊スプレーの効果を実感しました)。
それでも目を覚まさない学生がいたのには、驚きを通り越して思
わず笑ってしまったのは余談です。
教官、助教はひたすら鬼役に徹しているように見えるものの、本当
に気力体力が限界に達しようとしている学生には静かに声をかけた
り、ほとんど抱きかかえるように学生を立ち上がらせて身支度を整
えてやったりしていて、しかも学生の倍は動いています。
指導部の隊員は交代制なのでそれだけ動けるのは当たり前ではある
のですが、起き上がる気力もなくバディの必死の呼びかけにも応え
られない学生を再びフル装備させて山中に潜入させるのは、並大抵
の労力ではありません。
一方、教官や助教の苦労は学生の負荷に直結しているので、おそら
く学生の心中ではあらゆる罵詈雑言を助教たちに浴びせていること
でしょう。しかし彼らが発することができる言葉は「レンジャー!」
のみです。
ようやく山地潜入に向けて歩き始めても(予定されていた時刻より
大幅に遅れての出発です)、遅れている後続の学生を待っている間
に、強烈なアスファルトの照り返しで元気だった学生までまいって
しまいました。
すでにアンビは満員(ただその後全員が復帰しています)、ここか
ら12時間で伏撃しつつ約9キロの行程を進まなければなりません。
最終想定の2日目でこの様子、取材している側が大丈夫だろうかと
不安になります。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/
ご意見・ご感想はコチラから
↓
http://okigunnji.com/url/7/
□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年
https://amzn.to/3ar7IBq
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
を刊行。
https://amzn.to/3nQiCE2
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個人情報を伏せ
たうえで、メルマガ誌上及びメールマガジン「軍事情報」が主催
運営するインターネット上のサービス(携帯サイトを含む)で紹
介させて頂くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝しています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、心から感謝
しています。ありがとうございました。
------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
http://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置き換えてください)
------------------------------
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
<丸谷 元人の講演録&電子書籍>
謀略・洗脳・支配 世界的企業のテロ対策のプロが明かす…
知ってはいけない「世界の裏側」を見る
http://okigunnji.com/url/13/
---------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。
Copyright(c) 2000-2022 Gunjijouhou.All rights reserved.