186回の美佐日記。
きょうも興味深い内容です。
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桜林美佐の「美佐日記」(186)
日本人も宗教についてちゃんと学ぶ必要がある
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年9月の今回
は186回目となります。
最近のテレビでは「統一教会」ばかりなのだそうで、
皆さん観たくないといいます。犯人の取り調べの
経過も知らない中で、世間の関心は完全にこちらに
向けられてしまいました。
なぜ、テレビは統一教会ばかりなのかと言う方がい
ますが、放送局は視聴率が取れる内容しか企画しま
せんので、これはいわば「数字が取れる」というこ
となのでしょう。
読者がお金を払って買う新聞と違い、テレビは番組
やコーナーをスポンサーに買ってもらいますので、
視聴率が低くなることは許されません。
そのため、繰り返し流されるということは、視聴率
が高い(か、他の内容よりマシ)だということです
ので、視聴率が下がるようになれば放送されなくな
ります。
また、政治家との関係が問題になっていますが、彼
らは「統一教会です」と言って来るわけではなく、
知らないまま手伝ってもらっていたという場合も多
いようで、難しい問題です。
身元を調べないなんてガードが甘いと言われるかも
しれませんが、信仰を尋ねたり、まして調べるなん
てことができるはずはありません。
そして、政治家が応援してくれる人を選ぶことがで
きないように「応援してくれる人を選べない」と言
えば、そう、自衛隊も全く同じでしょう。
本来であれば、相手はどんな人なのか知る必要があ
りますが、そうはいきません。私は昔から「私は自
衛隊の応援団やってます」の人たちのほうが「自衛
隊反対!」の人より、本心なのかウソなのか見極め
ができず、付き合い方が難しいだろうなあと眺めて
いました。
ところで、8月31日は概算要求のニュースがメイ
ンになっていましたが、実は防衛省では別の出来事
も起きました。
所属部隊でセクハラの被害を受けて辞めた元自衛官
の女性が、第三者委員会による公正な調査を求める
という署名10万5000人以上分を防衛省に提出
したのです。
自衛隊で同じような被害を受けた人をネット上で募
ると100人以上から自衛隊でハラスメントを受け
たという回答があったといいます。
当然、沈黙している人もいるでしょうから、もっと
多くの自衛官が悩んでいるのだと思われます。
民間の世界では、もはやセクハラどころか容姿をほ
める「美人は得だね」なども「セクハラ的発言」と
して「アウト!」ですので、自衛隊で起きているこ
とは酷く、対応はるかに甘いと言わざるを得ないで
しょう。
女性を増やし、共存していくつもりなら、問題が発
生した時の解決機能を早急に整備することが絶対的
に必要だと思います。
パワハラも含め軍隊ではハラスメントはつきもので
すが、悲しいのは、辞めていくのはいつも被害者の
ほうで、問題を起こした人は大手を振って残ってい
ること。これはハラスメントを受けた人が口を揃え
ます。
確かに「被害者にも落ち度はある」ケースもあるで
しょう、しかし、この人材難の時代に、隊員を辞め
させてしまう、それだけで罪だと私は思います。
そんな中、自衛隊を取り上げる雑誌のタイトルを見
たら「実は働きやすい!? 「自衛隊」は女性がチ
ャレンジしやすい職場環境」とあったので、このタ
イミングに、なんだか気の毒でした。
とにかく「募集が大変だ」と言う前に、悪質なハラ
スメントに対する意識をもっと高めて、対処の体制
を強くしようよ、と思います。そうでないと、どん
なに募集を頑張っても、全て台無しになってしまい
ます。
もう一つの問題は、こうした組織に守ってもらえず
追い詰められた人に手を差し伸べるのが左翼系のグ
ループが多いということです。カルトが絡む余地を
作る可能性もあります。
現在、世間を騒がせているカルトの問題もそうです
が、人は心の拠り所が必要なのに、日本では宗教や
信仰ということにどこか抵抗を持つ人が多く「無宗
教です」ということが良いという感覚があります。
統一教会の報道でなおさら、怖くなった人も多いか
もしれません。しかし、こうした信仰そのものをも
否定してしまう考え方が、どうしても心の拠り所が
必要になった時にカルトに走ってしまう原因にもな
っているような気がしてなりません。日本人もそろ
そろ宗教について学ぶ必要があるのではないでしょ
うか。
ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリン
さんの記事によりますと、ドイツでは公立学校に宗
教の授業があり、なんと「カルトの危険性」につい
ても学ぶのだそうです。
ドイツで「宗教」と認められるのはキリスト教、ユ
ダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教の5つ。
これらの派生型は「カルト」と整理されるのです。
ここまで絞らなくても、少なくとも「出入り自由」
かどうが、カルトかどうかの一つの見極めになるの
ではないでしょうか。ただし「縛られたい」「所属
している感が欲しい」という人には、むしろカルト
のほうが魅力的に見えるのかもしれませんが・・。
各地の大学でもカルトの勧誘は激しいようです。青
山学院大学は統一教会はじめいくつかの団体を名指
ししHPで「サークルのふりをした危険な宗教団体
に注意しよう!!」と注意を呼びかけています。
知らず知らずにのめり込み、かつてはキャラバン隊
に組み込まれた学生が学業もそっちのけで全国で花
を売り歩いたりしていたのだそうです。
いわゆるモルモン教やエホバの証人もキリスト教と
認められていません。そのあたり、誰も教えてくれ
ないので知らない日本人は多いのではないかと思わ
れます。
日本では「政教分離」の言葉を誤解していて、例え
ば自衛官が制服で神社や教会に行ったらいけないか
のように捉えているようですが、本来の意味は宗教
が政治に大きな影響力を与えてはならないというこ
とです。
宗教についてちゃんと学ばない国民が国際社会でど
のように生きていくのか、宗教について、曖昧ではな
く、しっかり名指しした上での学びを学校などで始
めることが必要ではないでしょうか。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございま
す!どうぞ良い1週間をお過ごし下さい!
<おしらせ>
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
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