こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」第380号。
きょうから、新しいテーマが始まります。
「第2師団集合教育「レンジャー」」の一回目。
では今日の記事、早速ご覧ください。
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (380)』
第2師団集合教育「レンジャー」(1)
渡邉陽子(ライター)
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こんばんは。渡邉陽子です。
先日、知り合いの方から「都合が悪く行けなくなった」とチケット
をいただき、明治座150周年記念の催しのひとつである落語を聞き
に行ってきました。噺家は誰もがご存じの著名な人にも取材したこ
とがありますが、実は私自身が落語に強く興味を持っているという
わけではなかったので、取材のための勉強をしてそれで終わり、以
降は相変わらず無関心のままでした。ところが今回、3人出演した
噺家の中で柳家喬太郎の落語に大爆笑し、人生で初めて「落語で爆
笑」を経験しました。あまりに面白くて、帰宅後に喬太郎の動画を
探して観てまた大笑いしたどころか、翌日には喬太郎出演の高座の
チケットを買ったほどです。これはもう私の「推し」でしょうか
(笑)
落語をご存じの方なら「なにを今さら喬太郎、とうの昔から人気者
なのに」と思われるでしょうが、落語初心者ゆえそこはお許しくだ
さい。日本の伝統芸能最高です!
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■第2師団集合教育「レンジャー」(1)
3年前にレンジャー最終想定密着取材の記事をご紹介しました。取
材中に父が緊急入院しそのまま緩和ケアに移行したため、家族から
「取材を切り上げて帰ってこられないか」と連絡を受けたこともあ
り、忘れられない取材です。
そして昨年、3年ぶりに再び同じくレンジャー最終想定の取材に行
ってきました。
取材地は同じ北海道の名寄でも昨年のほうがはるかに暑さは厳しく、
学生より先に自分がぶっ倒れるのではと不安になるほどでした。
広報のWACに心配されるほどのぼせて顔が真っ赤になったり、い
つも履いている半長靴がなぜか合わず両足の小指の爪がはがれたり
と苦労もあったので、体調不良で部隊にご迷惑をかけずに取材を終
えられたときはほっとしました。
同じ最終想定でも、教官や助教、学生は全員メンバーが違うのです
から違うドラマが生まれます。数週にわけてご紹介します。
2021年5月5日から7月30日までの約3カ月間、第2師団の
令和3年度師団集合教育レンジャーが実施されました。
レンジャー教育の目的は、選抜された隊員に対し、主として遊撃行
動により困難な状況を克服し、任務を完遂する能力および精神力を
付与することです。
教育終了後の隊員は最前線で食料や弾薬の補給が受けられない過酷
な状況下でも長期間潜在して任務を完遂するほか、各種災害派遣に
おいては、リペリングなどの特殊な技術を駆使して人命救助にあた
ります。
陸曹・陸士のレンジャー教育は師・旅団単位で行なわれ、担任は師
・旅団の普通科部隊の持ち回りとなっています。今回の担任部隊は
第3普通科連隊、訓練担任官は第3普通科連隊長(当時)の山崎潤
1佐。名寄駐屯地(3連隊、現第3即応機動連隊)で実施するのは
3年ぶりとなります。
レンジャー教育は希望すれば誰もが参加できるというわけではなく、
まずは資格検査に合格しなければならなりません。
年齢、身長、色覚、視力、血圧、心電図など身体条件をすべてクリ
アし、さらに背筋力、握力、肺活量などの身体能力も基準が定めら
れています。
さらに手りゅう弾投てきや懸垂、土のう運搬など、8種類の体力検
査に3種類の水泳検査をすべてクリアした者だけがレンジャー教育
に参加する資格を得られます。この資格検査のハードルはかなり高
いものです。
今回、2師団では65名が資格検査を受検、そのうち合格したのは
半分以下の29名。さらにそのうち3名がレンジャー徽章を手にす
ることなく原隊復帰しています。
ちなみに今回は2名がけが、1名が病気ということで、本人の気持
ちがどうであれ肉体的に教育を受けることが不可能と判断されまし
たが、これが「もうついていけない」と心が折れて脱落する、いわ
ゆる「意志崩れ」による原隊復帰だと、残された学生たちの士気に
も大きく影響するそうです。
訓練は大きく基礎訓練と行動訓練にわかれています。
基礎訓練では行動訓練に必要な各種の訓練を個別に練成します。具
体的には、体力調整と呼ばれる体力訓練(懸垂や腕立て、かがみ跳
躍、小銃を持っての持久走など)や地図とコンパスを使用した訓練、
ロープなどを使用した山地潜入訓練、ヘリを使用した空路潜入訓
練(リペリングなど)、偵察ボートなどを使用した水路潜入訓練、
食料を現地で調達し食事を確保する生存自活訓練、敵部隊を撃破す
るための訓練です。
行動訓練はより実戦的で、山岳地帯の厳しい自然環境のなか、広範
囲におよぶ山地を行動する「山地潜入」、レンジャー隊員として必
要な「偵察」「襲撃」「伏撃」行動などを反復し、総合的な訓練を
行ないます。
行動訓練では9つの想定と呼ばれる仮想シナリオが実施されるので
すが、第1想定から最終想定の第9想定まで、数字が大きくなるほ
ど任務は複雑化、訓練場所も演習場外にまで広がり、全工程にかか
る時間も長くなっていきます。どの想定でも学生たちは「戦闘隊」
という位置づけで、最終想定における戦闘隊長、副戦闘隊長、通信
手、小隊陸曹、班長といった役職は結節で替わり、学生全員が経験
する。いつどのタイミングでどんな役職を命じられるかわからない
ので、これも学生にとってはプレッシャーになるでしょう。さらに
教官、助教は段階的に「こうしろ」「ああしろ」という指導を減ら
し、想定が進むほど学生たちだけで考え判断させるようにしていま
す。
6月29日、行動訓練開始式では学生たちが円陣を組みました。
旗手の学生が「俺たちは29人で34期だ。ここにいる26人で3
人の分も頑張ってこよう。そして帰ってきたときは自信を持って『
レンジャー』と言えるよう、絶対に妥協しないようにしよう!」と
叫び、学生たちが「レンジャー!」と続きます。この先に待つさら
なる苦しい訓練に臨む覚悟を改めて決めたひとときです。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年
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