183回の美佐日記。
先が読めずドキドキしました。
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桜林美佐の「美佐日記」(183)
「こんどは何が起きた??」。思いがけない絶景紀
行
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年8月の今回
は183回目となります。
今年は行動制限のない夏休みということで「3年
ぶり」の行事・イベントが多いようです。当たり前
のように行っていた盆踊りや花火大会も、できない
期間を経ると、こんなにありがたいものなのかと感
じます。
このところ、コロナの影響で中止になっていた講
演会なども復活し、お声掛け頂く機会が増えていま
す。
化粧をしてスーツを着て駅まで歩きや自転車で行
って汗だくになってもいけませんので、そんな時は
タクシーを使うことになりますが、福岡や佐賀でか
んじのいい運転手さんばかりと出会った反動でしょ
うか、関東では愛想の悪い人が多いので極力乗りた
くありません。
そこで、先日は夫に車で新宿駅まで送ってもらっ
たのですが、飲み物を買って松本行きの「あずさ」
に乗ろうとした時に青ざめたのでした。スマホがな
い!
携帯がないということは、電話をかけて持って来
てもらうこともできないですし、そもそも講演に行
く先との連絡もできない。
もう頭が真っ白で新宿駅が暗闇にしか見えなくな
りました!しかし、考えてみると、講演会の1時間
ほど早めに到着する計画だったので、これはもう取
りに帰るしかありません。
まずは「みどりの窓口」で切符を払い戻さなけれ
ばならないのですが、案の定、人が並んでいる。次
の「あずさ」は1時間後しかないので、ここで列に
並んで払い戻した後に家まで戻っても間に合ったの
でしょうが、心情的にいたたまれず、払い戻しは諦
めて携帯を取りに行くことに。
タクシーを拾いたくても、つかまらず、止まって
いられないのでとにかく走る。どんどん走ってやっ
と無理矢理に止まってもらい、自宅に着くと全身は
汗だくです。
あまりにも動揺して、握りしめていた切符もどこ
かにいってしまい、帽子も道に落としたようで、自
分でもここまで慌てるものかと驚きました。
そんなわけで結局、汗びっしょりの服でなんとか
ギリギリの時間に松本に辿り着き、無事に講演を終
えました。
しかし!松本駅まで送ってもらい、やれやれ電車
に乗ろうと改札に行くと、なんと沿線火災が発生し
たということで新宿方面電車が全て運転見合わせに
なっているではありませんか!
長年、ニュースの仕事をして交通情報も扱ってき
ましたが、沿線火災では運転再開はまず望めません。
駅員さんにとにかくなんとしても東京に戻る方法
を教えて欲しいと詰め寄り、運転再開を待つか、数
分後に長野まで行く特急があるのでそれに乗るかだ
と言われ、その特急「ワイドビューしなの」に乗る
ことに。
だいたい「運転再開を待つ」の選択肢を示すのは
おかしいでしょ! 見込みがないのに!と彼を責め
てしまいましたが、その駅員さんは結局、切符の券
売機まで一緒に行ってくれて特急と長野からの新幹
線の席の確保までしてくれたので、ありがたいこと
ではありました。
私としては、すでに行きの電車の切符も2回も買
うという失態があったので、この上、想定外の新幹
線代までも出費するのが耐えられず、かなりぶーた
れましたが、とにかく東京まで、予定よりも30分
程度遅くなるものの帰れるのだからやむを得ないと
自分に言い聞かせました。
で、ようやく「ワイドビューしなの」に乗り込む
と、講演を聴いていて下さったという方が声をかけ
て下さり、少しほっとしてフト気付くと、この電車
は窓が非常に大きく、まさに「ワイドビュー」にふ
さわしい作りになっています。
車窓を呆然と眺めていると、段々と素晴らしい景
色が現れてきます。講演が終わった時の松本は雷雨
になっていたのですが、そんなことはすっかり忘れ
る晴天の夕暮れ時です。
そのうちにさらなる絶景が目の前に出てきます。
日本三大車窓の一つとして知られる「善光寺平」で
した。また、この篠ノ井線は明治の頃に作られた歴
史ある路線で、山間部を走行するため途中で「スイ
ッチバック」といって一旦後退して勢いをつけて前
進する場面があるのです。
そのあたりの説明を車内放送でしていたようなの
ですが、よく聞いていなかったために、「姥捨」駅
で、いきなり電車が後退し始めた時は「ひえ~~っ、
こんどは何が起きた??」と、また帰れなくなる
のではないかと慌てふためいたのでした。
因みに「姨捨」駅は、根室本線狩勝(かりかち)
峠、肥薩線矢岳(やたけ)峠と並び国指定の「名勝」
にも指定されているとのこと。
ただ、「姨捨」の名前から、老人を捨てた山なのか!
と、思ってしまいますが、実際、ここは、かつて
の殿様が老人を山に捨てるようお触れを出したもの
の、結果的にはそれはなされずに、おばあちゃんの
知恵によって敵からの攻撃を防ぐことができたとい
う逸話があるのだそうです。
とにかく、全く思いがけずにこのような物語の溢れ
る絶景紀行を体験できたなんて、終わってみれば実
にラッキーな1日だったのでした。忘れっぽい私で
すが、決して忘れない日となることでしょう・・・。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございます
!どうぞ良い1週間をお過ごし下さい。
<おしらせ>
●メルマガ「軍事情報」でもご紹介頂きましたYo
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たロシアのウクライナ侵攻』の書籍版が、ワニブッ
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)、
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
(ワニブックス)
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