配信日時 2022/08/08 20:00

【我が国の未来を見通す(35) 】「農業・食料問題」(17) 総括「農業・食料問題」     宗像久男(元陸将)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
合わせは以下よりお気軽にどうぞ
 
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WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんばんは、エンリケです。

本連載のアーカイブサイトができました。
https://wagamirai.okigunnji.com/

過去記事をすべて格納してますので、
ブックマークに入れ、折に触れ読んでみてく
ださい。



今回で、農業食料問題は大団円を迎えました。
書き終わられての宗像さんの思い。
痛いほど突き刺さります。

拝読しながら思ったのが
農業食料問題と軍事防衛問題
は似ているなあということでした。

そもそも農業と軍事が、
人文から自然科学まで網羅するすそ野が広い総合分
野だからなのかもしれません。
ただ農業には、軍将校に相当する分野ジェネラリス
トという仕組みがありませんね。

9月の再開を楽しみにしております。

さっそくどうぞ


エンリケ



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我が国の未来を見通す(35)

「農業・食料問題」(17)
総括「農業・食料問題」

宗像久男(元陸将)

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□はじめに(農業は自然を破壊するか?)

 だいぶ前のメルマガの冒頭紹介時にエンリケさん
から「農業は世界最古の自然破壊」という言葉を教
えていただき、納得したことを覚えています。

私自身も「農業・食料問題」に取り組み始めた頃、
「世界最古のメソポタミア文明が滅びた原因は、外
部の侵略ではなく、人口急増に伴い、必要とする穀
物等を確保し生産を続けることが不可能になったこ
とにある」との文章を読んだ記憶が蘇ったからです


 チグリス・ユーフラテス川流域に開花し、繁栄し
たメソポタミア文明は、両河川が運んでくる肥沃な
大地と豊かな森を背景とする農業力の恩恵を受けて
発展しました。具体的には、運河を掘り、用水路を
つくり、両河川から水を引く大規模な潅漑事業を国
家事業として展開し、塩害を引き起こさないよう厳
密なコントロールを行なっていたのです。

しかし、人口が増えるに従い農地や住宅地を求めて
人々は上流の森林を開拓するようになり、これが豊
かな土地の荒廃の始まりになりました。森林伐採に
よって土砂が流出し、洪水がひんぱんに起こり、つ
いには土壌に蓄積された塩分によって土が劣化し、
表土破壊によって農業の衰退が拡大しました。それ
が原因となって文明そのものが消滅したのでした。

実は、インダス文明、エジプト文明、あるいは黄河
文明も同じような人口増加に伴う自然破壊によって
衰退したともいわれます。これらから、冒頭のよう
に「農業は世界最古の自然破壊」のような言葉が定
着したのだと思います。歴史は繰り返しています。
最近では、北朝鮮などで同様の現象が起きているよ
うです。

一方、アメリカなどでは、我が国のような「荒廃農
地」の拡大ではなく、「農地の砂漠化」が進んでい
るようです。1980年代時点で、すでに全体の1
0%に相当する2億5000エーカー(約1億01
25万ha)が砂漠化現象を起きており、現在はそ
の2倍近い面積が砂漠化の危機に直面しているとい
われます。その要因は、(1)地下水位の低下、(2)表土
および地表水の塩類集積、(3)地表水の減少、(4)土壌
侵食、(5)土着生物の減少などの兆候が絡み合ってい
るとのことです。

日本の火山同化物を主体にした土壌(黒土)は、非
常に水はけがよいため、専門家の間では「日本では
耕地における塩害集積は起こり得ない」とされてい
ますが、最近は、化学肥料などの多投による塩類集
積がひんぱんに起こるようになっているともいわれ
ます。

農業による自然破壊は、人類文明発症の頃からはじ
まり、現在も続いており、その現象は我が国におい
ても例外でなく、このような面でも農業政策の難し
さがあることを肝に銘じる必要があります。まさに
、「農業と自然の共存」は農業が目指す究極の目標
でもあるのでしょう。

蛇足ながら付け加えますと、現役時代、陸幕防衛部
長だった時、イラク復興支援のために陸上自衛隊を
派遣することになり、その計画を担当することにな
りました。活動拠点は、ユーフラテス川流域に所在
するサマーワで、給水支援も活動の1つでした。私
たちは、川の水に塩分が含まれていることを知って
いましたので、塩分も除去できる「逆浸透型浄水装
置」を持ち込んだことを思い出します。当時は、そ
の歴史までは深く考えていませんでしたが、いま思
うと余計に納得します。

▼「農業・食料問題」を通じて沸いた疑問

さて、第2編「農業・食料問題」に取り組んでから
かなりの月日がたち、メルマガも17回目を迎えま
した。改めて、そのすそ野の広さ、この問題を解決
するために“メス”を入れなければならない切り口
の多さと複雑さ、過去から現在、そして将来につな
がる“紆余曲折”(この言葉自体がこの事実を物語
るために作られたのではないかと考えてしまうほど
です)など、関係者以外がむやみに立ち入ることを
拒んでいるのではないか、としばしば思ったことで
した。

その上、立場によってどうしても考え方や取り組む
姿勢も違い、時に不協和音がうずまき、農業問題だ
けにまさに「我田引水」のような現象が起きている
のではないかと疑うこともありました。

そのような「農業・食料問題」に取り組んできた結
果、素人なるがゆえに極めて単純に沸いた疑問が6
点あります。
まず1点目は、農業問題の専門家といわれる人たち
は、“これらの切り口のうちのいずれかの専門家”
であって、農業や食料問題全般を広くかつ詳しく知
っている専門家はいるのだろうか、という疑問です
。その意味では、「すそ野」があまりに広すぎるの
かも知れません。

2点目は、我が国の農業政策をリードする役割を担
っている農林省の官僚は、農業の専門家集団ではあ
るのでしょうが、法律を作り、補助金を交付するこ
とは繰り返してきても、「農業の現場」をどこまで
知っているのだろうかという疑問、さらには、失礼
ながら、「農業・食料問題の解決が我が国の存亡を
左右する」との認識のもと、“命を懸けているのだ
ろうか”という素朴な疑問です。

3点目は、農業事業に関係している企業等は、その
目標や問題意識はある程度共有していても、得意分
野や努力の志向が違い、農薬会社と有機栽培・無農
薬栽培が真っ向からぶつかるように、互いに利害関
係を有しているのではないだろうかという疑問、さ
らに農業が事業として採算が取れるから参入すると
しても、農業問題が抱える本質まで理解した上での
参入なのだろうかという疑問もあります。

4点目は、政治家は農業・食料問題に真剣に取り組
んできたのだろうか。農林省の官僚と一緒になって
取り組んできた、たとえば「減反政策」のような農
政は正しかったのだろうか。その結果を検証したの
だろうかという疑問です。以前、個人的な経験とお
断りつつ、「50年前、農家は政治家と農林省の役
人に潰された」との兄の言葉を紹介しましたが、減
反政策は、1970年から開始され、2018年に
廃止されました。農家の農業離れが進み、農業の衰
退と軌を一にしていることから、この発言はあなが
ち間違っていないと思うところがあります。

前回、紹介しましたように、安倍元首相がようやく
「強い農業」を目指し、舵を切り直しましたが、そ
れまでの間、政治家は農林省の官僚や専門家の提言
を追認していただけではないか、とどうしても思っ
てしまいます。私は、そこには何か、自衛隊の「シ
ビリアン・コントロール」とその本質が共通してい
るような気がしてなりません(このくらいで留めて
おきます)。

5点目は、これまで先祖代々の農地を守り続けるこ
とに宿命のようものを感じつつも、誇りをもって、
細々ながらも農地を守り、耕し、農産物を生産して
きた、言葉を代えれば「農耕民族」の血は、現在の
ような社会環境の中で失われてしまっているのだろ
うか。失っているのならその復活は難しいのだろう
か、という疑問も浮かびます。

農業人の一部の人たちが「守る農業」から「攻める
農業」に脱皮しつつあるのは喜ばしく感じますが、
いずれにしても、農業人として、このような精神は
不滅であってほしいと願っています。

最後の6点目は、国民、特にマスコミの関心です。
農業新聞や利害が直結する地方新聞はさておき、農
業問題が全国紙の1面を飾ることはめったにないで
しょうし(私は記憶の限り、一度もありません)、
マスコミ人の中にも農業問題の専門家もおられると
思いますが、農業問題で名が売れているマスコミ人
を私は知りません。

これらが原因となって、多くの国民も我が国の農業
や食料問題の「現状」や「将来」にほとんど関心を
持っていないのでしょう。しっかり認識しておれば
、食物を大切にし、「フードロス」のような現象も
起きないのではないでしょうか。教育などの現場で
もしっかり教え、かつ学ぶ必要があると考えます。

これらを総合すると、「農業・食料問題」の抜本的
解決策は、過去の延長線上にはなく、これまでだれ
もが考えつかなかったような「奇策」が必要との思
いがますます深まっています。

▼これまで触れなかった問題点・課題

 さて、これまであえて触れなかった農業や食料に
絡む問題点や課題も残っています。広い「すそ野」
の一部でもあります。最後にまとめて紹介しておき
ましょう。

◇JA(農業協同組合)
 通称、JAは、「農家の営農維持・所得水準向上
・食糧の安定供給を目的として、相互扶助の精神に
基づき設立された農業協同組合(農協)」であり、
全国で562からなる「JAグループ」を形成し、
組合員は約1051万人を数えるといわれます。

 これらJAグループが組織・事業の枠を越えて連
帯する組織として、1954年、特別認可法人「全
国農業協同組合中央会(JA全中)」が認可され、
協同組合原則にもとづき運営されてJAグループの
中心的な役割を担っています。2019年には「一
般社団法人」へ変更しました。ちなみに、「JA全
農」は、「JAグループの中において、農畜産物の
販売事業・生産資材の供給などの経済事業を担当し
ている下部組織」を指し、主に、スーパーやガソリ
ンスタンドの運営やコープの商品開発などを行なっ
ています。

このように、JAグループは、いわゆる「営農」と
いわれた農家を支える組織として大切な役割を担い
、特に金融事業や共済事業で農家の“後ろ盾”とな
って来ましたが、最近、金融事業への依存から脱却
し、農業関連事業で利益を出すために計画を改める
よう政府から求められているとのことです。

 その結果、JAグループの約4分の1にあたる1
18のJAが赤字に転落するということも取り沙汰
されています。細部は省略しますが、「強い農業」
に脱皮する時、「守る農業」のシンボルのような存
在だったJAグループのあり方も問われているので
はないでしょうか。

◇飼料・肥料
最近のニュースを丹念に読むと、異常なまでの飼料
の値上げが続いているようです。その要因として、
まずは、円安、次にロシアのウクライナ侵攻による
価格そのものの高騰と原油高から輸送料の高騰、さ
らに、中国内のコロナ感染の再拡大の影響で、中国
からの調達が困難になったこと、などさまざまです


我が国には、「配合飼料価格安定制度」があり、配
合飼料価格の上昇が畜産経営等に及ぼす影響を緩和
するため、 (1) 民間(生産者と配合飼料メーカー
)の積立てによる「通常補塡」と、 (2) 異常な価
格高騰時に通常補塡を補完する「異常補塡」(国と
配合飼料メーカーが積立て)の2段階の仕組みによ
り、生産者に対して補塡を実施しています。

このたび農水省は臨時の特別措置として、配合飼料
価格安定制度の「異常補塡」基金からの発動基準で
ある輸入原料価格の115%超を112.5%へと
引き下げました。また、異常補填金の国による積み
増しも行なっており、当面は、これらによる生産者
への十分な交付が可能となっているようです。

また同様の要因で、肥料も値上がりしています。5
月末、JA全農は6月から10月に販売する肥料に
ついては、前期(昨年11月から5月)に比し、最
大94%値上げすると発表し、話題になりました。
特に、尿素の原料となるアンモニアが、ウクライナ
侵攻に伴う天然ガス高騰により上昇しているなどの
影響もあるようです。

◇種苗(しゅびょう)
優良な品種は、我が国農業の強みの一つであり、輸
出品目として海外でも高い評価を得ています。一方
で、シャインマスカットやイチゴなどの種苗が海外
に持ち出され、中国や韓国で産地化された上で東南
アジアなどにも輸出され、我が国からの輸出産品と
競合するなどの問題も指摘されています。
 
特に、中国国内では、「日本新品種」とか「日本引
進的新品種」と修飾語を冠した品種が通販サイトで
堂々と売られているとのことで、権利関係は全くク
リアになっていないようです。ウエブサイトで確認
された日本の登録品種は、紅ほっぺなどイチゴ10
品種、シャインマスカットなどブドウ4品種、はる
みなどカンキツ10品種、もりのかがやきなどリン
ゴ3品種をはじめ、ナシ、カキ、サクランボ、サツ
マイモなど計36品種に及んでいるようです。

このような植物の新品種に係る知的財産の重要性に
鑑み、我が国の登録品種が海外に流出する事例が見
られたことも踏まえ、優良な植物品種の育成者権を
保護し、新品種の開発を促進するため、政府は、令
和2年12月、「種苗法の一部を改正する法律」を
成立させました。この改正種苗法により、登録品種
の海外持ち出しを止めさせることも、我が国の農業
の発展のための喫緊の課題の1つであります。

▼「食品産業」の拡大

 これまで本メルマガでは、「農業・食料問題」を
一括りにして考え、主に農業問題を取り上げてきま
した。しかし、産業規模から比較しますと、農業は
全体で約9兆円に留まっていますが、いわゆる「食
品産業」は、今やGDPの約15%に相当する80
~90兆円の規模に及び、戦後の日本経済をけん引
してきた製造業の約60兆円をしのいでいるのです


改めて、「食品産業」の定義を確認しておきますと
、加工段階の食品工業に留まらず、素材供給産業と
しての農業、水産業,化学工業などから,流通段階
としての食品流通業,さらに飲食店などまで含む場
合が多くなっています。その中心は、食品加工段階
の食品工業ですが、この分野は、肉製品・乳製品製
造業、水産食料品製造業、野菜果実加工業、調味料
製造業、精穀、精粉、パン菓子製造業、飲料製造業
などに分れています。

「食品産業」の内容の変化や発展速度は,国民の生
活パターンの変化に最も大きく左右されますが、こ
の背景は、都市化の進展や余暇の増大、情報化の進
展,所得増大,教育水準の向上などが大きく影響し
ていると分析されています。

 農業の「6次産業化」が叫ばれて久しいですが、
産業規模からすれば、“食品産業がけん引するよう
な形で農業を吸収する”方が現実的で、消費者を意
識した「食品産業」側からバリューチェーンを機能
させ、農業、特に生産物や生産量をコントロールす
るようなアプローチが有力な一案と考えます。

「食品産業」は、すでに食料の安定供給や国民の豊
かな食生活の実現などの重要な役割を担うとともに
、地域経済の担い手としても重要な役割を担ってい
ますが、食料の輸入と輸出を含め、世界の食料事業
の中で我が国の「食品産業」のあり方を見直すとい
うアプローチも必要でしょう。

我が国の「食品産業」の重要性から、この際思い切
って、現在の「農林水産省」を「農林水産・食料省
」あるいは「食料省」とする案もあると考えます。
かつて、農林水産省と環境省と統合し、「食料環境
省」とする案を提案した政治家がおりました。冒頭
のように、環境破壊を引き起こす可能性がある農業
の特性を踏まえ、それを回避するとの発想のようで
すが、今は、「食料」の安定確保に“より重点を置
く”政策を推進する役所ということを重視し、「食
料省」を冠するのは有力な一案と考えます。

▼「農業・食料問題」まとめ

「農業」・食料問題」に対し、私が興味を持ち始め
たのは、次の3点、つまり、(1)先進国で最も低い一
人当たりの農地面積にかかわらず、荒廃農地(耕作
放棄地)が増加していること、(2)農業従事者が年々
減少し、かつ高齢化が進み、65歳以上が70%を
占めていること、(3)食料自給率が、先進国ワースト
の37%(カロリーベース)しかないこと、でした


 元々、農家の3男坊に生まれ、農家の苦労は物心
がついた時から知っていることも手伝って、以来、
この問題の背景、歴史、特にこれまでの農業政策、
現状、今後の見通しなど、さまざまな切り口から、
この問題に関する素人の立場でどこまでその核心に
近づけるかを探ってみました。幸い、個人的に関係
している企業が農業問題にすでに取り組んでいたこ
ともあって、農業の現場にも数回、足を運びました


 この間、何度も何度も乗り越えがたい壁にぶつか
り、そのたびに軍事作戦で言えば、「迂回」や「遅
滞行動」のようなやり方を駆使し、諦めることなく
、しかし、時に歯切れが悪くなりつつもチャレンジ
し続けて来ました。その結果、新たな発見がたくさ
んあり、一方、新たな疑問も湯水のごとく湧いてき
ました。

極めつけは、冒頭に紹介しましたように、文明の存
亡を左右する農業、国家や国民の未来がかかってい
る農業・食料問題に対して、政治家もマスコミも国
民もなぜもっと関心を持たないのだろうか、という
疑問でした。そしていつの間にか、その根本原因は
、この問題に関する門外漢が立ち入ることが難しい
「閉鎖的な空間」にあるのではないか、と考えるよ
うになりました(稚拙な表現で申し訳ありません)


そして、農業・食料問題を解決する知恵や実行力と
、この「閉鎖的な空間」を突き破る知恵や実行力は
“別もの”ではないかとの結論に至りました。

そのためには、相当の“荒治療”が必要であり、成
し遂げることができるのは、唯一政府の“強権”で
あろうと考えます。しかし、今の我が国は、政府に
そのような強さを期待できない「国の形」になって
おり、近い将来、このような“強権”を発揮するリ
ーダーの出現を期待するのは無理だろうと考えるに
至った時、明るい展望は開けないとの感覚に陥りま
した。

ただ、救いは、我が国の農業が留まることを知らな
い「無限の可能性」や潜在的な「魅力」を有し、そ
れらが近年、顕在化しつつあることです。多くの人
がそこに気づきさえすれば、輝かしい未来が待って
いると私は強く確信しています。

「農業・食料問題」に関して、本シリーズではこの
ような問題提起だけで終わるのは一抹の寂しさを感
じますが、いつか誰かの目に止まり、この続きを掘
り起こし、物語が完結することを望むばかりです。
読者の皆様には私の稚拙な分析にお付き合いいただ
き、本当にありがとうございました。

さて、第3編は「気候変動・エネルギー問題」を取
り上げようと思います。近年、確かに異常気象では
ありますが、この現象が人類の社会活動を通じて排
出されるCO2のようなものが原因となって起きて
いるのか、あるいは地球そのものの歩みのような、
別な要因があるのか、についてまず見極めようと思
います。さらに、今般のウクライナ戦争からエネル
ギー問題がクローズアップされましたが、これらを
絡め、いかに取り組めばよいか探ってみようと考え
ております。

そして最後に、少子・高齢化問題、農業・食料問題
、気候変動・エネルギー問題に加え、国防や防災な
どを含め、我が国の未来に立ち込める“暗雲”にい
かに対処するか、をとりまとめて本シリーズを閉じ
たいと考えております。

長くなりました。第3編は資料等の整理を含む準備
期間をいただき、9月初旬から再開したいと考えて
おります。請うご期待!
 


(つづく)


(むなかた・ひさお)



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 【著者紹介】

宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学
校卒業後、陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロ
ラド大学航空宇宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第
8高射特科群長、北部方面総監部幕僚副長、第1高
射特科団長、陸上幕僚監部防衛部長、第6師団長、
陸上幕僚副長、東北方面総監等を経て2009年、
陸上自衛隊を退職(陸将)。日本製鋼所顧問を経て、
現在、至誠館大学非常勤講師、パソナグループ緊
急雇用創出総本部顧問、セーフティネット新規事業
開発顧問、ヨコレイ非常勤監査役、公益社団法人自
衛隊家族会理事、退職自衛官の再就職を応援する会
世話人。著書『世界の動きとつなげて学ぶ日本国防
史』(並木書房)




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