配信日時 2022/07/22 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】フィンランドのNATO加盟(2)──近く配備さ れる64機のF-35 加藤喬(元米陸軍大尉)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんばんは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。

『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監
修), 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
※まもなく紹介MM配信!

武器オンチの日本人に
特におススメです。


冒頭文は名文です。

世界における安倍晋三なるもののの核心
わが国が本来あるべき姿

を見事に浮き彫りにしたじつにいい一文です。

拝読して、

タコツボ野郎にだけは決してならない。

改めてそう決心したエンリケです。

地球規模の視野で安倍晋三を評価する視座、よすがを、
日本国民は持ちあわせていません。

せめてこの記事でその体験をしてくれたらいいなと
思ってます。


本文のフィンランド空軍 F35に関する記事も
実に興味深い内容です。熟読精読の要ありです。


さっそくどうぞ


エンリケ


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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato  

フィンランドのNATO加盟(2)──近く配備さ
れる64機のF-35


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□米左派論壇が評価した「安倍流八紘一宇」
 
ニューヨークタイムズ紙は米リベラル派の思想を代
弁するメディアです。昨年1月の米議会議事堂襲撃
事件からパンデミックによる死亡率、銃暴力、妊娠
中絶に至るまで、ことごとく「民主党対共和党」の
観点から総括する社風があります。
 
当然ながら民主党寄りで、共和党のトランプ前大統
領など「民主主義の破壊者」との位置づけです。ち
なみに、アメリカを「制度的人種差別の国」と糾弾
し物議を醸した『プロジェクト1619』を主宰し
たのも同紙です。左派論壇の急先鋒に共感できると
ころは余りありませんが、保守派メディアの主張と
バランスを取るために読んでいます。
 
 そのニューヨークタイムズ電子版7月12日付に
「安倍晋三の遺産を読み解く」と題するコラムが載
りました。暗殺の衝撃冷めやらぬなか、米リベラル
派が安倍元首相をどう評価しているのかに興味を惹
かれました。
 
 曰く、「安倍は国粋主義者を輩出した政治家一族
の出身で、祖父は第2次世界大戦中の戦争犯罪容疑
をかけられた(著者注:岸信介のこと。東条内閣で
物資動員を取り仕切ったことからA級戦犯被疑者と
して逮捕された。後日不起訴となり放免)。安倍自
身も旧軍の残虐行為を軽視し、改訂教科書を通じ歴
史改ざんを図った。このため韓国をはじめとする東
アジア諸国との間に軋轢を生んだ。また、1945年以
降の平和主義を捨て、軍国主義を推進した」
 
 左派の主張は日本もアメリカも同じ……自国の首
相を「安倍!」と呼び捨てにする市民活動家らの非
礼が思い出され、読むのをやめようと思ったとき、
次の一文が目に留まりました。
 
「しかしその国粋思想にもかかわらず、安倍はウラ
ジミール・プーチンや習近平といった新たな国家主
義者らとは根本的に異なっている。後者が民主主義
の弱体化を画策し独裁体制を世界に広めようとした
のに対し、安倍は日本の国粋主義を通じ民主主義諸
国の連帯を強めようとした。彼はインド太平洋地域
の集団的安全保障システムを立案した国際主義者と
して記憶されるべきだ」
 
 日本の率先でインド太平洋諸国に繫栄と平和をも
たらす「安倍流八紘一宇」を米左派論壇が評価して
いる! 意外な気持ちで読み進めると、同コラムは
次のように結んでいました。「安倍はアメリカが世
界の警察官であったパックス・アメリカーナの時代
が終わったことを理解した。アメリカの軍事的優越
が維持不可能となった世界に選択肢は2つしかない。
より好戦的になった権威主義国家の台頭を許すか、
アメリカの退場で生じた力の真空を自らの努力で
埋めるかだ。安倍は後者を選び『あらゆる軍事課題
をアメリカに委ねてきた日本の姿勢を変えなければ
ならない』と結論した」
 
 日本国を日米安保の対等なパートナーとすべく安
倍氏が尽力したのはこのためです。「傍若無人な中
露の振る舞いにもかかわらず国防力強化を怠れば、
個人の権利や自由が脅かされる時代がやってくる」。
そう看破していた安倍氏には、アメリカ左派メディ
アでさえも認めざるを得ない慧眼があったのです。
 
 安倍氏の志を継がれんとする方々に申し上げたい
のは、アメリカの変質が驚くべき速さで進んでいる
現実です。7月13日付エポックタイムズ紙電子版
は最新の世論調査を引用し「妊娠中絶の権利を否定
した米最高裁判所に対し、多くの民主党支持者は『
根本的に人種差別的かつ女性を軽視する機関』との
否定的意見を持っている」と報じています。
 
 それどころか、同党支持者の約4割が「国際連合
が米最高裁の判決を無効にできるように憲法修正条
項を設けるべきだ」との提案に賛成しているという
のです。主権の一部である裁判権を国連に委ねると
は、国家の否定に他なりません。国の箍(たが)を
外す反米思想が、与党民主党と同党支持者の間に蔓
延(はびこ)っている……日米安保を考える上で、
この事実を看過してはいけません。
 
 力のみを信奉する中露の台頭に備えるとは、米国
頼みとは一線を画す自前の抑止力を実現すること。
真に強くなって初めて、日本人の持つ「非対立の心」
が世界の紛争解決を促し、ひいては、第3次世界大
戦に向かう世界を諭すことができるのです。安倍氏
が目指した「強い日本」の意義はここにあります。
 
 
▼フィンランドのNATO加盟(2)──近く配備
される64機のF-35

兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。
刀を抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内
の勝ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒
的な破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器
を手放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマ
の裏面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

 フィンランドのNATO加盟の第2回は空軍力を取り
上げます。

 今回のビデオに出てくるsituation awareness(シ
チュエーション・アウェアネス)は和訳すると「状
況認識」。周囲に注意を配ることで、読者諸氏も車
を運転する時などいつも行なっていることです。わ
たしもスーパーや駐車場など、不特定多数の人々が
集う場所にいるときは、挙動不審な人物がいないか、
後をつけてくる車がないかなどに気をつけています。
「脅威」を事前に察することができれば避けられま
すし、また運悪く騒動に巻き込まれても不意打ちと
いう最悪の事態にはなりません。

 戦場でも「状況認識」によって先に敵を見つけら
れれば格段に有利。フィンランドが米国から購入す
るF-35A戦闘機には、この目的を達するために開発
されたDAS(Distributed Aperture System)と呼ばれ
る赤外線画像センサーが機体に埋め込まれています。
半径1300キロにわたり全周囲を警戒監視し、敵機や
敵のミサイル発射を察知して追跡。その画像をヘル
メット・バイザーに投影します。つまりDASとは、
パイロットにこれまでにない「状況認識能力」を与
えるものなのです。

 対するロシアの最新鋭機はスホイ57。F-35を上回
るマッハ2級の高速と空戦性能を備えている模様で
す。しかし現在、第5世代戦闘機同士による戦いは
有視界外が常識。映画に出てくるようなドッグファ
イト(空中戦)ではなく、レーダーや赤外線センサ
ーの索敵能力とステルス性が勝敗を決めます。この
意味では、世界最先端のセンサー技術とステルス性
を採用したF-35に軍配が上がりそうです。ロシア空
軍に対する一定の抑止力になるでしょう。

 また、1300キロ四方をカバーするDASは偵察・監
視任務にも有用。言い換えれば、フィンランド空軍
が近く配備する64機のF-35が、全機、早期警戒機の
役割も果たせる訳です。自国の領空を出ることなく
ロシア空軍の動向を把握できれば、不意打ちの可能
性はなくなります。フィンランドにとって大きな軍
事的優越になりましょう。

教材ビデオ:
 #Finland in #NATO - Major headache for #Russi
a ! - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=LzCioy5TjWo&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=250

(本エピソードは2:14から始まります)
 
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Keep a close eye on(キープ ア クロース アイ
 オン)の行動を監視する
Airspace(エアスペース)領空

シナリオ(カウンターを7:11に合わせてくださ
い)

Through this (Distributed Aperture System: DAS
), Finland will be able to keep a close eye on
 Russian activities without having to go beyon
d its airspace.

(DASによって、フィンランドは自国の領空を出
ることなくロシアの動向を監視することが出来るよ
うになる)

(今回のエピソードは8:07まで続きます)

発音サイト:
 keep an eye onの発音
 How to pronounce keep an eye on | HowToPronou
nce.com
https://www.howtopronounce.com/keep-an-eye-on

参考サイト:
DAS  AN/AAQ-37 - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/AN/AAQ-37

SU-57 Su-57 (航空機) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-57_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

FA-35ライトニングII戦闘機 F-35 (戦闘機) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)


(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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