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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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おはようございます。エンリケです。
「陸軍工兵から施設科へ」第41回です。
<丹那盆地は湖水の跡>
との言葉にビックリしました。
実に興味深い内容です。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
冒頭文を拝読し、
「日本における軍事文化」
とでも題する雑誌を創刊し、
各種記録を保存したいと感じました。
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陸軍工兵から施設科へ(41)
三島口で崩落
荒木 肇
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□もういい加減に「元自衛官」やめてください
まずもってテロの凶弾に倒れた安倍晋三氏のご冥
福を祈ります。まさか、この時期に、駅頭で命を落
とされるとはという思いです。これを書いているの
は9日の土曜日ですが、明日の選挙結果がどうなる
か予想もつきません。
それにしても、映像を見る限り、元首相への警護
を行なったSPと奈良県警警備担当者の大失態でし
た。犯人は横断歩道でもない車道を歩いて横切って
元首相の背後に回っています。そこで誰も気づいて
いない。あるいは対応できていない。驚いたのは最
初の発砲の後に誰も「伏せろ!」とか「動け!」と
いう指示を出していません。
SPといえば警護のプロで拳銃、徒手格闘、逮捕
術の猛者と聞いています。訓練の様子を見てもなか
なかの動きを見せてくれます。しかし、今回の警戒
態勢のお粗末さはどうしようもありません。銃器に
よる加害など、誰も想定していなかったのでしょう。
まさにお花畑は一部の非武装論者だけでなく、奈
良県警のトップから末端までの脳内にありました。
さて、疑問に思うのが、犯人をすぐに「元海上自
衛官」と報道する姿勢です。マスコミの彼ら、彼女
らには「自衛官という武器を扱う人間は知性が低い」
という偏見があるからでしょう。わたしも立場上、
多くのマスコミ人にインタビューされますが、よく
聞かれるのが、「自衛隊員って洗脳されていますよ
ね」という言葉です。驚かされるのは、平成を30
年、そして令和になっても「洗脳」などという「昭
和の言葉」を使う人がマスコミ人氏にいることです。
もともとわが国には武人への偏見がありました。
日露戦争の時ですら都市の中産階層に属する人間が
兵営で「戦争は軍人と軍需産業が儲けるために起こ
すのだ」と公言していたことがあるくらいです。中
等教育と高等教育が大きく充実した大正時代には、
彼ら自称インテリ、知識人は軍人に敵対しました。
昭和になってもその気分は変わりませんでした。
自由を標榜し、反戦・反軍をうたう言論は当時のイ
ンテリ向け新聞の拡販、売上げ向上に大きく貢献し
たのです。ところが、日華事変が始まり、戦火は拡
大し、臨時動員がくり返され精鋭度と純粋度を失っ
た軍隊にも多くのインテリが入営することになりま
した。
その人たちが、戦後、占領軍の保護を受けて広め
たのが「軍人蔑視論」でした。戦争に負けたのも、
肉親を失ったのも、すべて知性の低い軍人が社会を
リードしたからだ、こうした主張を自分のみじめな
体験を元に語り継ぎました。
まさに犯罪が起き、その犯人が自衛官経験者であ
ると「元自衛官」と強調するのは、「昭和の偏見」
を元にしたものと言えます。平成の若者に通じるか
どうか、新聞・テレビの旧いマスコミが試されてい
ます。「刃物対応の昭和の警備」をしている警察の
方々の有事対応への脱皮に期待しています。
▼関東大震災には耐えた
大正12(1923)年9月1日、関東大震災が
発生しました。トンネルの外でも大変でした。いま
も神奈川県の歴史には載っていますが、熱海線の根
府川駅では進入してきた列車が海中に転落します。
高さ40メートルの崖を海岸まで滑り落ちたのです
。家内の実家がすぐそばにありますが、家のすぐ下
を土石流が流れ、川で遊んでいた子供たちも犠牲に
なりました。
震源地は相模湾南西部でした。湾の海底に大きな
変動がありました。深さ1200メートルの海底が
幅2キロメートルから5キロメートルにわたって1
00メートルから180メートルも陥没し、その反
動で相模湾北東部の海底が100メートル以上も隆
起したのです。
以下は神奈川県史から得た数字です。県内の家屋
の倒壊数は全壊約4万7000戸、半壊約5万30
00戸、合計約10万戸に及びました。これは県内
全戸数のおよそ36%にもなります。また大津波に
よって425戸が流されました。
静岡県下の被害も大きく、東海道線であった御殿
場駅は半壊し、鉄橋も落ちました。駿河小山と山北
駅間のトンネルも崩落してしまいます。こうして東
京と沼津間の鉄道は使えなくなったのです。
熱海口には坑内作業員が次々と飛び出してきまし
た。トンネル内には異様な大轟音が続いたといいま
す。幸い人員に被害はありませんでしたが、熱から
東京方面に向かう最初のトンネルが崩落しました。
坑内に人が閉じ込められており、直ちに救助坑が掘
られます。そうして60時間後には27人の全員が
助かりました。
丹那トンネル本体はどうだったか、誰もが心配し
ましたが、送電線が切れていただけで内部にはほと
んど損傷もありませんでした。三島口も同様で、丹
那トンネルが関東大震災で大きな被害を受けていな
いことが明らかになりました。
▼三島口の崩落
東海道線(現在の御殿場線)は10月28日には
運転が再開されました。ほぼ2カ月がかかり、熱海
線も11月15日には営業が始まります。三島口は
2年間の中断の後に迂回坑を掘り始めました。
1924(大正13)年2月10日、午前9時2
0分、土砂と泥水が噴き出してきます。崩壊が起き
てから40分後、どうやら収まりました。切端から
380メートルほども土砂が押し出してきています
。迂回坑も入口をふさがれて、中には作業員がいる
はずです。その数はおそらく16人と想像されまし
た。
流れ出た泥の上に松板を並べ、技師たちが切端に
近づいていきます。すると上部には異常がなく、土
砂の噴出は下部からだということが分かりました。
溜まっている泥土の量は坑道の床から約4メートル
もの高さです。排水溝から流れる水の奔流もふだん
の3分の1しか見られません。つまり、閉じ込めら
れた坑道の中では水位が高まっているのではないか
と考えられました。
救助坑の掘削は11日午前3時30分頃でした。
27.2メートルを掘り進めれば現場の上部に貫通
する見込みです。午後9時には4メートル進みまし
た。毎時平均30センチメートルの掘削で、貫通ま
でには68時間を必要とすると計算されました。し
かし、順調に進んだ結果、14日午前4時半には2
6メートルの地点まで到達します。
問題は水です。もし大量の水があふれ出てくるよ
うな状態では、それを減らしてからでないと、さら
に土砂が流れ出してきてしまう。そこで上に掘られ
ていた救助抗の床を20メートルにわたって掘り下
げようとなりました。19日午前4時半、迂回坑と
水平の位置になったのです。ノミで穴を開ければ、
そこから水が排出されるようになりました。
事故から16日あまり、とうとう救助坑は貫通し
ます。しかし作業員は全員が溺死していました。そ
して新聞の非難攻撃が始まります。中でも帝国大学
農科大学の2人の地質学者による建議が大騒ぎをも
たらしました。
1人の教授の意見は今からみると卓見でした。ト
ンネル上方の丹那盆地は湖水の跡であるというので
す。盆地はいまも周囲の水の大集合地であり、地中
の断層は大きく、それがトンネルを掘る予定線を横
切っている、しかもこの断層には大量の水がしみ入
っているというのです。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
https://amzn.to/31jKcxe
PS
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マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
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