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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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どうぞ
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http://wos.cool.coocan.jp
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こんばんは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。
『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監
修), 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
※まもなく紹介MM配信!
武器オンチの日本人に
特におススメです。
<ウクライナ侵攻後に行なわれた同ICBM(=新型ICBM
サルマト)発射実験の意味>
が今日のテーマです。
こういう切り口からの解説を目にしないので、必読です。
エンリケ
追伸
わが国は、今回のウクライナの件でババを引かされ、
国家存続に必要不可欠な重大なものを失いかねない
気がしてなりません。露払い。英霊のご加護を願う
ばかりです。
さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
新型ICBMサルマト(4)──欧米への警告
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□キューバ危機以来、核戦争の危険が最も高い──
日本が生き延びる道は?
1857年創刊の「アトランティック」誌は、政治、外
交、文化、科学技術関連の論評で知られる米国の月
刊誌です。6月20日付の同誌電子版に「もしロシア
がウクライナで核兵器を使用したら」と題する記事
が掲載されました。そこには核使用のシナリオが4
つ描かれています。
1つ目は人的被害が及ばない黒海上空で核兵器を起
爆させ西側に警告する。2つ目はゼレンスキー大統
領と側近らのみを殺害する「斬首作戦」。3つ目は
民間人に被害が及ばないウクライナ軍の基地に対す
る核攻撃。4つ目はウクライナの都市を標的にして
夥しい民間人を殺傷。戦意を喪失させ即時降伏を促
すというものです。ちなみに最後の選択肢は、広島
と長崎への原爆投下が日本の無条件降伏につながっ
たとの見解に基づいています。
本稿執筆時の6月29日、スペインで行なわれた北
大西洋条約機構(NATO)首脳会議において、スウェ
ーデンとノルウェーのNATO加盟申請が全会一致で認
められました。同時に、ロシアと中国を「民主主義
の秩序に挑戦する権威主義国家」と認定。対中露戦
略の一環としてNATOは日韓との連携を強めるとして
います。
同会議に日本の首相として初めて出席した岸田総理
は「ロシアによるウクライナ侵略でポスト冷戦期は
終わった。ウクライナは明日の東アジアかも知れな
い」と発言。露中と日米欧が真っ向から対峙する新
冷戦の幕開けを印象づけました。
NATO拡大に対するロシア政府の公式声明はまだ出
ていませんが、第3代ロシア大統領で安全保障会議
副議長のメドヴェージェフ氏は先日、露国営放送で
のインタビューで「ロシアとNATO諸国が接する国境
が2倍以上になれば、フィンランドとの国境沿いや
バルト海の艦船に核兵器を配備することになる」と
述べています。
欧州のみならずインド太平洋地域における安全保障
にも関わり始めるなど、米国を盟主とするNATOは地
球規模の軍事同盟へと急速に変質しています。反米
路線のロシアと中国、対するNATOとの間で始まった
新冷戦は激化の一途を辿りましょう。今回NATO寄り
を明言した日本が巻き込まれるのは必至です。
「NATO拡大はプーチン大統領の誤算であり自業自得
だ」と突き放す言論人の主張は一面の真理を突いて
います。しかし、非を認めぬプーチン大統領はNATO
拡大に反発。フィンランドとスウェーデンに核の矛
先を向けてきましょう。北欧の人々にとって、ロシ
アの核は細い糸で頭上に吊るされた剣も同じ。危機
が深まりつつある今、言論人には煽情的プーチン批
判とは一線を画した「核戦争回避の道筋」を示す知
見が求められます。
事実、現下の対立状況は「キューバ危機以来、核戦
争の危険が最も高い」といわれるほど深刻です。た
とえば、バイデン政権内に国家安全保障のエキスパ
ートによる「タイガー・チーム」が発足。プーチン
氏がウクライナで核を使用した場合、米国が取りえ
る選択肢を検証し、さまざまな有事シナリオに備え
ています。
使われる核の規模、犠牲者の数、核汚染レベルなど
を考慮し、通常兵器による反撃に留めるべきか、小
型の核兵器で応戦しアメリカの本気度を示すべきか、
攻撃目標をウクライナ領内のロシア軍に限るべきか、
あるいはロシア領内の核ミサイル発射基地も含める
かなど、反撃オプションは多岐にわたります。
しかし、どれほど綿密なシミュレーションを尽くし
ても、プーチン大統領が武力反撃にどう反応するか
は読み切れません。いったん核が使用されてしまう
と報復の連鎖が始まり、どこまで激化するかは誰に
も分からないからです。これを核のエスカレーショ
ン・ボーテックス(核使用増大の渦巻き)と呼び、
その勢いに逆らうことは困難だと考えられます。誤
解や誤算が重なって停戦の機会を逸し、米露が互い
の本土に対する全面核攻撃に及ぶシナリオすらあり
得るのです。
「核の先制攻撃不使用」を約した核保有国同士の取
り決めを反故にしたのはロシア。したがってこの戦
争で核が使われるか否かは、偏(ひとえ)にプーチ
ン大統領にかかっています。彼だけが、いつどこで
核兵器投入に踏み切るかを決めることができるので
す。しかし・・・氏の決断が引き起こすドミノ効果
は本人にも予測不能なうえ、前述のエスカレーショ
ン・ボーテックスをコントロールすることはできま
せん。プーチン氏は「核による恫喝」という禁じ手
を犯したがために、核保有者でありながら同時に核
の虜になってしまったのです。
「核戦争を起こしてはいけない。この戦争で勝者に
なることはできないのだ」
力による平和を推進し、冷戦を終結させた故レー
ガン大統領の警句です。「核戦争を起こさないため
には核抑止力が不可欠」一見すると矛盾ですが、こ
の政策の正しさは、冷戦時代を通じ核戦争が起きな
かったことで実証されています。現在もそれは変わ
っておらず、プーチン氏に「核の愚行」思い留まら
せるものは「核戦力による本人とロシアの確実な死」
しかありません。好むと好まざるとにかかわらず、
これが「相互確証破壊」で保たれている現行の平和
というものなのです。
オバマ元大統領が提唱しノーベル平和賞受賞につな
がった「核なき世界」は気高く荘厳です。しかし所
詮は世迷い言(よまいごと)。「広島出身」を外交
カードに使う岸田総理も「相互確証破壊による平和」
を現実として受け入れる胆力と、自前の核抑止力
獲得に舵を切る決断が必要です。自身の判断でNATO
会議に出席し露中を敵に回した以上、日本が生き延
びる道はこれ以外にありません。
核による滅亡までの時間を示す世界終末時計の針は
、いまも時を刻んでいます。
▼新型ICBMサルマト(4)──欧米への警告
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を抜
かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝ち」
の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な破壊
力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手放せ
ない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏面が
「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
ロシアの最新鋭ICBM(大陸間弾道弾)サルマトの最
終回は、ウクライナ侵攻後に行なわれた同ICBM発射
実験の意味を検証します。
4月20日、ロシア北西部のプレセツク宇宙基地の
地下サイロから初のサルマトICBM発射実験が行なわ
れました。3段式のミサイルは順調に飛行し、模擬
弾頭は1万8千キロ離れたカムチャッカ半島の標的
に着弾したとされています。
実験後の記者会見でプーチン大統領は「サルマト
は現行のいかなる迎撃システムでも対抗できない戦
術的・技術的特性を備えている。サルマトは現在お
よび将来においても比類なき兵器である」と述べて
います。
現在運用されている弾道弾迎撃システムを無効に
する特性とは、人工衛星のような低高度軌道に投入
して赤外線やレーダーによる探知を遅延させ、しか
るのちに逆噴射ロケットで軌道離脱し標的に突入す
る能力を指すものと思われます。これは部分軌道爆
撃システムと呼ばれ、米空軍のレーダー探知能力が
手薄な南方向からの攻撃をも可能にするものです。
西側軍事筋には「今回が最初の発射実験であり、
実戦配備にはまだ時間がかかる」とする見方があり
ます。また、ロシア軍の戦車などがウクライナ軍に
供与された欧米製兵器によって甚大な被害を受けた
ことから「ロシアの軍事技術恐れるに足らず」との
意見も耳にします。
しかし、プーチン大統領は今年末までに地上配備
ICBMの90パーセントをサルマトに置き換えると公言
しており油断は禁物です。ウクライナでの戦訓から
導き出された「ロシア製兵器脆弱論」ですが、仮に
米軍のM1主力戦車やM2歩兵戦闘車に対し欧米製の対
戦車ミサイルが使用された場合、同様の損害が出る
可能性はあります。言い換えれば、最新の対戦車兵
器の破壊力はあらゆる装甲車両に対し壊滅的で、必
ずしもロシア製兵器の凡庸さを示すものではないと
も考えられるのです。とすれば、プーチン氏が喧伝
するサルマトの技術的優越を頭ごなしに否定するの
は軽率でしょう。
いずれにせよ、ウクライナ侵攻で欧米との緊張が
高まったタイミングで新型ICBMの発射実験を敢行し
たのは、欧米に対する警告の意味合いが強いと思わ
れます。サルマトに米本土と全欧州を焦土と化す能
力があるとすればなおさらです。
教材ビデオ:
Warning to the West - #Russia tests #Sarmat I
CBM most destructive individual platform ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yG7W6938xQU&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=245
(本エピソードは8:09から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Threat(スレット)威嚇
Invasion(インベイジョン)侵略
Consequences(コンシクエンス)結果
Interfere(インターフィア)干渉する
シナリオ(カウンターを8:47に合わせてくださ
い)
Putin has made his nuclear threats in his 201
4 invasion of Ukraine, warning other nations a
bout the consequences of interfering.
(2014年のウクライナ侵攻の際、プーチンは他
国に対し干渉すれば重大な結果を招くと核で威嚇し
た)
英語一言アドバイス:
1970年代末、アーケード・ゲーム機「スペース
インベーダー」が登場し、日本中で50万台が出回
る一大ブームとなりました。今から見ると単純です
が、コンピューターゲームの草分けでした。inv
aderとは「侵略者」のことで、「侵略」または
「侵攻」の場合はinvasionになります。
発音サイト:
invasionの発音 invasion pronounce - Google 検索
https://www.google.co.jp/search?q=invasion+pronounce&ei=BlW6YuLoFMGfkPIPrKSWgAc&oq=invasion+pronounce&gs_lcp=Cgdnd3Mtd2l6EAEYADIECAAQEzIICAAQHhAIEBMyCAgAEB4QCBATMggIABAeEAgQEzoHCAAQRxCwAzoKCAAQgAQQRhD_AToFCAAQgAQ6BAgAEEM6BAgAEB46CAgAEB4QDxATOgYIABAeEBM6CggAEB4QDxAFEBM6CggAEB4QCBAKEBM6CggAEB4QCBANEBNKBAhBGABKBAhGGABQphFYrSBgsipoAXABeACAAaEBiAHWCJIBAzQuNpgBAKABAcgBCsABAQ&sclient=gws-wiz
参考サイト:
サルマト発射実験ビデオ (1)
Russia Says Test of New Sarmat ICBM ‘Successful’ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=iaacXac28y8
世界終末時計 世界終末時計 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%82%E6%9C%AB%E6%99%82%E8%A8%88
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
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ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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