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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんばんは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
WW2でドイツ国防軍が使用。WW2で最も知られた兵器
の1つであり、生産停止後も独自の存在感を発揮し
続けた伝説の名銃・MP38&MP40サブマシンガンです。
『MP38&MP40サブマシンガン』
アルハンドロ・デ・ケサダ (著), 床井 雅美 (監
修), 加藤喬 (翻訳)
2022/5/12 発行
https://amzn.to/3yvXWrj
※まもなく紹介MM配信!
武器オンチの日本人に
特におススメです。
冒頭文を読み、暗澹たる思いを抱くのは
わたしだけではないでしょう。
さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
新型ICBMサルマト(2)──欧米への警告
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□過激なウォーク運動──伝統主義と進歩主義の深
い裂傷にあえぐ米国
米社会にウォーク(woke)運動が浸透しつつありま
す。ウォークは、wake(目を覚ます)の過去形で、
元来「目覚めた」状態を指す表現ですが、転じて
「人種差別など社会的不公平に気付いている」との
意味合いでも使われます。
昨今衆目を集めているのが性的少数者(LGBTQ)、
ことに身体と心の性が一致しないトランス・ジェン
ダーの人々に関する認識の高まりです。いま日本で
話題になっている生徒用ジェンダーフリー水着もウ
ォーク運動の副次効果でしょう。
日本では歌舞伎の女形や宝塚の男役を奇異に感じ
たり「服装倒錯」だと思ったりする人はいません。
また、宗教的理由から同性愛者を迫害したり蔑んだ
りすることもありません。こういう大らかな日本の
社会で思春期を過ごしたせいか、後年わたしはLG
BTQ を「心の障害」ではなく「ヒトの在り方」
と見るようになりました。したがって、トランス・
ジェンダーの人々が「ありのままの自分を受け入れ
て欲しい」と願う気持ちには共感しますし、「選ん
だ性」が法的にも認知されて然るべきだと思います
。
一方、女性がトイレやシャワーなどプライベート
な空間をトランス女性と共有することに感じる不安
や違和感も分かります。トランス女性を受け入れる
刑務所や家庭内暴力シェルターでは、女性が肉体的
暴力にさらされる恐れもあるのですからなおさらで
す。また、女性アスリートが肺活量や筋肉量、四肢
のサイズに勝るトランス女性アスリートと競争を強
いられるのは明らかに公正を欠いています。
事程左様に、アメリカでは「少数派の無条件受け
入れ」の名を借りて、社会の基本的枠組みや伝統的
価値観が後先考えずに投げ捨てられています。ウォ
ーク運動に疑問を差しはさむと「差別主義者」との
レッテルを貼られ、「社会的にキャンセル」される
傾向も顕著です。
先日、米国史上初の黒人女性最高裁判事として承
認されたケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏が「女
性の定義」を聞かれた際、トランス・ジェンダー世
論を恐れるあまり「わたしは生物学者ではないので
分からない」と返答。名門ハーバード大学ロースク
ールを優等で卒業し最高裁判事にまで登り詰めた人
物でも、キャンセル・カルチャーに忖度する世相を
図らずも露呈しました。政府のエリートもウォーク
運動の影響下にあるのです。
より深刻なのは、ミドルスクール(日本の中学校
に相当)の生徒らに対するトランス・ジェンダー勧
誘でしょう。5月11日付「エポックタイムズ紙電子
版」は、コロラド州の学校でジェンダー・セクシュ
アリティ・アライアンス(GSA)と呼ばれる団体が、
放課後のアートクラブ活動と称しトランス・ジェン
ダーへの誘いを行なっていると報じています。
性別違和など感じたことがなかった女子生徒が「
トランス・ジェンダー手ほどき」を受けて以来「自
分は間違った性に生まれたのではないか」との不安
に取りつかれ、抗うつ薬を処方される事態になり退
学。生徒の告白でGSAの存在を知った両親が学校や
郡の教育機関に説明を求めると、逆に「トランス・
ジェンダーの娘を自宅軟禁する虐待」として通報さ
れたといいます。
GSAの活動は全米に及んでおり、生徒らが「性別
認識は変わるものだ」との似非(えせ)科学理論を
吹き込まれています。学校や教職員を信頼してきた
両親らにしてみれば、まさに仰天の出来事です。
これを裏付けるかのように、「ニューヨーク・タイ
ムズ紙電子版」6月15日付けは「トランス・ジェ
ンダーを自認するアメリカの少年少女は近年倍増し
た」と一面トップで伝えています。
ティーンエイジャーはそれでなくても情緒不安定や
同調圧力に悩まされるもの。性違和感の急増が、学
校で「自己の性別認識を疑え」と示唆された結果だ
としたら深く憂慮すべき事態です。
ミッキーマウスや白雪姫のディズニーといえば「家
族全員で楽しめる健全なエンターテインメント」の
代名詞として過去1世紀にわたり親しまれてきた会
社です。ところがここにきて、経営トップがことご
とくウォーク運動に感化されている事実が浮き彫り
になっています。
伝統重視の教育で知られるヒルスデイル・カレッジ
の機関誌「インプリミス」4/5月号によれば、デ
ィズニー社は「映画やアニメに登場するキャラクタ
ーの半分は少数派を起用し、傘下のテーマパークで
は『淑女紳士の皆さん』、『男の子』、『女の子』
といった性差表現を一切使わない」と公表していま
す。「インプリミス」はまた「LGBTQ系のキャ
ラクターと言葉狩りを通じ、ディズニーは子供らが
持つ性的区別や性別認識を密かに変更しようと企ん
でいる」と主張しています。
前述の通り、わたしはLGBTQの生き方をありのま
まに認める者です。が、全米人口に占める割合が
0.6%のトランス・ジェンダーのために、大多数の
アメリカ人が受け入れている社会規範、たとえば
「男」「女」「母」「父」「娘」「息子」など、家
族を形作っている価値そのものを破壊する行為には
賛同できません。政府や教育機関、エンタメ業界が
こぞってウォーク世相に迎合し、キャンセル・カル
チャーに忖度する様子にも強い危機感を覚えます。
個性と意見をとことん主張し、討論では相手を完膚
なきまでに論破することが尊ばれるアメリカ。この
ようなゼロサムゲームの国柄が「承認欲求」の偏重
を生んだのでしょう。少数派の「市民権確立」を謳
うウォーク運動も恐らくは例外ではありません。
男と女という性差を糾弾し、「母と父」「娘と息子
」といった伝統的家族構成を否定する世相が「世の
移ろい」と呼ばれるものなのか、はたまた、エリー
ト層に浸潤した隠れ社会主義者による「アメリカ解
体」なのか・・・自問すれども、凡愚の身ゆえ答え
はさっぱり見つかりません。一つだけ皮膚感覚で分
かるのは、伝統主義と進歩主義の深い裂傷に米国が
見悶えているということです。
アメリカが伝統をつなぎとめるのか、それとも見
知らぬ異郷になってしまうのか・・・古き良き米国
がまだ残るこの片田舎で、わたしは息をひそめて見
守っています。
▼サルマトICBM(2)―欧米への警告
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるため
には相手より優れた武器を持たねばなりません。兵
器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく続
いているのはこのためです。よく指摘される武器の
効用に「抑止力」(deterrence)があります。
刀を抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内
の勝ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒
的な破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器
を手放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマ
の裏面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
ロシアの最新鋭ICBM(大陸間弾道弾)サルマト
の2回目は液体燃料ロケットと部分軌道爆撃を取り
上げます。
化学燃料ロケットには固体式と液体式があります。
前者は構造が簡素で安価であり、また、発射前に燃
料を注入する必要がありません。したがって、常時
臨戦態勢を維持する必要がある大陸間弾道弾(ICB
M)や潜水艦発射弾道弾(SLBM)は固体燃料ロケッ
トが主流です。しかし、いったん点火すると燃焼の
中断や再点火、推力調整が困難だという欠点があり
ます。
一方、液体式は燃料ポンプや噴射機、燃焼室など
複雑なシステムを組み込まなければならず小型化が
難しいこと、そして、気化性の高い燃料は発射直前
に注入しなければならないなど、兵器としての機動
性と即応性に難点があります。半面、点火や再点火
および細かい推力調整が可能なので、正確な軌道修
正を必要とする有人宇宙船用に使われています。
では、なぜサルマトは敢えて液体式燃料ロケット
を選んだのか? これは、同ミサイルの特徴である
部分軌道爆撃を行なうためだと考えられます。
従来の弾道ミサイルは遠地点約1200キロの高い軌
道に達してから、目標に向け自然落下します。この
ため上昇段階では赤外線探知システムに、落下段階
ではレーダーに捕捉され迎撃される可能性が高くな
ります。
これに対しサルマトは、高度150キロ前後の低軌
道に投入され目標に向かいます。上昇段階が短く、
また、レーダーで捕捉されてから着弾までの時間が
半減するため迎撃が困難になります。
つまりサルマトは「ただ上がって落ちてくる弾道弾
」ではなく、準軌道飛行を行ったあと、目標の手前
でロケットに再点火し軌道を離脱するミサイルなの
です。このために、個体式より強力かつ再点火と推
力調整が可能な液体式が必要になったものと思われ
ます。
大型の液体燃料ロケットを採用した結果、ペイロー
ド増加という利点も得られました。最大10トンに
達するという15個の核弾頭を、それぞれ異なった
標的に命中させることが可能になったのです。
本ビデオに「サルマト1発でフランスやテキサス州
に匹敵する地域を壊滅させることができる」とのコ
メントがある所以です。
(※)部分軌道爆撃システムイラスト
FobsEnglishTrans - Fractional Orbital Bombardm
ent System - Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Fractional_Orbital_Bombardment_System#/media/File:FobsEnglishTrans.svg
ちなみに、60年代から80年代にかけて実戦配備され
たアメリカのタイタンICBMも液体式でした。
即応性に欠けるため、ミサイルを格納する地下サイ
ロは先制攻撃に耐えるよう設計された堅牢なもので
した。核弾頭の直撃は除き、残存性は高かったよう
です。
同様の脅威にさらされるサルマトの地下サイロは、
飛来する弾頭や巡航ミサイルなどを高度6000メート
ルで撃破する防空システムで守られています。
教材ビデオ:
Warning to the West -#Russia tests #Sarmat I
CBM most destructive individual platform ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yG7W6938xQU&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=245
(本エピソードは3:30から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Outlet(アウトレット)直売店 販売機関
Wipe out(ワイプアウト)壊滅させる きれいに拭う
シナリオ(カウンターを5:50に合わせてくださ
い)
The Russian news outlet Sputnik reported that
a single Sarmat is “capable of wiping out part
s of the Earth the size of France or Texas”.
(ロシアの報道機関「スプートニック」は、サルマ
ト1発でフランスやテキサスに匹敵する地域を壊滅
させることができると報じた。
(今回のエピソードは6:00まで続きます)
英語一言アドバイス:
wipe outは文字通り「拭う」+「完全に」
で「きれいに拭い去る」という意味です。転じて「
消し去る」とか「壊滅させる」という表現にもなり
ます。
発音サイト:
wipe outの発音 wipe out pronounce - Google Search
http://okigunnji.com/url/153/
参考サイト:
部分軌道爆撃システム 部分軌道爆撃システム -
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%83%A8%E5%88%86%E8%BB%8C%E9%81%93%E7%88%86%E6%92%83%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
サルマトICBM RS-28 (ミサイル) -
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/RS-28_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
部分軌道爆撃システムイラストFobsEnglishTrans -
Fractional Orbital Bombardment System - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Fractional_Orbital_Bombardment_System#/media/File:FobsEnglishTrans.svg
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン』(いずれも並木書房)がある。
追記
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『アメリカンポリス400の真実!』発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633405
『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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心から感謝しています。ありがとうございました。
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