こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」第374号は、
「第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ」の十三回目。
きょうは、
3連隊とMCVの関係に関する実に興味深いまとめです。
好みかもしれませんが、
この種の「小史」ってすごく面白いですね。
あらゆる軍事分野でこういう小史を読みたいものです。
では今日の記事、さっそくどうぞ
エンリケ
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (374)』
第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(13)
渡邉陽子(ライター)
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こんばんは。渡邉陽子です。
人混みが苦手なので土日には出かけたくないのですが、気の置けな
い仲間に誘われて善光寺に行ってきました。7年に一度の御開帳、
前立本尊を見られただけでなく、御開帳だけ特別に頂戴できる御印
文頂戴を体験できたり今だけの御朱印を入手できたりと、予想して
いた以上に実りの多い参拝となりました。なにより一緒に行ったメ
ンバー(いずれも同年代)と久しぶりに終日過ごす中で、楽しい以
上に刺激を受けました。みんな私より努力家かつ実力も備えた尊敬
できる人たち。実は前日にかなり落ち込むことがあって当日朝もま
だ引きずっていたのですが、みんなと笑ったり汗かいたりしてかな
り元気になれました。久しぶりに「今日はすごくいい日だった」と
思えた1日でした。
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『正論』7月号に「われらの女性自衛官」が掲載されました。今回
は海上自衛隊横須賀地方総監部のWAVEです。横須賀教育隊先任伍長
も務めた人ですが、「女が艦艇に乗るなんて」と、艦艇勤務を希望
しても上司が修正して提出してしまう時代を長く過ごしました。こ
ういう方が定年まで自衛隊にとどまってくれるだろうことが、自衛
隊にとって大きな財産だと思います。
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「丸」6月号に「陸自第3普通科連隊密着ルポ3」が掲載されまし
た。第3即応機動連隊に改編された際の一連の行事等をご紹介して
います。また同誌「世界の軍備」ページでは、「コロナワクチン大
規模接種センター(後)」が掲載されました。
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■第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(13)
先週までは、冷戦時代にソ連の陸上侵攻があった場合、最前線部隊
となる名寄(なよろ)駐屯地所在第3普通科連隊が第3即応機動連
隊に改編されるにあたって、16式機動戦闘車、通称MCVが装備さ
れ初めて射撃訓練を行なうまでをご紹介しました。
その後、今年2022年2月に初めての冬季射撃訓練を実施、それ
も取材したのですが、3連隊の連載も長くなってきたので、その記
事をご紹介する前に改めて3連隊とMCVについておさらいも兼ね
て振り返ってみます。
なお、先週まで時系列でお伝えしてきた関係上、今回は2022年2月
時点での部隊編成を前提にお読みいただければ幸いです。
北部方面隊第2師団(旭川)の隷下には3連隊のほか第25普通科連隊
(遠軽 えんがる)、第26普通科連隊(留萌 るもい)と、3つの
普通科連隊があります。
師団規模の訓練検閲では、いずれかの連隊が戦闘団として受閲部隊
となった際にはほかの連隊が対抗部隊の役目を務め、レンジャーの
集合教育などは持ち回りで担当しています。
また、部隊対抗の各種競技会では地元の後援会などが横断幕持参で
応援に駆け付けて「地域対抗」の色も見せるなど、いずれの部隊も
地元との関係が密接かつ良好なことも共通しています。
3連隊はその中でも最北の名寄に位置しており、第一線級の戦闘部
隊が配置された駐屯地としては日本最北です。
冷戦時代の日本にとっての脅威はソ連であり、上陸されるとすれば
北海道と想定されたため、陸上自衛隊の火力や火砲、つまり戦車部
隊や特科部隊がほかの地域よりも多く配置されていました。まさに
最前線の地だった3連隊の精強さは広く知られ、これまでに3連隊長
経験者の陸上幕僚長を3名も輩出している全国で唯一の部隊でもあ
ります。第1次イラク復興支援群も3連隊が基幹、連隊長である番匠
幸一郎1佐(当時)が群長でした。
ソ連が崩壊しロシアになっても、日本にとって脅威の存在であるこ
とには変わりないと認識されており、平成の時代になっても有事の
際は米軍・自衛隊の主力が来援するまでこの地域でロシアを阻止す
る任務を担っていました。
3連隊だけでなく道北の防衛を担う第2師団隷下の部隊には「北鎮師
団」として北の脅威に最前線で迎え撃つという共通の任務役割があ
ったため、師・旅団の中でもとりわけ精強とされてきました。
歴代の3連隊長がその職を拝命したとき最初に考えるのが「防衛任
務をまっとうするため3連隊をいかに鍛えるか」であることは現在
も共通だと思われますが、かつてはロシアの侵攻に対する夏季と冬
季それぞれの対処がその念頭にありました。そのため、元陸上幕僚
長の火箱芳文氏が3連隊長だったときは、道北侵攻の要衝地である
名寄からさらに約50km北上した音威子府(おといねっぷ)など道北
地区の地形研究をはじめ、現地に隊員を連れていき「機関銃、無反
動などをここに配置して撃てるか」と検討したり、図戦、現戦を繰
り返して戦闘団の防御配置要領などを研究したりしました。そのう
えで必要な訓練課目を掲げ、演習場で訓練を重ねたといいます。
しかし現在の日本で、防衛上もっとも脅威にさらされているのは南
西諸島です。いわゆる「島しょ防衛」のため陸自は機動的な組織へ
とシフト、必然的に第2師団の任務・役割にも変化が生じました。
25大綱(平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について)で示され
た統合機動防衛力に基づき策定された平成31~35(令和5)年度の
中期防衛力整備計画では、陸上自衛隊は新たな領域における作戦能
力を強化するため、陸上総隊の隷下部隊にサイバー部隊及び電磁波
作戦部隊を新編するとしました。
また、各種事態に即応し、実効的かつ機動的に抑止および対処でき
るよう、1個師団と2個旅団を高い機動力や警戒監視能力を備え、機
動運用を基本とする機動師団・機動旅団に改編し、1個水陸機動連
隊の新編などにより強化された水陸機動団とともに抑止力・対処力
の強化を図るとしました。
そこでまず2017年に第8師団(熊本県)、第14旅団(香川県)が機
動師・旅団に改編、翌年には第6師団(山形)と第11旅団(北海道・
真駒内)が続きました。今後は第5旅団(帯広)と第12旅団(群馬)、
そして5番目の機動師・旅団となる第2師団の改編が予定されていま
す。
同時に、大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態
への備えのより一層の効率化・合理化を徹底しつつ、迅速かつ柔軟
な運用を可能とする観点から、16式機動戦闘車、MCVを装備する
部隊の順次新編と、北海道と九州以外の作戦基本部隊が装備する戦
車を廃止することとしました。つまり高い機動展開能力と諸職種部
隊による編成という特色を具現化したMCVは、新編される即応機
動連隊の象徴的な装備品なのです。
平成元年度~令和5年度のMCV整備規模は134両で、令和4年度防
衛予算は33両(234億円)が計上されています。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
2022年
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
を刊行。
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