配信日時 2022/06/06 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(174)】シビレる「鉄道唱歌」──未来にレール敷いた葛西 敬之氏    桜林美佐(防衛問題研究家)

おはようございます、エンリケです。

174回目の美佐日記です。

鉄道唱歌、ほんとにいいですよね。
JRにのって遠くに行くとき、あの音が流れてくると
旅情を深く覚えました。

57番については今日初めて知りましたが、
すごくいいですよね!
全歌詞を見に行こうと思います。

桜林さんが作られた「オープニング」の一文も味わ
い深いですね!

さっそくどうぞ!

エンリケ


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桜林美佐の「美佐日記」(174)

シビレる「鉄道唱歌」──未来にレール敷いた葛西
敬之氏

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年6月の今回
は174回目となります。

 JR東海の葛西敬之さんが81歳で亡くなりました。
「国鉄改革三人組」のひとりで、当時は労組と激し
くやりあったという、そのあたりのお話をかつて伺
ったことがあります。

 といっても、直接にインタビューしたわけではな
く、聞き手は石原慎太郎・元東京都知事。東京MXテ
レビで放送していた『東京の窓から』という番組の
企画でした。バーのラウンジで対談する形式で、私
はその番組の構成作家をしばらく務めていたのでし
た。その頃からもう約20年も経ってしまいました。

 今年2月に石原元都知事が89歳で亡くなり、あ
の時のおふたりが立て続けに鬼籍に入ったと思うと、
月日の流れを感じざるを得ません。

 葛西さんの出演は調べてみると2003年の11月
だったようで、タイトルは「未来の日本へ、レール
を敷く」となっています。

 毎回、オープニングのナレーションを考えるのが
私の最大の仕事で、対談が始まってしまえばあとは
都知事の独断場ですので構成作家なんて必要ありま
せん。しかし、導入とエンディングの文言はオシャ
レにきめたいということで、頭をひねってそのゲス
トに相応しい言葉を毎回考えたものでした。

 この年の10月に新幹線の品川駅が開業し、当時
JR東海の社長として国鉄民営化、品川新駅開業を
成し遂げたお話、そしてリニアへの夢を語って頂き
ました。

 そんなタイミングでしたので、オープニングの文
句は今でもよく覚えています。

「三千世界のカラスを殺し、主と朝寝がしてみたい、
と維新の志士が歌った品川の地に、新幹線の新駅が
誕生!成し遂げたのは国鉄改革三羽ガラスのひとり
……」とかナントカ。

 今や新幹線が品川に停まるのは当たり前の感覚で
すが、その頃は画期的な感じがしました。隔世の感
があります。

ところで、どうでもいいことかもしれませんが、私
は東京駅に着く直前のメロディは「鉄道唱歌」のほ
うが好きでした。

 この日記を読んで下さっている皆様はご存じであ
ることを前提としてしますが、「汽笛一声、新橋を
~」のあの歌です。

 明治32年に発表されたもので、あまりにも有名
でしたし、特急電車などではどこでも流れていた気
がするのですが、もし車内放送の多くが別の曲に変
えているのだとしたら寂しいです。

 因みに「鉄道唱歌」はひじょーーーに長い歌にな
っていて、新橋の東海道から始まり、山陽・九州、
奥州線・磐城線、北陸地方、関西・参宮・南海各線
と全部で5巻に及びます。

これを歌えば日本全国の地理を学べるのです。今で
は歴史を学ぶことにもなりますね。東海道だけでも
66番までありますので、歌い切ったら旅をしなく
ても疲労困憊必至です。

新橋駅は超有名ですが、2番もなかなかのものです。

右は高輪泉岳寺
四十七士の墓どころ
雪は消えても消えのこる
名は千載の後までも

 36番もうまい!と唸らせます。

天下の旗は徳川に
帰せしいくさの関が原
草むす屍いまもなほ
吹くか伊吹の山おろし

57番にはこんな歌詞も。

三府の一に位して
商業繁華の大阪市
豊太閤のきづきたる
城に師団はおかれたり

64番はシビレます!

七度うまれて君が代を
まもるといひし楠公の
いしぶみ高き湊川
ながれて世々の人ぞ知る

いや~、まいりましたね。七五調の美学が分かるこ
とが改めて嬉しいですし、日本の先人たちって本当
にすごいと思います。今回は葛西さんを追悼するつ
もりが「鉄道唱歌」を紹介しただけになってしまい
ました・・。

国鉄時代を少しでも知っている私にとって、現在の
JRに至る軌跡というのは、日本社会の歴史そのも
のだと感じます。石原元都知事や葛西元社長が「歴
史上の人」になっていく様を横目に生きているのか
と思うと、私たち世代が未来に敷くべきレールはど
うあるべきなのか、などと考えさせられます。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました
!今週が皆様にとって素晴らしい1週間となります
ように!


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います。「陸海空 軍人から見たロシアのウクライ
ナ侵攻」の最新版がアップされました。
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●「むすび大学」というYouTube番組に出演
し、防衛産業や自衛隊についてお話しています。ナ
ビゲーターの小田さんは防衛大学校出身とのこと。
3回目がアップされました。
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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