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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-ｍａｉｌ hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ！
ミニミ/M249です。

『ミニミ軽機関銃』
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武器オンチの日本人には
特におススメです。

きょうも読みごたえ十分です。

さっそくどうぞ


エンリケ


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加藤大尉の軍隊式英会話：兵器編　Takashi Kato　　

暴かれたロシア軍の弱点（２）──制空権

加藤喬（元米陸軍大尉）

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□プーチン大統領をどこまで追い詰めるか

　キエフ近郊の街ブチャで惨殺された人々の写真を
見ました。心をかき乱される映像に、1940年ソ
連軍の捕虜となったポーランド軍将兵ら２万200
0人が虐殺されたカティンの森、1968年米軍兵
士が非武装のベトナム人400人以上を殺害したソ
ンミ村、そしてボズニア・ヘルツェゴビ紛争中の1
995年、セルビア人勢力が8000人のイスラム
教徒を大量虐殺したスレブレニツァを思い出しまし
た。
 
　ヒトはなぜかくも残虐行為を繰り返すのか・・・
失望と憤り、そして「世はなべてことも無し」と平
和を享受する自分への幾ばくかの罪悪感が入り混じ
り、心中穏やかでありません。
 
　４月４日、バイデン大統領はブチャ事件に関し「
この男（プーチン）は戦争犯罪人だ。戦犯として裁
かれるべきだ」と述べ、同時にウクライナへの軍事
支援継続と対露制裁追加を示唆しました。しかし同
日付けのロイター通信は「米国防総省はロシア軍に
よる虐殺だとするウクライナ政府の主張を否定しな
いが、客観的に確認することもできない」と報じて
います。
 
　ロシア政府も自国軍による戦争犯罪との報道を否
定しています。以前も触れましたが、戦争当事国に
は完全な悪玉も完全な善玉もないのが現実。熱狂的
民族主義者と親露派住人の不和を抱えるウクライナ
の国内事情を考えると、ロシア語話者を憎悪するネ
オナチ関与の可能性もゼロではないでしょう。
 
「プーチン憎し」の気持ちはもっともですが、惨劇
の真相究明は独立機関の調査を待つのが正道だと思
います。
 
　政治家は有権者の目を内憂からそらしてくれる「
外敵」を重宝がるものです。今回はプーチン氏が世
紀の悪玉役を買って出る愚を犯したので、米欧日の
首脳や首脳経験者はここぞとばかり「プーチン許す
まじ」で大同団結。日々、ロシアへの敵意を煽って
います。バイデン大統領に至っては、４日行なわれ
た労働組合員らとの集会で「もしロシアとの戦争に
行くことになったら、あなた方と一緒に行く！」と
リップサービスする始末。毎度変わらぬ失言癖には
もう驚きませんが、対露戦争をネタに軽口を叩き、
プーチンとの対決姿勢をアピールする最高司令官に
は不安を感じます。
 
ナタリア・ケボルクヤンが著した伝記『プーチン自
らを語る』（扶桑社、2000年）に「窮地に陥っ
た相手を追い詰めてはいけない。逆に襲いかかって
くる」との述懐があります。プーチン少年の言葉は
十中八九現在の本人にも重なります。とすれば、核
大国の独裁者となったプーチン氏を袋小路に追い込
むのは無謀な振る舞いと言わねばなりません。
 
　ウクライナ戦争の長期化が懸念される一方、武器
供与と制裁を続ける米欧日首脳らは、誰ひとり具体
的な「出口戦略」を描けていません。一刻も早い停
戦と、欧州ひいては世界の平和のために、NATO
とロシアの「引き分け」すなわち「NATO東方不
拡大」をプーチン大統領に提案するぐらいの先見と
気概が必要です。しかしながら現実は逆で、スウェ
ーデン、フィンランド、アイルランドなどが新規加
盟を検討中だといいます。NATO拡大気運が高ま
ったのはプーチン大統領の自業自得。確かにそうで
しょう。しかし同時に、世界は核戦争の瀬戸際に自
らを追いやっているのではないか・・・・
 
プーチン大統領とロシアをどこまで追い詰めるかの
さじ加減を誤ると、露中の結束をいま以上に固める
結果に終わりましょう。東西の核抑止力バランスが
失われ、旧冷戦時代の核戦力拡大競争が再燃するの
です。キエフやマリウポリの破壊と住民の苦悶は今
でこそネットで見る「異形の風景」ですが、第３次
世界大戦となれば日米の街々にも飛び火します。他
人事ではありません。
 
　ちなみに、アメリカにはプレッパー（備える者）
と呼ばれる人々がいます。大災害や核戦争後の無法
状態を生き延びる準備を生活の一環としており、大
量の食料や銃器弾薬を貯蔵し、なかには自宅地下に
核シェルターを作る筋金入りもいると聞いています。
全米人口の５パーセントに過ぎない少数派でした
が、このところ主流層にも急激に広がりつつあると
か。
 
　世界の穀倉地帯と呼ばれるウクライナで戦争のた
め作付けができないこと、燃料と肥料高騰で米国農
家の生産が減り農作物ひいては食肉が品薄になるこ
と、バイデン政権の環境重視政策とロシア産原油お
よび天然ガス輸入禁止でエネルギー価格が高止まり
することなどが人々を「にわかプレッパー」にして
いるのです。
 
　先行きへの不透明感が、近く深刻な経済崩壊と未
曽有の食糧暴動が起こるといった「終末論」を生ん
でいるのでしょう。そこに持ってきて、ロシアに対
し政治家やマスコミが打ち鳴らす「陣太鼓」が、人
々の核戦争危惧を煽っているのも確かです。
 
　ブチャの戦いなど、ロシア軍の軍事行動はどう詭
弁を尽くしても正当化できません。同時に、プーチ
ン大統領とセルゲイ・ショイグ国防相がモスクワを
離れ、核シェルターで執務しているとの未確認情報
が飛び交う昨今、各国首脳とマスコミ関係者はブチ
ャ事件への怒りを自制し、「ロシアを限界まで追い
詰める発言と行動」を控えるべきだと思います。
 
ポーランドと英国がウクライナに戦闘車両を供与し
たり、欧州諸国と日本がロシア外交官を国外追放し
たりする現状に鑑みると、プーチン伝記が綴る「追
い詰められた者の逆襲」はこの先いつ起きても不思
議はありません。
 
 
▼暴かれたロシア軍の弱点（２）制空権

　兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話：兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

　今回から数回にわたり、ウクライナ戦争で暴かれ
たといわれる「露軍の弱点」を採りあげます。２回
目は「制空権」です、

　制空権とは無人機やドローンを含む敵の空軍力を
撃破しすることです。制空権確保後は、したがって、
敵の妨害を受けることなく陸海空の戦場で作戦を
遂行することができるようになります。

２月24日に勃発したウクライナ侵攻では、当初、
ミサイルの先制攻撃によってウクライナ空軍は壊滅
的打撃を受けたと思われていました。ロシア側は制
空権を確保したと発表しましたが、実際には多くの
有人・無人機が残存しており、ウクライナ領内に侵
入した地上部隊を狙い撃ちにしました。味方航空機
による援護もなく、車列を組んで道路を進むロシア
軍部隊は文字通り「格好の獲物」と化したのです。

　2014年無抵抗のままクリミア併合を許した戦
訓から、ウクライナ軍はこの８年間、航空機の駐機
場所を分散させたうえ強固な掩蔽壕で守るといった
戦時体制を整えてきたものと思われます。また、費
用対効果が高い多用途無人機をトルコから購入し、
航空戦力の強化を図る戦術が功を奏したようです。

　欧米諸国から提供された携帯式地対空ミサイルも
ロシア空軍にとっては大きな脅威となりました。本
ビデオに登場するスホーイ34は米軍のF15Eス
トライク・イーグルに匹敵する優れた戦闘爆撃機で、
爆弾やミサイルを８トン搭載することができます。
しかし、兵士１人で扱える地対空ミサイルが随所
で待ち構えるウクライナ都市部への侵入は高くつき、
多くが撃墜されました。ビデオでは「制空権なき
爆撃任務は危険すぎる」と悟った露軍パイロットら
が、ウクライナ空域を避けるようになったと解説さ
れています。

　制空権の確保を十分確認しないまま侵攻を開始し
た不手際が、ロシア軍苦戦の背景にあるようです。

教材ビデオ:
 (1) 7 ways military of #Russia got exposed in
 #Ukraine ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=in8Lbj0-Dxc&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=249

（本エピソードは４：２２から始まります）

基本語彙（カタカナ表記は大雑把なものです）
Avoid（アボイド）避ける
Airspace（エアスペース）領空
Sortie（ソーティ）作戦出撃
Shoot down（シュート　ダウン）撃墜する

シナリオ（カウンターを５：１８に合わせてくださ
い）

The Pentagon has stated that some Russian jets
 are avoiding Ukreine’s airspace during sortie
s because of the fear of being shot down.

（米国防総省は、出撃したロシア軍ジェット戦闘機
の中には撃墜を恐れウクライナの領空を避けるもの
もあったと述べた）

（今回のエピソードは５:3９まで続きます）

英語一言アドバイス：
shoot downは文字通り「撃ち」＋「落と
す」で「撃墜する」です。shot downなら
「撃墜される」になります。


発音サイト:
shoot down の発音How to pronounce shoot down |
 HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/shoot-down

shot downの発音　How to pronounce shot down |
 HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/shot-down

参考サイト：制空権　制空権 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E7%A9%BA%E6%A8%A9

スホーイー３４　Su-34 (航空機) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Su-34_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

ウクライナ空軍の無人機　バイラクタル TB2- Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AB_TB2


（かとう・たかし）



●著者略歴
 
加藤喬（かとう・たかし）
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授（2014年7月退官）。
著訳書に第３回開高健賞奨励賞受賞作の『ＬＴ―あ
る“日本製”米軍将校の青春』（TBSブリタニカ）、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『Ｍ16ライフル』『ＡＫ―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『ＭＰ３８／４０
サブマシンガン（近刊）』（いずれも並木書房）
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事（桜林美佐氏）：
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス　戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X　
 
『レックス　戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
　⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
 
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代　(passage of
lines)　を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
　同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は　"Repeat"　ではなく　"Say again"　です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
　兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。　
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"　
と表現します。
 
　『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤　喬
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PS
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
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心から感謝しています。ありがとうございました。

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