おはようございます、エンリケです。
167回目の美佐日記です。
ことのキモは同じであるにもかかわらず、
自衛官の制服問題には冷たく、学生の制服問題には
大騒ぎ。
こういう「ある種の歪んだ人たち」ってやはり、
ことの大小の見極めができず、物事の本質を見抜く
力のない人たちなんだなあ、と改めて感じます。
さっそくどうぞ
エンリケ
桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
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桜林美佐の「美佐日記」(167)
入学式に制服が間に合わない──国内製造基盤のぜ
い弱さ
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年4月の今回
は167回目となります。
先日、何年かぶりに六本木に行きました。読者の
皆さんの中には、かつて防衛庁に通っていたという
方もおられると推察しますが、おそらく当時のまま
残っているお店などはかなり少なく、また建物は残
っていてもこれから解体や立て替えに入るケースが
どんどん増えています。
そんな中、ちょっとした感動的な光景に遭遇しま
した。その日は偶然に東洋英和女学院の入学式だっ
たようで、真新しい制服姿の女の子と親御さんたち
が鳥居坂にずらっと列をなしていたのです。
子供の頃、この辺りが地元だった私としては、こ
のセーラー服を着る女の子とすれ違うと、どんなに
恵まれた家の子なんだろうと羨望の眼差しでみつめ
ていたものでした。
コロナの影響で最近は入学式も厳しい人数制限が
あったようですが、今年はお父さんらしき姿もチラ
ホラ見られました。ワクワクしている人ばかりだか
らでしょうか、良い「気」が周囲に漂っているよう
に感じました。
なにもかも変わってしまった街で、唯一、防衛庁
があった時代から変わっていない光景を見たような
気がして嬉しくなりました。
おそらくどんな地方でも同じような地元の有名校
があり、その建物だけでなく生徒の姿も景色の一部
になっているのではないでしょうか。
その土地ごとに有名校があって「〇〇高校出身」
ということが、むしろ出身大学よりもその人を評価
するようなところもあったりします。「高校閥」な
どと言う人もいますが、とりわけ地方では地元の出
身高校が持つ意味が大きいように思います。
中には麻布高校のように私服の学校もありますが、
多くがその制服がその学校の象徴になっていて、
特に変化の激しい都市では、世代を超えて何十年経
っても変わらない制服姿がそこにあることが、なお
さら貴重に感じます。
一方、ちょうど同じ日にこんなニュースを目にし
ました。「入学式に制服が間に合わなかった」と。
これらの制服を受注していた「ムサシノ学生服」
のムサシノ商店社長が記者会見し謝罪していました
が、受注した3万着のうち100着ほどが入学式ま
でに納品できなかっただけでなく、ぎりぎり届いて
も、注文と違うサイズだったとか、シワだらけだっ
たとか、不備・不足が多発したそうです。
コロナの影響で工場が操業停止していたとか、制
服の多様化、男女比率が定まらなかったことや進路
決定タイミングが遅くなったことなど、様々な原因
が考えられると同社長は答えていましたが、多くの
父兄が「遅れているなら早く教えてくれたら対処を
考えたのに!」と憤っているとともに、会見の際の
社長の様子にも不満を持ったようです。
確かに、この会見には私も、もう少し上手くでき
なかったかという感想を持ちましたが、同時に気に
なったのは、もっと根本的な生産体制です。
どうも、この話は中国の上海市がコロナでロック
ダウンされたことも関係しているのではないか、と
も噂されています。真偽のほどは分かりませんが、
もしこれが真実であれば、またもサプライチェーン
問題が浮彫りになったことになります。
また、自衛隊で制服を新しくしても、全ての隊員
さんが一斉に変えられないのはいけないと国会議員
の先生などが怒っていましたが、なぜこうなってし
まうかというと、国内繊維メーカーにはもう大量生
産のキャパシティがないのです。
自衛隊の制服はなんとか国産で頑張っていますが、
一般の衣料品は国外製造が大半ですから国内製造
基盤は非常にぜい弱です。
被服というのは、ひとりひとりサイズも違い、進
路が決まってから入学式の前までに完璧に届けるこ
とは確かに考えてみればすごい仕事ですよね。そこ
には、晴れの日にピカピカの製品を届けようという
日本人の誠意が欠かせなかったのだと思います。今
回のことで改めて気付かされたことでもありました。
そのあたりの視点も持って、この報道を見ていま
す。
今週も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した。皆様にとって素敵な1週間となりますように!
<おしらせ>
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の自衛隊」(産経NF文庫)として再出版されまし
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●YouTubeチャンネルくらら「国防ニュース
最前線」はウクライナ危機により、特別番組に変更
となっています。
「陸海空 軍人から見たロシアのウクライナ侵攻」
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しました。
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)
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