こんばんは、エンリケです。
「ライター・渡邉陽子のコラム」
「第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ」の四回目。
きょうも実のある内容です。
さっそくどうぞ
エンリケ
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/
ご意見・ご感想はコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ライター・渡邉陽子のコラム (365)』
第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(4)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんばんは。渡邉陽子です。
先週に続き、これまでにTwitter発信している『神は賽子を振らな
い』の紹介文をご紹介させていただきます。
★自衛隊と縁もゆかりもない友人が書籍を購入&速攻読了してくれ
て、「あとがきまで一気に読んじゃった。夫が『幹部候補って訓練
とかはやらないんでしょ~』って言うから、バカタレ!って言って
おいた。自衛隊を知るのにも素晴らしい書籍だね」という最高の感
想を送ってきてくれました。この本が世に出てよかった(泣)
★昭和49年。幹部候補生学校を卒業して最初に火箱氏が配属された
部隊は沖縄です。返還されてまだ2年の沖縄は自衛隊アレルギー
がひどく、「日本軍帰れ」と大規模で激しいデモが頻繁に行なわれ
ていました。隊員個人の自家用車が燃やされたりする犯罪レベルの
嫌がらせもあり、隊員家族が暮らす官舎は隊員による自警団で夜通
し見回りしなければなりませんでした。
★火箱氏が配属された第1混成群の桑江良逢群長は、沖縄出身。兵
士の7割以上が餓死か病死という凄惨なメレヨン島で終戦を迎え、
帰国すると沖縄戦で家族全員が亡くなっていました。陸自初の沖縄
部隊指揮官という立場は当時の桑江氏にとって格下げ人事でありな
がら、桑江氏自身が希望したそうです。火箱氏は後に陸幕長となっ
た姿を、病床の桑江氏に見てもらうことができました。
★4月1日からアマゾンの電子本でもお求めいただけるようになり
ました。電子書籍派の方はこちらで。昨日、80歳過ぎた自衛隊を
知らない母から「面白いからどんどん読めちゃう。今、陸幕広報室
まで読んだの。火箱さん、次はどこに異動になるのかしら」(笑)
といううれしいLINEがありました。
★沖縄で「人殺し」と罵られた火箱氏。「俺がいつ人を殺したんだ
よ。ここを守るために来たんじゃないか」と言葉にできないほど悔
しい思いをしました。離島無医村からの急患輸送が米軍から自衛隊
に引き継がれた際も、地元新聞は急患輸送を記事にしても自衛隊が
行なっているということには一切触れませんでした。一方、飲みに
行くと地元の人から歓迎され、個人で話せば人懐こくて親切で、い
い人との出会いもたくさんありました。
まだ続きますので、また来週お付き合いくださいませ。
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
https://amzn.to/3CL1aat (アマゾン)
https://a.r10.to/ha0qvt (楽天ブックス)
◆最新刊のお知らせです!
月刊『PANZER』に2021年10月号まで連載していた「神は賽子を振ら
ない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」が書籍化され発売の運び
となりました。火箱さんと名刺交換したのが2013年、取材を始めた
のは2014年。何十時間もインタビューを重ね、「えらい人の俺様自
伝」とは一線を画す1冊になったと自負しております。陸曹を目指
す陸士、陸曹を極めたい陸曹、幹部を目指す陸曹、若い幹部、そし
てなによりも一般企業に勤める方々に読んでいただきたい内容です。
福岡の田舎でのびのび育った少年が防大に進学して迷い悩みながら
進んだ半生、包み隠さず話してくださった火箱氏の懐の深さあって
こその1冊となりました。ぜひ! ご一読いただければ幸いです!
Amazonだと送料がかかってしまいますが楽天ブックスなら無料です
(ただし該当ページには著者&書籍情報が一切掲載されていません…)
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
https://amzn.to/3CL1aat (アマゾン)
https://a.r10.to/ha0qvt (楽天ブックス)
◆雑誌記事のお知らせです。
『丸』5月号に「第3普通科連隊密着ルポ(3)令和3年度第2次MCV
射撃訓練」が掲載されました。
https://amzn.to/3tNlZiY
「正論」3月号の連載「われらの女性自衛官」、今回
は入間基地の第4高射隊所属の3曹です。小さな体からは「PAC3で
日本を守る」という気概が感じられました。新婚さんですが幹部の
夫は九州に異動、独身なのに営内暮らしの彼女です。なお、4月号
の連載はまん防による取材延期で休載です(泣)。
https://a.r10.to/ha3xGu
■第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(4)
第3普通科連隊の連隊小銃射撃競技会(冬季の部)の続きです。
隊員たちは各自3発の弾薬が配当され、一度につき12名が300m先に
身長170cmの敵が立っているという想定の正面の敵に対して12秒以
内に射撃します。
採点は3発のうち1発でも当たれば命中、1発も当たらなければ不命
中というシンプルなもので、3発命中でも1発のみ命中でも結果は
「命中」と変わりません。ちょっと意外に思われるかもしれません
が、これは「戦闘では1発でも当たれば負傷するし、負傷者を下げ
るための人も必要になる」という考えからです。1発以上命中させ
た割合をもって各中隊の勝敗を決定します。
射座は夏季の小銃用掩体を模していて、射手が掩体の中に入って射
撃をします。
結果、冬季の部の1位は重迫中隊、2位は3中隊で夏季の部との合計
点は同点でしたが、実施規定により下記の部の上位中隊が上位とな
るため3中隊が優勝。後日、名寄駐屯地で表彰式が行なわれました。
ちなみにベストシューターのK3曹は全発命中、しかもすべての弾
が指先第1関節程度の中にまとまっていました。これが野戦特科か
ら異動してきて間もない重迫中隊の隊員というから驚きです
さて、2021年2月現在の第3普通科連隊は連隊本部、本管中隊、第1
~第4中隊、重迫中隊、そして整備支援部隊で編成されています。
いわゆる普通科連隊のスタンダードな編成です。
連隊長は名寄駐屯地司令も兼ねており、第一線級の戦闘部隊が配置
された駐屯地としては日本最北に位置するため、冷戦時代はまさに
最前線の地でした。そのため3連隊の精強さは広く知られ、これま
でに3連隊長経験者の陸上幕僚長を3名も輩出している全国で唯一の
部隊でもあります。第1次イラク復興支援群も3連隊が基幹、連隊長
である番匠幸一郎1佐(当時)が群長でした。
山崎連隊長も着任前から3連隊に対して「日本でもっとも寒さの厳
しいところで、冷戦時代に第一線部隊として北方の守りを担ってい
たこと、そしてイラクへ最初に派遣されたすごい部隊」という印象
を抱いていたそうです。
「上級部隊の第2師団は陸自唯一無二の作戦基本部隊です。普通科
戦闘団を3個組め、新しい装備も持っていて、かつ道北防衛の要で
す。3連隊はその2師団の中においてもっとも北に位置しているとい
うのは大きな特性です。また、今回の訓練検閲で戦闘団を編成する
にあたり、配属を受ける第2特科連隊の連隊本体は旭川駐屯地にい
ますが、コンバットを組む2大隊は名寄に所在しているので、いつ
でも組める状態にあるというのも特性と言えるでしょう」
「それからこれは3連隊というより駐屯地全体に言えることですが、
地元の方々が応援してくださっているのをひしひしと感じます。
コロナ禍とあって、歴代の駐屯地司令に比べて地元のみなさんと直
接お会いできる機会がなかなかないのが残念ですが、それでも駐屯
地司令として大切にしてくださっているのも伝わってきます」
3連隊は1952年からの長い歴史の幕を閉じ、2021年度末に2師団唯一
の即応機動連隊に改編され、新たな歴史を刻み始めます。
改編後は4個普通科中隊が3個になり、第1中隊のみ装備していたW
APCはほかの普通科中隊にも装備されます。また、重迫中隊が火
力支援中隊と名称を変更、装備品はそのままで職種が普通科から野
戦特科に変更となります。
そのため、これまで重迫中隊にいた隊員はナンバー中隊の81mm迫撃
砲小隊等、もしくは新たに教育を受けてMOS(特技)を取得し、
軽火器を扱う部隊に就くことになります。
さらにMCV(16式機動戦闘車)中隊が新編するほか、本部管理中
隊の中に高射特科の近SAM部隊ができ、連隊本部には輸送科の幹
部が入ります。つまり即応機動できるコンパクトにまとまった諸職
種の連合部隊となる。
「第3即応機動連隊に改編されるという大きな節目に、連隊長とし
てここで隊員たちと共にいられるというのは、陸上自衛隊人生の中
でこれほど幸せなことはないと思います」と山崎連隊長。
通常の練成訓練に加えて改編の準備、新たな教育、隊員によって
は引っ越しを含む異動もあるなど、2021年度の3連隊は慌ただしい1
年を送ることになります。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/
ご意見・ご感想はコチラから
↓
http://okigunnji.com/url/7/
□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個人情報を伏せ
たうえで、メルマガ誌上及びメールマガジン「軍事情報」が主催
運営するインターネット上のサービス(携帯サイトを含む)で紹
介させて頂くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝しています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、心から感謝
しています。ありがとうございました。
------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
http://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置き換えてください)
------------------------------
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
<丸谷 元人の講演録&電子書籍>
謀略・洗脳・支配 世界的企業のテロ対策のプロが明かす…
知ってはいけない「世界の裏側」を見る
http://okigunnji.com/url/13/
---------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。
Copyright(c) 2000-2022 Gunjijouhou.All rights reserved.