配信日時 2022/03/28 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(165) 】犠牲者がゼロになる日まで──平和を祈り続けるしかできない   桜林美佐(防衛問題研究家)

おはようございます、エンリケです。

165回目の美佐日記です。


オデッサと聞くと
「オデッサ・ファイル」
が頭に浮かびます。

桜林さんのように
「戦艦ポチョムキン」
が浮かぶようになりたいものです。


また最後のパラグラフには、
思わず目頭が熱くなりました。

さっそくどうぞ


エンリケ


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桜林美佐の「美佐日記」(165)

犠牲者がゼロになる日まで──平和を祈り続けるし
かできない

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年3月の今回
は165回目となります。

 ロシアの揚陸艦がウクライナ海軍によって撃沈さ
れたと報じられています。情勢は刻一刻と変化して
おり、またそんな中、北朝鮮によるICBM発射など、
安全保障環境それも日本が深く関わるところが激し
く動きをみせています。

 加藤さんのメルマガでは、日本であまり報じられ
ていない視点からの分析があり、大変勉強になりま
した。報道だけでは汲み取れない部分も数多くある
ものと思います。

 ロシア海軍もこのような激しい抵抗を受け、ウク
ライナ南部の港湾都市オデッサまでにロシア軍はま
だ到達していない状況です。

 オデッサは映画『戦艦ポチョムキン』の舞台です。
『戦艦ポチョムキン』は1925年に公開された
作品で、ロシア革命前夜の1905年、帝政ロシア
時代に起きた水兵たちの
反乱を描いたものです。

 日露戦争の敗戦によりロシア革命の動機が高まっ
た歴史がありますが、この度もロシア軍内の士気の
低下が言われるなか、帰着点は分からないまでも、
いずれポチョムキンのようなこともあり得るのだろ
うか・・、そんなことを連想させます。

 因みに、まだ日露戦争の最中の1905年1月に、
サンクトペテルブルクで平和を求めて行進する民
衆を軍が次々に射殺するという「血の日曜日事件」
が起き、こうした弾圧がさらに人々の抵抗を掻き立
て、その後も地方に伝播し何年もの間、混沌とした
時代が続くことになりました。皇帝ニコライ2世の
終わりの始まりとなった歴史です。

 このように考えると、これから何らかの形で「撃
ちかた止め」ということになっても、ロシア国内に
は大きな混乱、またウクライナ国内の様々な勢力の
思惑により、さらなるカオスが訪れる可能性も大い
にあるのでしょう。

 とにかく、犠牲者がゼロになる日まで、苦難の中
にいる人々に思いを致し、平和を祈り続けるしかで
きることがありません。

 ところで、私が『戦艦ポチョムキン』が・・など
と話をすると、よくそんな古い映画を知ってるねと
言われます。

 かつて私はよく名画座に行っていましたので、ポ
チョムキンも、最近話題になっている『ひまわり』
も観ています。

 『戦艦ポチョムキン』の最も有名なシーンは「オ
デッサの階段」と呼ばれる巨大な階段で、乳母車を
引いていたお母さんが撃たれ、その乳母車が階段を
転げ落ちるシーンです。

 米国のギャング、アル・カポネを描いた『アンタ
ッチャブル』における乳母車の階段落ちシーンは、
この『戦艦ポチョムキン』なのです。

 『ひまわり』は1970年に伊仏米ソによる共同
製作で公開された作品で、ソフィア・ローレンが第
二次世界大戦で消息不明になったイタリア軍の恋人
を探しにウクライナに行くという物語です。イタリ
アは独ソ戦に加わっていました。

 これを観た時は、私もまだかなり若かったと思い
ますが、あの音楽とともに広がるひまわり畑が強く
印象に残りましたし、結果的に引き裂かれることに
なった恋人同士が不憫でならず、映画館を後にする
誰しもが押し黙っていた、あの沈黙が思い出されま
す。

 日本でも戦争で別れ別れになった数多の夫婦がい
ました。命からがら引揚船で帰国したら、自分の兄
弟と再婚していたとか、あるいは抑留生活を経て現
地で他の女性と結婚したなど様々な実話がありまし
た。
 
 遠からぬ過去にこのような経験をしてきたのかと
思うと、親世代の多くに根付いている反戦思想の背
景が見えてくる気がします。あの人たちは平和ボケ
だという決めつけだけでなく、育って来た環境、苦
労の歴史にも思い遣る必要があるのだとつくづく思
います。

 今週も最後までお付き合い頂きありがとうござい
ました。皆様にとって平和な1週間となりますよう
に。

<おしらせ>
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こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
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●「むすび大学」というYouTube番組に出演
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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