配信日時 2022/03/24 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (362)】第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(1)  渡邉陽子(ライター)

こんばんは、エンリケです。

「ライター・渡邉陽子のコラム」

「第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ」の二回目。

自衛隊ファンから国防に関心ある一般人まで楽しめ
る厚みある貴重なレポートです。

3連隊のファンになりそうですね。


さっそくどうぞ


エンリケ


「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
https://okigunnji.com/watanabe/



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『ライター・渡邉陽子のコラム (362)』

 第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(1)

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こんばんは。渡邉陽子です。
先週は北海道の名寄駐屯地に行ってきました。第2師団初の即応機
動連隊である第3即応機動連隊改編行事の取材です。同時に、祝賀
会(飲食なし)にお招きいただき、そちらにも参加してきました。
祝賀会には第3普通科連隊長だった火箱氏も招待され、初めて火箱
さんゆかりの地でお会いすることができました。名寄市長はじめ、
今も名寄のたくさんの方から火箱さんが慕われているのを目の当た
りにできて、書籍のタイミングも相まってなんだか胸がいっぱいに
なりました。私にとっても名寄が特別な場所になりつつあります。


◆最新刊のお知らせです!

月刊『PANZER』に2021年10月号まで連載していた「神は賽子を振ら
ない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」が書籍化され発売の運び
となりました。火箱さんと名刺交換したのが2013年、取材を始めた
のは2014年。何十時間もインタビューを重ね、「えらい人の俺様自
伝」とは一線を画す1冊になったと自負しております。陸曹を目指
す陸士、陸曹を極めたい陸曹、幹部を目指す陸曹、若い幹部、そし
てなによりも一般企業に勤める方々に読んでいただきたい内容です。
福岡の田舎でのびのび育った少年が防大に進学して迷い悩みながら
進んだ半生、包み隠さず話してくださった火箱氏の懐の深さあって
こその1冊となりました。ぜひ! ご一読いただければ幸いです!

「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
https://amzn.to/3CL1aat


◆雑誌記事のお知らせです。

現在発売中の「正論」3月号の連載「われらの女性自衛官」、今回
は入間基地の第4高射隊所属の3曹です。小さな体からは「PAC3で
日本を守る」という気概が感じられました。新婚さんですが幹部の
夫は九州に異動、独身なのに営内暮らしの彼女です。なお、4月号
の連載はまん防による取材延期で休載です(泣)。
https://a.r10.to/ha3xGu


『丸』4月号に「陸自第3普通科連隊密着ルポ(1)」が掲載され
ました。今年3月に第3即応機動連隊に改編される第3普通科連隊
の、この1年の準備などをご紹介しています。
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■第3普通科連隊から第3即応機動連隊へ(2)

訓練検閲のお話の続きです。

2020年2月10日、対抗部隊からの攻撃を受け、第3戦闘団の防御戦
闘が始まりました。
前衛中隊として第一線に配置されていたのは(第3普通科連隊の)
第1中隊です。さらにその前にはGOP(全般前哨)がいるという
想定になっています。
GOPは敵と接触するかしないかの距離を保ちながら一定の地点ま
で下がり、そこから先は第3戦闘団に委ねます。

1中隊は敵の斥候を見つけること、そしてある程度の規模の敵襲を
受けても持ちこたえて、主力が態勢を整えるまでの時間を稼ぐこと
が求められるCOP(戦闘前哨)の任務を受けています。

GOPが下がってきたところで、施設部隊が地雷を設置して障害を
構築。その後、第3戦闘団の抵抗により対抗部隊が押し切れず下が
る場面もありました。

翌日の明け方、第4中隊の防御戦闘が行なわれている陣地から離れ
た場所で、第2、第3中隊は戦闘力の少ないところの間隙を縫って攻
めてくる対抗部隊を警戒していました。
足場の悪い急な斜面には、01式軽対戦車誘導弾をかまえた隊員が展
開しています。
木枝の伐採をせずに林の中から01式が撃てるのかといえば、伐採し
ていい木は「幹の直径が○センチ以下」など演習場ごとに制約があ
るため、演習の際は「伐採した」という想定で進めるのだそうです。
そこで「射界を清掃すればいちばん狙える」という場所に陣地構築
しています。

一方、昨日までCOPの大役を担っていた1中隊は、この日は必要
に応じて戦闘団長の命によって投入される予備隊として待機してい
ました。予備隊もCOP同様重要な任務で、「攻め込まれ突破され
るとまずい」というときに発動がかかるので後がない、いわば「最
後の砦」です。
第3戦闘団としては予備隊を投入せずに済むのがベストですが、10
時30分に予備隊は突破された陣地へと前進。その後、昼過ぎに状況
終了、訓練検閲は終了しました。

第1中隊を率いた中隊長の山下英晃3佐は、2020年3月に着隊するま
で長らく水陸機動団に所属していました。
スキー行進は「夏の行軍の3倍きつく感じた」そうです。今回の訓
練検閲の感想を聞きました。
「最後の予備隊としての逆襲はうまくいきました。逆襲はほとんど
成功しない難しい戦術行動ですが、戦闘団長は『敵殲滅、全員生還』
という統率方針を掲げられているので、われわれも『抜かせない。
第一線は絶対に守る』という強い意志で逆襲を決しました。しかし
前衛中隊長として、また戦闘前哨の中隊長としては、最低限の任務
は達成できたものの、もっと連隊に寄与できたのではと感じていま
す」
逆襲の際に掲げられた「毘」の旗は、昨夏できたばかり。「毘」の
文字は1中隊のシンボルマークで、北の守りを象徴する軍神である
毘沙門天に由来します。最北の前衛部隊として、今回の訓練検閲で
も大きな存在感を放ちました。
「COPという難しい任務を冬季にできる部隊としては、1中隊は
日本一だと自負しています」



(つづく)


(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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