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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
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こんにちは、エンリケです。
「情報機関はインテリジェンスの失敗をどう克服し
てきたか」の八回目。
冒頭文の「情報戦の定義見直しの必要性」は重要で
すね。
本文中の、米におけるオシント組織等の変遷は非常に
面白く興味深いものです。
さっそくどうぞ
エンリケ
おたよりはコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7/
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情報機関はインテリジェンスの失敗をどう克服して
きたか(8)
情報の共有と情報収集手段の向上
樋口敬祐(元防衛省情報本部分析部主任分析官)
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□出版のお知らせ
このたび拓殖大学の川上高司教授監修で『インテリ
ジェンス用語事典』を出版しました。執筆者は本メ
ルマガ「軍事情報」でもおなじみのインテリジェン
ス研究家の上田篤盛、名桜大学准教授の志田淳二郎、
そしてわたくし樋口敬祐です。
本書は、防衛省で情報分析官を長く務めた筆者らが
中心となり、足かけ4年の歳月をかけ作成したわが
国初の本格的なインテリジェンスに関する事典です。
2017年度から小学校にプログラミング教育が導入さ
れ、すでに高校では「情報科」が必修科目となって
います。また、2025年の大学入学共通テストからは
「情報」が出題教科に追加されることになりました。
しかし、日本における「情報」に関する認識はまだ
まだ低いのが実態です。その一因として日本語の
「情報」は、英語のインフォメーションとインテリ
ジェンスの訳語として使われているため、両者の意
味が混在していることにあります。
一方で、欧米の有識者の間では両者は明確に区別さ
れています。状況を正しく判断して適切な行動をす
るため、また国際情勢を理解する上では、インテリ
ジェンスの知識は欠かせません。
本書は、筆者らが初めて情報業務に関わったころは、
ニード・トゥ・ノウ(最小限の必要な人だけ知れ
ばいい)の原則だと言われ、ひとくくりになんでも
秘密扱いされて戸惑った経験から、ニード・トゥ・
シェア(情報共有が必要)の時代になった今、初学
者にも分かりやすくインテリジェンス用語を伝えた
いとの思いから作り始めた用語集が発展したもので
す。
意見交換を重ねているうちに執筆賛同者が増え、結
果として、事典の中には、インテリジェンスの業界
用語・隠語、情報分析の手法、各国の情報機関、主
なスパイおよび事件、サイバーセキュリティ関連用
語など、インテリジェンスを理解するための基礎知
識を多数の図版をまじえて1040項目を収録する
ことができました。
当然網羅していない項目や、秘密が開示されていな
いため、説明が不足する項目、現場の認識とニュア
ンスが異なる項目など不十分な点が多数あることは
重々承知していますが、インテリジェンスや国際政
治を研究する初学者、インテリジェンスに関わる実
務者には役立つものと思っています。
『インテリジェンス用語事典』
樋口 敬祐 (著),上田 篤盛(著),志田 淳
二郎(著),川上 高司(監修)
発行日:2022/2/10
発行:並木書房
https://amzn.to/3oLyWqi
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□はじめに
今回のロシアによるウクライナ侵攻については、
情報戦という側面がかなり強調されています。
アメリカ軍などでは情報戦(IW:information
warfare)とは、味方の情報および情報システムを
防護し、かつ敵のそれを攻撃・攪乱・妨害する敵味
方相互の情報活動としています。
そして、情報戦そのものがあるわけではなく、指
揮統制戦、電子戦、心理戦、サイバー戦、ハッカー
戦などを含んだ総称だとしています。
しかし、その考え方は1990年代の軍を主体に
定義付けられたものです。「味方が情報を活用し、
敵にそれを活用させないようにする情報活動」とい
う基本的な考えに変化はないのでしょうが、今回の
ウクライナ情勢においては、情報戦の主体が軍だけ
でなく政治サイドはもちろん、マスコミ、一般民衆
にまで拡大しています。また、その手法も従来のや
り方とは変化しています。
そのため、新たな定義が必要になってくるでしょ
う。
今回、情報戦をより広く捉えた場合、顕在化した
特異なものとしては、まず、アメリカ政府は、ロシ
アの偽旗作戦などに関し、機密情報を一部開示する
ことで、ロシアの軍事行動を抑止または制限しよう
する試みがありました。
また、3月3日には、ホワイトハウスのサキ報道
官がウクライナに対し、リアルタイムでインフォメ
ーションだけでなくインテリジェンスを継続して提
供をしていることも認めています。
ロシアに対するサイバー攻撃に、アノニマスなど
の民間のハッカーが参加していることも特異なこと
だと思います。
SNSを利用した情報の発信は、2011年のア
ラブの春などでも見られましたが、より進化してい
ます。
ウクライナ国民は、ロシア軍の攻撃や行動をSN
Sでリアルタイムに情報提供し、国際社会に訴える
とともに、ロシア軍の行動に少なからず制限を与え
ています。
ゼレンスキー大統領は、SNSを活用してロシア
の違法性を広く訴えて、国民の士気を高揚させると
ともに、世界各国へのウクライナの支援を募ってい
ます。
また、同大統領はイギリスやカナダに続き、3月
16日には米連邦議会でオンラインで演説しました。
我が国でも23日に国会での演説が決まりました。
米連邦議会では、ウクライナの現状について「1
941年の真珠湾攻撃を思い出してほしい。米同時
多発テロを思い出してほしい。空からの攻撃で街が
戦場になった。私たちは、ロシアによる空からの攻
撃で毎日、毎晩、この3週間、同じことを経験して
いる」とアメリカ人の心情に訴えました。
さらに、演説の合間には、砲撃されたウクライナ
の市街地や、民間人が犠牲になる様子を撮影した映
像が流されました。
その上でウクライナ上空への飛行禁止区域の設定、
それができなければ航空機や地対空ミサイルなど
の武器供与を訴えました。
真珠湾奇襲と9.11テロの違いについては、前
回までで説明してきましたが、国際社会においては、
将来もこのような文脈で、何かにつけ両者が引き
合いに出されるのでしょう。ちなみに、ゼレンスキ
ー大統領はイギリスにおいてはヒトラーによるウク
ライナの東部の都市での虐殺について言及し、ロシ
アも同じ場所で虐殺していると非難しました。
さて、先回は、真珠湾奇襲以来インテリジェンス・
コミュニティーにおいて情報共有が不十分だという
問題点が、60年後の9.11テロの教訓により、制度
的にはやっと解消されることになったということを
説明しました。
このほか他に情報共有のため、システム的な改革
も進展しています。今回はこの点について述べた後、
「情報収集手段の問題」の対策についても触れたい
と思います。
▼情報の漏えい対策を講じつつ「情報共有」を推し
進める
2005年の国家情報長官(DNI)の創設に伴
い、情報共有のための新たな技術や施策もインテリ
ジェンス・コミュニティーに取り入れられるように
なりました。
インテリペディアやAスペースといった各インテ
リジェンス機関に共同のツールは、情報共有を容易
にし、さらに分析のやり方も変化させています。
インテリペディアとは、いわゆるウィキペディア
のインテリジェンス機関版であり、2006年から
正式に運用されています。また、Aスペース(A-
SPACE: Analytic Space)とはインテリジェンス・
コミュニィティー共通のバーチャルな議論や作業の
場で2007年頃から運用されています。
2008年インドのムンバイテロの際、各インテ
リジェンス機関から選出された暫定的な分析グルー
プが、Aスペース上で、ビデオ、写真および衛星画
像を持ち寄り、リアルタイムでテロの全容を明らか
にしながら議論がなされたとされています。
今ではコロナ禍のため、日本でも普及したオンラ
インによる会議が、アメリカのインテリジェンス・
コミュニティーでは10年以上も前から行なわれて
いたのです。
2009年1月に出されたインテリジェンス・コ
ミュニティー指令501では、情報の共有と統合の
強化を命じています。
そしてこの取り組みを支援するためDNIは、デ
ータベースとしての国家情報図書館(LNI:Li
brary of National Intelligence)を充実させてい
ます。LNIは、10万人以上(当時)のインテリジェ
ンス・コミュニティーの勤務者に対し、各インテリ
ジェンス機関が作成した230万件(当時)を超える
分析プロダクトへのアクセスを許可しました。
また、セキュリティ・クリアランスを与える範囲
も拡大しました。国家安全保障関連の秘密情報を扱
う秘密インターネット・プロトコル・ルータ・ネッ
トワーク(SIPRNet)のウェブサイトにアクセスで
きるセキュリティ・クリアランスを、州や市レベル
にも拡げ、情報共有を可能にしました。
情報共有の負の側面として、常に問題となるのは
情報の漏えいです。この問題に対応するため、イン
テリジェンス・コミュニティーは、コミュニティー
全体、さらには主要な同盟国との情報共有を安全に
推し進めるため、より強度に暗号化された専用の電
子メールのセキュリティ技術なども進化させていま
す。
2007年には、ウィキリークスにより軍事や外
交に関する機密情報を含む大量の情報が漏えいする
などの事件もありました。そのため、一時期情報共
有の動きも見直されたようです。
しかしながら、インテリジェンス・コミュニティ
ーは、その後も情報共有をしないことによるデメリ
ットよりも、情報漏えいへの対策を講じつつ情報を
共有し相乗効果を得るというメリットを追求してい
るようです。
以上のように、真珠湾奇襲以来長年の問題であっ
た、情報共有が不十分という問題点が、60年後の
9.11テロの教訓により、組織やシステムを改善、
進化させることで、かなり解消されることとなり
ました。
次は、「情報収集手段の問題」を解消するため、
どのような対策をとってきたかについて記述したい
とと思います。
▼電波情報収集機関の創設
情報収集機能を充実する組織の一つとして、電波
情報収集機関があります。
1918年、電波情報を収集し暗号を解読するた
め、米陸海軍併設の暗号通信解読機関として「ブラ
ックチェンバー」が設立されました。
第一次大戦後、ブラックチェンバーは陸軍情報部
から切り離されて、組織上は民間の一機関となりま
したが、経費は国務省と陸軍の機密費でまかなわれ
ていました。
しかし、1929年になるとスティムソン国務長
官が「紳士たるもの、他人の信書を盗み見するもの
ではない」としてブラックチェンバーの予算を打ち
切り、機関を廃止してしまいました。
その後、暗号解読の継続的必要性が見直され19
30年、陸軍に信号情報部(SIS)が設立、海軍
にはOP-20Gが設立されました。両組織が、第
二次大戦時に日本の暗号(通称パープル暗号)など
を解読し、山本五十六連合艦隊司令官搭乗機撃墜や
ミッドウェー海戦の勝利などにつながった事例は有
名です。
また、1940年から44年にかけて、ソ連の暗
号を陸軍保安局とイギリスのGCHQが協力して解
読していた秘密のプロジェクトによる資料は、ヴェ
ノナ文書として知られていますが、そのこと自体が
長い間秘密にされ、1995年になって情報公開さ
れました。
陸軍の電波情報機関を継承したのがNSA(国家
安全保障局)です。1952年にハリー・S.トル
ーマンの大統領令により設置されました。国防総省
の傘下で海外の通信・電波情報を収集、分析してい
ますが、その存在自体すら長い間秘密にされていま
した。
1954年以降、ファイブ・アイズによるエシュロン
といわれる国際的な通信傍受システムの存在は、
2001年になって欧州議会で公的に明らかにされてい
ます。
1978年成立した外国情報監視法 (FISA)は、N
ASによるアメリカ市民を対象とした活動を禁止しま
したが、2008年の同法の改正により、NSAは国内通
信を、その通信の相手がアメリカ国外にいると信じ
る正当な理由がある場合は、令状なしに傍受できる
権限を与えられました。
▼画像地理情報の重要性
画像地理情報(ジオイント)の歴史は、1803
年トーマス・ジェファーソン大統領が、ルイジアナ
地区の最新の地形を知るために陸軍を派遣して地図
を作らせたことから始まっています。
第一次大戦までは組織も技術も大した進歩はあり
ませんでしたが、第一次大戦おいては航空写真の撮
影が戦場の状況の把握に大きく貢献するようになり
ました。
第二次大戦になると、航空機、カメラ、フィルム
技術の進歩が、航空写真の軍事への活用の機会を増
大させていきました。その活動の中で地図と画像解
析を上手く組み合わせようとするコンセプトが醸成
されていきました。
1950年代後半、当時のアメリカは、ソ連にミ
サイルギャップをつけられた、という認識を高めて
おり、ソ連の戦略ミサイルを監視することで安全保
障を確保する方針を固めました。
そして、1956年にU-2偵察機によるソ連上
空の偵察飛行を開始し、1960年まで、断続的か
つ秘密裏に行なっていました。この4年間にわたる
作戦で、アメリカは極めて重要な情報を得たとされ
ています。
しかし1960年5月1日、U-2偵察機はソ連
上空で撃墜され、パイロットは脱出しましたが、捕
虜となりました。ソ連がその事実を公表したため、
5月中旬に予定されていた米ソ首脳会談は中止にな
り、さらにソ連はこの事件をアメリカによる犯罪行
為として、積極的に反米プロパガンダに利用するよ
うになりました。
この事件以後、U-2機によるソ連領空内の高高
度偵察飛行は行なわれなくなりました。この事件は、
画像情報の有効性を再認識させた反面、敵国上空
を飛行して墜落した場合の政治的リスクが極めて高
いことも改めて認識させました。
1959年、キーホール偵察衛星が打ち上げられ
てからは、衛星写真が本格的に使用されるようにな
りました。1961年、偵察衛星の打ち上げとそれ
を運用する国家偵察局(NRO)が設立されました
が、その存在は1992年まで秘匿されていました。
1996年には、地図作成と画像分析を主とした
国家画像地理局(NIMA)が設置され、2003年には国
家地理空間情報局(NGA)へと改名されました。
今や画像地理情報(ジオイント)は、軍事情報分
析に欠かせない重要なものとなっています。
▼ヒューミントの活躍と必要性の再認識
ヒューミントは、各情報機関が設立された初期の
ころからそれぞれに実施されていましたが、対外情
報に関し本格的に統一されて収集活動がなされたの
は前回述べたように、1941年の情報調整官室(OCI)
設立後のようです。
1962年のキューバ危機では、U-2機による
画像情報とGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)のオ
レグ・ペンコフスキー大佐がもたらしたスパイ情報
(ヒューミント)をうまく統合したことにより、イ
ンテリジェンス機関は、キューバにおけるミサイル
基地を発見できたことは先回も述べたとおりです。
スパイのペンコフスキー大佐は、1962年にKGBに
より西側のスパイであることが露見し、63年に処刑
されました。ヒューミントには、このような危険性
が常に付きまとっています。
一説によれば1950年代後半にアメリカが入手した
情報の少なくとも75%がヒューミントに関連すると
いわれていましたが、偵察衛星の導入に伴い、その
比率は低下し、そのためヒューミント要員は削減、
結果として、ヒューミントは次第に軽視されるよう
になっていきました。
1979年のイラン革命前には、米政府はパーレ
ビ国王の信頼を得るため、米インテリジェンス機関
の反体制派への人的アクセスを制限していました。
その結果、イラン革命を察知することができなかっ
たとされます。
1994年のCIAのオルドリッチ・エイムズがソ連の
スパイを行なっていたことが発覚しました。その結
果として、CIAでは、ドイチェ長官時代(1995~97)
に、倫理上問題のある人物を情報源として運用する
ことを自重する動きにつながりました。この、ドイ
チェ・ルールによってヒューミントの機能や能力は
さらに弱体化したといわれています。
また、冷戦後には安全保障上の脅威が多角化し、
必要性はあったものの中東の反米国家、テロ組織な
どへの工作員の潜入などは極めて難しい状況になっ
ていました。
2002年10月のNIE(国家情報見積もり)が書かれ
た時点において、米国はイラクの核・生物・化学兵
器プログラムに関する独自のヒューミントをほとん
ど持っておらず、指導者の意図についての情報がほ
ぼなかったとされます。
その結果、他国のインテリジェンス機関から入手
した信頼性に欠ける人物(カーブボール)からの情
報が、イラクに関するインテリジェンスに大きく影
響を与え、アメリカ大統領にイラク侵攻を決断させ
ました。
その後、ヒューミントの見直しについても行なわ
れているようですが、要員の育成には時間がかかる
ことや、その秘密性から改革の動向は分かっていま
せん。
▼オシントの見直し
従来から情報機関が使用する情報(インフォメー
ション)は、オシントにより90%以上が入手でき
るとされていました。さらにインターネットの発達
により、誰でも容易に大量のインフォメーションを
収集できるようになり、その確率はさらに上がった
はずです。
しかし、その反面、個人で処理するには量が膨大
すぎるうえ、相反するインフォメーションも多くな
りました。
そのため、正確性について問題があるため、取り
扱いは秘密情報に比べて軽視され、雑に扱われてき
た面があります。
また、オシントは誰でも比較的容易に入手できる
ため、オシント専属の収集機関や担当者がいるわけ
ではなく、どちらかといえば分析官自らが行なうこ
とが常となっていました。
分析官は、入手可能な膨大なインフォメーション
を処理することに大半の時間を費やし、肝心の分析
業務の時間がとれないという問題に直面していまし
た。
その後、イラクのWMD(大量破壊兵器)問題の
教訓などから、2004年のインテリジェンス改革
法や05年のWMD報告書においてオープンソース
の活用が提言されました。
2005年11月、オープンソースセンター(OSC)は、
CIAのFBIS(外国放送情報局)を中核として、DNI
直轄の組織として設立されました。
OSCは、公開情報から得られるニュースの翻訳、
分析、報告、ビデオの編集、空間地理情報など、
毎日2300を超える大量のプロダクトを日々作成し、
関係機関へ配布しています。
OSCが提供する情報の範囲は、外国の政治・軍
事・経済・科学技術に関するトピックスだけでなく、
対テロ、核不拡散、対麻薬および国土安全保障に
関するトピックスも網羅しています。
OSCの運営により、従来は各機関や個人で行な
っていた公開情報の収集が一括して行なわれるよう
になり、送られてくるデータをフィルタリングすれ
ば、自分の業務に関係のあるオシントを効率的かつ
漏らすことなく入手できるようになります。
そのため、各分析官は、情報収集に充てていた時
間を情報分析などの本来の業務に充当することがで
きるようになりました。
さらに、それらのオシントは多くの機関で共有さ
れているため、取り扱いに制約の多い秘密情報を使
わずとも情報共有や意見交換が可能となりました。
このように制度的に軽易に情報共有や意見交換がで
きることは、情報分析にも多大な相乗効果をもたら
すと期待されています。
2015年10月、OSCはOSE(Opensource Enterprise)
に名称を変更し再びCIAの隷下に戻りましたが、OSE
は2019年に廃止され、その業務は、OSDLS(Open
Source Data Layer and Services)に移管されてい
るようです。
このように、アメリカのインテリジェンス・コミ
ュニティーにおいては、「情報共有の問題」「情報
収集手段の問題」の解決のために組織の新設や改編、
インテリジェンスに関するシステムの導入などを
行なってきました。
次回は、「分析の問題」の解決について述べたい
と思います。
(つづく)
(ひぐちけいすけ(インテリジェンスを日常生活に
役立てる研究家))
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rl/7/
【著者紹介】
樋口敬祐(ひぐち・けいすけ)
1956年長崎県生まれ。拓殖大学大学院非常勤講師。
NPO法人外交政策センター事務局長。元防衛省情報
本部分析部主任分析官。防衛大学校卒業後、1979年
に陸上自衛隊入隊。95年統合幕僚会議事務局(第2
幕僚室)勤務以降、情報関係職に従事。陸上自衛隊
調査学校情報教官、防衛省情報本部分析部分析官な
どとして勤務。その間に拓殖大学博士前期課程修了。
修士(安全保障)。拓殖大学大学院博士後期課程修
了。博士(安全保障)。2020年定年退官。著書に
『国際政治の変容と新しい国際政治学』(共著・志
學社)、『2021年パワーポリティクスの時代』(共
著・創成社)、『インテリジェンス用語事典』(共
著・並木書房)
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