おはようございます、エンリケです。
163回目の美佐日記です。
わが国が「外交」のできない国である現実を
改めて感じさせる記事でした。
さっそくどうぞ
エンリケ
桜林さんの不朽の傑作
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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
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桜林美佐の「美佐日記」(163)
戦火の中にいる人々にいかに手を差し伸べるか…
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年3月の今回
は163回目となります。
ウクライナ危機を目の当たりにしながら、3月1
0日の陸軍記念日を迎えました。言うまでもなく、
1905年の日露戦争における奉天戦で帝国陸軍が
勝利した日です。
先の大戦ではこの日を狙って米国が東京大空襲とい
う無差別攻撃を始めたといわれ、こうした歴史的な
視点からすれば、プーチンにとって戦争というもの
は時が経てばどうせ忘れられるものという感覚なの
ではないかと想像します。
そして、勝者こそが歴史を上塗りでき、裁かれる
こともないということは、本来、敗戦国である私た
ち日本人が最もよく知っているはずです。
かつての日本人たちは補給もない絶対的劣勢の中
で体を張って最後の最後まで戦いました。また責任
を一身に引き受け国民を救おうとされた天皇陛下の
存在がありました。こうしたことが、戦後の日本の
地位を築いたのです。現在のウクライナの必死の抵
抗にかつての日本人の姿が投影されているような気
がしてなりません。
ウクライナにおけるゼレンスキー大統領の支持率
は90%にも及ぶといい、大統領が逃げないのだか
ら我々は戦うと立ち上がる国民の姿があります。
日本人は戦後教育によって、国を守るために戦っ
た過去について否定的になりましたが、将来ウクラ
イナにおいても「ゼレンスキーが強気になったのが
いけなかった」などということにならないのか、そ
のあたりが気になります。
事実、日本の中にはゼレンスキー大統領がロシア
を挑発し、また自身が踏ん張っていることで結果的
に国民を追い詰めているという見方が少なからずあ
るようです。
一方で欧州諸国は、大統領を筆頭に自国を守る気
概を見せるその姿に、政策まで大転換する動きを見
せています。これは加藤さんのメルマガでも指摘さ
れていた通り、自分の国を自分たちで守ろうとする
意志こそが何より大事であることを物語っています。
過去の日本人も今のウクライナの人々のように純
粋な思い一つになっていたのかと思うと、適切な言
葉ではないかもしれませんが、ある種の羨ましさも
あります。
いつでも世界中の平和を祈っていますが、平和が続
くと忘却が進み、不健全な思想に支配されがちにな
るという、人間社会のウイークポイントを思うと、
現在只今ほど、世界の人々が平和を望み、ロシアの
侵攻、いえ、その前のコロナ拡大前の当たり前の日
常のありがたさを知っている時代はなく、図らずも
私たちは学びの多い世代に選ばれたということに気
づかされます。
さて、こうした中、わが国は防弾チョッキやヘル
メットなどを提供することになりました。これは日
本におけるいわゆる「武器輸出」になります。
2014年にそれまでの「武器輸出3原則」が改
正され、新たな「装備移転3原則」ができ、事実上
の禁輸政策を転換したこと、そしてその後、フィリ
ピンへの航空機供与など実績を作ってきたことが大
きかったと思います。
この3原則には「運用指針」というものがあって、
かねてからこのしばりが多いことが輸出促進に繋
がらない点や、外為法は大きく変更されていないた
め、3原則は新しくなっても、結局、装備移転の実
情はあまり変わらないという指摘がありました。
今回は運用指針における相手国に関する規定「米
国を始め我が国との間で安全保障面での協力関係が
ある諸国」が今回のケースに該当しなかったため、
急きょ「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」
という項目を付け加えました。
「ウクライナ」と国を限定する必要があるのだろ
うか、とまず思いましたが、同じように感じた先生
もおられるようで、自民党の部会では、輸出先をウ
クライナに限らず「国際法違反の侵略を受けた国、
地域」に広げるべきだという意見が出たといいます。
また、台湾有事を見据えれば弾薬の提供も視野に入
れるべきという声もあがったようです。当然の発想
でしょう。
この運用指針については、ここでは細部にまで触れ
ませんが、細かく定め過ぎている感はありました。
日本的と言えばそれまでですが、装備移転を「解禁」
したと言われるわりには、実際は経産省のルール
は厳格なままですし、防衛省関係者の立ち入る範囲
ではなく、アクセルとブレーキを同時にかけている
ような状態と言ってもいい状態になっています。
今回もウクライナの特例が加えられたまでで、指針
そのものが見直されたわけではありませんので、こ
れを機に全般的な再検討もあっていいようにも思い
ます。
因みに当初はヘルメットしか送らなかったことで顰
蹙を買ったドイツにも武器輸出できる国を厳格に区
別し紛争地には送らないという指針がありました。
しかし、ロシア軍のキエフ侵攻が本格化したことを
受け、一夜にして方針を転換、対戦車砲や地対空ミ
サイル「スティンガー」供与を決めています。
大事なのは、指針をどうするか、国内のリアクショ
ンはどうか、ではなく、今、この時にも生きるか死
ぬかの戦火の中にいる人々にいかにして手を差し伸
べるかではないでしょうか。
それと、防弾チョッキなどだからと言っても、やは
り「トリセツ」のようなものが全くないのでは心許
なく、取り急ぎなのでせめて英語かあるいはイラス
トなどでガイドを付けてもらえたのかどうか、その
あたりも気になっています。装備移転において言語
の問題はけっこう大きいと思います。
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した!皆様にとって大切な1週間となりますように
!
<おしらせ>
●「自衛官の心意気」(PHP)が文庫化し「本音
の自衛隊」(産経NF文庫)として再出版されまし
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)
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