おはようございます、エンリケです。
159回目の美佐日記。
きょうも面白いです。
ではどうぞ
エンリケ
桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
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ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。
エンリケ
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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。
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桜林美佐の「美佐日記」(159)
危ない農薬の話──ネオニコ系農薬不使用へ
桜林美佐(防衛問題研究家)
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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年2月の今回
は159回目となります。
ちょっと前になりますが、荒木肇先生の1月19
日のメルマガで宮沢賢治の「わたしは人が食事をし
ているのを見ると憎めなくなる」という言葉が紹介
されていたのですが、ものすごく納得できます。
「生物としての宿命を負う私たちは食事をする時
には無防備で、他人に飾り立てた自分を見せなくな
る」というのは、本当に同感です。
食事を共にすることで人と人との距離感はぐっと
縮まるものですよね。ローマ時代に食事をしながら
話し合ったのが「シンポジウム」の由来だというの
も興味深いです。
全世界のカトリック教会では「最後の晩餐」が毎日
再現されていることからも、キリスト教世界では「
食べる」という行為が非常に大事であり、そして誰
かと「共に分かち合う食事」が大切にされているこ
とが分かります。
コロナの影響で会食がなくなったことで、久しぶり
に再開できた時は、それまで当たり前のように一緒
に飲んだり食べたりしていた人がとっても大切な人
であることに気付いたり、その時間も決してなんと
なく過ごしたりしない珠玉の時になるかもしれませ
んね。
さて、そんな中、先日はその食事の中身、食べ物に
ついての講演会で司会をすることがありました。講
師は安田節子先生、食の安全の専門家です。
今回の講演はゲノム食材のリスクについてが主題だ
ったのですが、休憩の時間などにその他のことにつ
いてもあれこれお聞きしました。
この日記で以前にも危ない農薬の話を書きましたが、
先生とのやりとりで、最近ますますその危険性が
明らかになってきたことを知りました。
食の安全に関する話題は、地上波テレビなどではス
ポンサーの関係もあり、ほとんどできないものでし
たが、昨年11月にはTBSの「報道特集」で「ネ
オニコ系農業 人への影響は」というタイトルで放
送されたようです。YouTubeでも観ることが
できます。
ネオニコとは「ネオニコチノイド」という殺虫剤の
ことで、強い効き目のため、散布回数が少なくてす
み、農家では欠かせないものとなっているといいま
す。
しかし、日本でこの農薬が使い始められた1993
年からウナギやワカサギの激減、ハチの大量失踪な
ど、明らかな自然界での変化が起きていました。
とはいえ、人への影響はないということで、ネオニ
コの普及は続きました。しかし最近、マウスでの実
験で脳神経への影響が分かってきたといいます。
人への毒性は実験をすることができませんので、あ
る意味、私たちは90年代以降、人体実験の渦中の
人と言えるのかもしれません。
ネオニコによる脳の発達への影響が濃厚だとされ、
子供の発達障害や自閉症が増加しているのは農薬使
用量が世界に比べ突出している韓国と日本なのだそ
うです。
驚かされるのは、この先の話で、この日本からの研
究論文を受けてEUでは多くの農薬を使用禁止にし
、規制を格段に厳しくしたのです。
EUは2030年までに農薬使用量を半減し、有機農業
を25%に拡大するとした「農場から食卓戦略」を決
めています。
これに追随して日本も同様の目標を掲げたのですが、
EUが2030年までの半減を目途にしているの
に比べ、日本では2050年としています。
農家の反対が大きいのでしょう。日本の場合は農家
の高齢化や湿度が高い気候条件などから農薬なしで
行うのは非現実的だと言います。農薬を使わない決
断は死活問題になります。
安田先生は、有機農業に舵を切ってもらうためには、
とにかく消費を増やすことだといいます。
諸外国が有機農業の面積を拡大させた背景には「有
機給食」があるそうです。子供たちの給食をオーガ
ニックにするのです。
日本でも有機給食を政府の公共福祉策として位置付
けることが求められるといいます。学校給食だけで
はなく、病院、職員食堂、子ども食堂、フードバン
クにも有機食材が行きわたるようにすることを先生
たちは目指しているそうです。
ぜひ、自衛隊でもお願いしたいものです。因みに自
衛隊ではごく最近、糧食費を20円ばかり値上げし
たといいますが、これは栄養士さんの働きかけで、
あまりにも古典的な栄養基準のままだったものを見
直したことによるものでした。
それまで、1971年に作られ2002年に改変さ
れた1つの栄養摂取基準しか定められていなかった
のです。
この改定にも相当な労力を必要としたと思うと、
食の安全にまで行きつくのは夢のまた夢のような気
はしますが、国民の安全を守る自衛官の食べる物が
安全ではない、というのはやはりおかしな話ですの
で、真剣に今後の検討項目にしてもいいのではない
かと私は思います。
とにかく、有機給食を普及させることで、安定的
購入先が増えることになり、有機農業の経営が安定
します。そうなれば、新規参入が増えるという見立
てです。
少しずつ、有機給食を導入する自治体も増えてい
るということですので、広がりを期待したいところ
です。
JAは反対するのではないか、と心配になります
が、実際、画期的な動きを始めているJAもありま
す。
佐渡のJAでは「JA佐渡米」の要件としてネオニコ
系農薬不使用を決めました。トキの繁殖のために餌
を増やそうとしたのがそもそもの始まりだったよう
です。農薬で餌になる虫などが死んでしまうからで
す。
最初は猛反発した農家の人たちも、翌年、トキが
田んぼに飛んで来たのを見て感動し、取り組みが加
速されたといいます。
安田先生が一貫して主張しているのは国産の活性
化です。
しかし、外国のほうが有機農業が盛んなために、安
全な物を選ぼうとすると輸入品を手にすることにな
ってしまいます。日本の有機モノはまだまだ高額と
いうこともあります。
最近は中国も富裕層が安全な食材を求め、中国産
の有機食品が日本のスーパーでも多く見られます。
国産農作物が安心できなくて、輸入モノを買うな
んてあまりにもおかしなことです。日本国民が安全
な国産のものを自給できるようにしてもらいたいと
願うばかりです。そしてこれは防衛装備でも全く同
じではないでしょうか。
「食事をする時は無防備」という言葉を冒頭に紹
介しましたが、食べる物に対しても無防備すぎると、
じわじわとどこかの細胞が破壊されていくのかもし
れません。実に考えさせられます。
今日も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した!
皆様にとって素晴らしい1週間となりますように!
●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。
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いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます。
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(さくらばやし・みさ)
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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)
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