こんばんは、エンリケです。
先ほど配信した
「【我が国の未来を見通す(11)】少子高齢化問題(11)
具体的「少子化」対策の提案(その1)」
の文中で、字句の修正がありますので、訂正して再送いたします。
(第248行)
訂正前: これらから、「児童手当」は、実際にかか
訂正後: 以上を比較すると、「児童手当」は、実際にかか
エンリケ
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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
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こんにちは、エンリケです。
「我が国の未来を見通す」第11回です。
数字に基づく実に説得力あるインテリジェンス(提
言)です。
さっそくどうぞ
エンリケ
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我が国の未来を見通す(11)
少子高齢化問題(11)
具体的「少子化」対策の提案(その1)
宗像久男(元陸将)
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□はじめに
歴史教育は、時代時代の個別の事象を歴史的事件
と称して教え、覚えさせるだけなので、学生は、教
えられた歴史が史実か否か、あるいは前後の事象や
諸外国の事象との関係などに疑問を持つことも興味
を持つこともないまま、年号と事件名をひたすら覚
えることをもって歴史を学んだような気になります。
その上、歴史研究家も、「歴史のif」はタブーと
して、歴史の岐路のようなもの、あるいは岐路にな
った背景や要因を研究し、仮に(判明している)そ
の後の歴史につながる要因となった「選択枝」と別
の「選択枝」を採用したら、というような研究を封
印するのが常です。
本シリーズは、「我が国の未来を見通す」ことを主
眼にしています。よって、「選択枝」にタブーはあ
りません。未来の「事象」を予測して、素晴らしい
事象につながると判断すれば堂々とその「選択枝」
を採用すればいいし、暗雲が立ち込めることが予測
されるのであれば、その暗雲を除去、回避、あるい
は遠ざけるような「選択枝」を選ぶのは当然なので
す。
その上、仮にその「選択枝」が極めて険しい“いば
らの道”であっても、時の為政者(たち)は、的確
に判断し、国家そして国民を導いていくべきと私は
考えます。国家の岐路、つまり国家の未来はそのよ
うなリーダシップを持つ為政者(たち)を輩出でき
るかどうかにかかっていることを歴史は教えていま
す。
長くなりました。このまま推移すると我が国の「少
子化」を避けることは不可能です。それを緩和する
「選択枝」を先延ばしすればするほど元に戻すこと
がより困難になることも明白です。
今年は、岸田首相の呼びかけもあって、久しぶりに
春闘で「賃上げ」が実現しそうです。しかし、私は
中身が問題だと思っています。高所得者、(多額の
タンス貯金保有の)高齢者、独り者、結婚しても子
供がいない世帯などはそのまま据え置き、結婚願望
の若者、子育て中の夫婦(できれば2人以上の子供
を育てている夫婦)などの収入をことさらにアップ
するなど、メリハリが必要だと思います。岸田首相
は、政策の柱に「分配」を掲げているので、堂々と
メリハリをつければいいし、そのようなメリハリこ
そが我が国の将来を左右する第一歩になると私は確
信しています。
▼低「婚姻率」・「晩婚化」、高「離婚率」・「生
涯未婚率」増加傾向への対策
さて、〝言うだけ番長″にならないように、本メル
マガでも、無い知恵を絞りながら「少子化」対策を
提案してみようと思います。
一般によく言われている「少子化」対策のポイント
は、「若い世代が、仕事や勉学などの社会生活を優
先させるあまり、結婚、出産、育児を含む家庭生活
の構築に向けた将来設計を先送りすることのないよ
う、社会保障制度や子育て支援制度、雇用政策など
の政策パッケージによって彼らのワークライフバラ
ンスの向上を図るようにすべき」とか「『社会全体
で子供を育てる』という雰囲気を醸成することであ
る」などと集約されます。
私は、このような美辞麗句的な総論よりも、前回総
括しましたような、「少子化」の原因となっている
もの一つ一つにメスを入れ、個々にその対策の是非
を論じ、「社会的な変化」を引き起こすことができ
るか否かを検討することが必要と考えます。
「結婚をするかしないか」「いつ結婚するか」な
どは、まさに個人の人生観や価値観に負うところが
大きいことは間違いありません。だからこそ、国家
や社会が介入せず、放置したまま今日に至っている
のでしょう。一方、国家や社会が若者の結婚を応援
する体制が十分かと問えば、決して十分ではないと
考えます。まだまだやれることがあるはずです。
当然ながら「少子化社会対策大綱」にも「結婚前」
「結婚」「妊娠・出産」「子育て」のライフステー
ジの各段階における支援施策の方向性について縷々
述べられています。その方向そのものにはさほど違
和感はありません。まさにそのとおりだと思います。
しかし、どうしても「具体性に欠ける」との印象も
持ちます。もっと、具体的なデータを追ってみまし
ょう。たとえば、結婚後の「扶養手当」ですが、配
偶者の扶養手当は、公務員を例にとれば、月にして
1万3000円ほどですから、一般企業などもおお
むねそのような額と推測されます。
結婚前の若者は、今は昔と違ってそれぞれが働いて
おり、二人合わせれば相当の収入になることでしょ
う。しかし、結婚して妊娠でもしようものなら、あ
る時期から女性は退職を余儀なくされ、収入は、夫
の収入+月額1万3000円ほどになるので、いき
なり生活そのものを切り詰める必要があることは明
白です。加えて、女性の結婚前のキャリアが消滅す
ることも問題でしょう。
数年前までは、親戚の中に必ず一人や二人は必ず
いた“おせっかい伯母さん”、つまり“実質的な仲
人”が消滅して久しいことも事実です。結婚しない
理由には「出会いがない」というのがあります。最
近は民間の「結婚相談所」(有料)とか「出会い系
」サイトなどもあるようですが、未だ抵抗がある若
者も多いことでしょう。
大綱にも「地方公共団体による総合的な結婚支援の
取組に対する支援」の項目もありますが、このよう
な公営の「結婚相談所」とか「結婚支援所」のよう
なものが結婚願望の若者たちに信頼され、実績を上
げるためには他の政策と連携をとりながら様々な努
力が必要であると考えます。
個人の人生観まで変えることは難しいとしても、政
府が(1)結婚(家族)手当の新設、(2)配偶者扶養手当
の増額、(3)結婚前キャリアの保証、(4)公営「結婚相
談所」の充実などの政策を実行して、国家や社会を
挙げて「結婚するムード作り」をすることが大事な
のではないでしょうか。
▼「子供を作る」できれば「2人以上の子供を作る」
対策
以前、「子供を作る」意志のない夫婦が7割弱存
在することを紹介しましたが、その理由は、考え得
るだけでも、もともと子供が嫌いな夫婦、晩婚ゆえ
諦めている夫婦、妻がキャリアウーマンで仕事優先
の夫婦、経済的理由で子供を持たない夫婦、それに
不妊症のために子供を欲しくても授からない夫婦な
ど様々だと思います。
これらの背景に現在社会の風潮があることも否定で
きないと思いますが、「不妊症治療の保険治療化」
などの対策も逐次進んでいるようです。個人的には、
「子供を作らない」あるいは「2人以上の子供を
作らない」理由の中核に「経済的理由」があるよう
な気がしますので、まず、我が国が、どれだけ「子
育て」のための経済的支援を実施しているかを取り
上げてみたいと思います、少々細かい分析になりま
すが、お付き合いください。
現在の子育て支援の主体は、「児童手当」(0歳か
ら中学校卒業まで受給)です。その実態をチェック
してみましょう。子供1人当たり支給月額は、3歳
未満は、一律1万5000円、3歳以上から小学校
修了前が第1子・第2子は1万円、第3子以降は1
万5000円となります。中学生は一律1万円です。
これらにはすべて所得制限がかかっています(子供
の数によって所得限度額は変わり、子供が1人の場
合は660万円、2人の場合は698万円、3人の
場合は736万円)。上記所得制限を超える場合の
児童手当は子供の年齢にかかわらず一律に月額50
00円となります。
つまり、所得制限がかからない世帯の第1子・第
2子のみの児童手当総額は一人当たり198万円(
中学校卒業まで)ということになります。第3子は
252万円まで増額されます。所得制限がかかって
いる世代は何人子供が生まれようと総額90万円で
す。
この額が多いか少ないかについては様々な意見が
あることでしょうが、実際の子育てにいくらぐらい
かかるかをチェックしてみましょう。
我が国は2019年以降、幼児教育・保育の無償
化が進んでいますが、いずれも所得制限があり、幼
稚園、保育所、認定こども園などによって細かく規
定されています。たとえば、幼稚園の場合、住民税
非課税世帯(年収約360万円以下)かどうかによ
って、無料あるいは一定額の免除などが規定されて
います。
ひと昔前は、つまり就学前幼児の育児費は年間約
100万円かかるといわれていましたが、最近は、
0~3歳までは月額約7万円、年間約84万円、3
年間で約250万円、4歳から6歳までは、様々な
ケースはありますが、公立の幼稚園の場合は、3年
合計で65万円、私立の場合は約159万円といわ
れます。
小学校の授業料は公立であれば無料ですが、授業料
以外にかかる費用もあります。文科省の「子供の学
習費調査」(平成6年度より隔年実施)によると、
子供の学校教育や学校外活動のための経費の実態は
、公立の場合は年間約30万円、6年間で約190
万円、私立の場合は、年間160万円、6年間で約
960万円かかるといわれています。
中学校の授業料や教科書代は無料ですが、実際の教
育費は、公立の場合は年間49万円、3年間で約1
50万円、私立の場合は、年間平均約141万円、
3年間で約420万円かかることになります。
これらから、0歳児から中学校卒業までの育児・
教育費は、幼稚園・小学校・中学校が公立の場合は
655万円ほど、私立の場合は1789万円ほどか
かる計算になります。
以上を比較すると、「児童手当」は、実際にかか
る育児・教育費のうち、2人以下の子供の家庭にあ
っては、公立の場合は約3割、私立にあっては約1
割強しか充当していないことになります。そこに第
3子が生まれたといっても加算額は50万円ほどに
しか過ぎません。
別な見方をすれば、所得制限がかからないような家
庭にあっては、子供を私立に入学させることは難し
いとも言えるのかも知れませんが、実際に教育費が
かかるのは、「児童手当」が切れる中学校卒業後な
のです。次回、そのような「現実」まで含んで、国
が実際にどれほどの子育て支援をしているかについ
て諸外国の例と比較してチェックしてみようと思い
ます。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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【著者紹介】
宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学校卒業後、
陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロラド大学航空宇
宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第8高射特科群長、
北部方面総監部幕僚副長、第1高射特科団長、陸上
幕僚監部防衛部長、第6師団長、陸上幕僚副長、東
北方面総監等を経て2009年、陸上自衛隊を退職(陸
将)。日本製鋼所顧問を経て、現在、至誠館大学非
常勤講師、パソナグループ緊急雇用創出総本部顧問、
セーフティネット新規事業開発顧問、ヨコレイ非常
勤監査役、公益社団法人自衛隊家族会理事、退職自
衛官の再就職を応援する会世話人。著書『世界の動
きとつなげて学ぶ日本国防史』(並木書房)
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発行:
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(代表・エンリケ航海王子)
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