配信日時 2022/01/31 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(158)】 事故物件のイメージが悪すぎる──孤独死から孤高死へ

おはようございます、エンリケです。

158回目の美佐日記。

見落とされがちですが、
じつは深刻な問題が取り上げられています。

おっしゃるとおり、根底にあるのは
「死生観」そのものでしょうね。

「生死はひとつ道」
「彼岸と此岸はひとつづき」

が日本人の根底にある死生観だった気がするので
すが、、


ではどうぞ


エンリケ

追伸
文中でも紹介されてますが、
220202に開かれるISIC(国際安全保障産業協
会)のウエビナーで、桜林さんのお話が聞けます。
詳細は今日の記事下でご確認ください。
時間を作って耳を傾けましょう。


桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
という名で出ました!

まだの方はぜひご一読を。
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すでに読んだ方も、文庫でもう一冊!
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ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。


エンリケ

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『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。

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ご意見・ご感想はコチラから
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桜林美佐の「美佐日記」(158)

事故物件のイメージが悪すぎる──孤独死から孤高
死へ

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年1月の今回
は158回目となります。

 感想を頂戴しました。まずは『今回もまっとうな
ご意見、さすがだと思います。「軍」についての無
理解、異文化対応への無関心、何でも政局にしたが
る体質、まともな情報を提供することの難しさです』
と。身に余るお言葉!

そしてもう一つ。『日米地位協定」の不平等を主張
する日本人には、海賊対策でジブチ共和国に設置し
た自衛隊基地運用のために、日本とジブチとの間で
取り交わした「日米地位協定」の内容に似た「日本
ジブチ地位協定」も改定するのかと尋ねれば、まず
反論がでてきません』と。

本当に、世の中の誤解や意図的な誤情報に皆さん思
うところをお持ちなのだなあと改めて思いました。
AさんFさんありがとうございます!

 コロナの広がりもあってか、最近またオンライン
でのミーティングが増えています。オンライン会議
の準備のための事前オンラインミーティングという
のがあったり、はたまた地方に行ってオンライン講
演をする計画もあり、実際に行くんだったっけ?そ
れとも家で喋るんだっけ?と分からなくなったりし
ています。

 そんな中、身内が公団住宅に応募し、格安のいわ
ゆる事故物件に当選。年明け早々に引っ越しをした
のでした。まだ全然片付いておらず、こればっかり
はリモートでできないんだよね、も~っ!とキレる
ことしばしばですが、最近はあれ買ってこれ買って
きてという要望にもAmazonや楽天に頼んでしまうと
いうワザを上手く使っています。

 事故物件というのは、その家で孤独死や自殺など
があったということで名付けられていて、最近ニュ
ースで観たばかりなのでこの言葉を知っていました。

 こうした物件専門の不動産屋もあるようで驚きま
した。そこでは「成仏物件」と呼んでいて「心理的
瑕疵施設などが見える物件」というのも含まれてい
ます。ひえっ、どういう意味!?

 実は私の祖母は生前、不動産屋さんで働いていて、
非常にユニークな?逸話がたくさんありました。

 その頃は事故物件なんて言葉はなかったので、そ
の部屋で亡くなった人がいても普通にそのまま次の
人が借りていたのでした。

 「この部屋すごくいいんだけど、どういうわけか、
毎晩のように夢枕におばちゃんが立つんだよね・・」
などと入居者に言われ焦った祖母は「バレないよう
に留守中に部屋に入ってお祓いしてもらっちゃった
わよ~!」などと言っていましたので、なんとも平
和な時代でした(っていうか、そんなこと勝手にし
ていいのか!?という問題はありますが)。

 この事故物件というのが、コロナの流行によって
増加しているのだといいます。殺人や孤独死が放置
された場合、清掃に多額の費用がかかる上、物件価
値も大きく下がります。そのようなリスクから一人
暮らしの高齢者が賃貸を断られるケースが相次いで
いるのだそうです。

 「高齢者お断り」物件は多いようです。なんとい
う世知辛い・・。NHKの「クローズアップ現代」で
は前述の「成仏不動産」社長がインタビューに答え
て、同サイトで読むことができます。

「事故物件のイメージが悪すぎる。人が亡くなるこ
とって普通のことなので、そんなに悪いイメージを
持つ必要があるのか。正直、メディアを含めて作ら
れたものだと感じる。なので変えていく必要がある」
とコメントしています。

本当に、その通りですよね。この同じサイトでは僧
侶の方もコメントされていて心打たれました。現代
人の「死」に対する想像力の貧困さを指摘していま
す。

昔は「死」は地続きにあった。つまり里があって、
里山があって、山があって、山の辺があって、そし
て山のかなたに亡くなった方がいた。しかし今の私
たちは家で人が亡くなる状態を見ることがない。そ
の「知らない」ということが怖さを生んでいると。

そして、そもそも人がひとりで死ぬことは自然なこ
とであり「孤独死」という言い方がひっかかると言
います。

「人間というのはもともとひとりなもので、ひとり
で生まれてきて、ひとりで死んでいくというのが普
通のことだと思うんです。でも、その方がひとりで
命をしまったからといって、それを孤独死だったと
いうふうに何か決めつけてよくないような言い方、
イメージを持たせるというのはちょっといかがなも
のかなと思います。むしろ、ひとりできちんと命を
しまっていった『孤高死(ここうし)』というふう
に考えてもいいんじゃないかと思います」と。

本当に、本来の私たちの姿であるにもかかわらず、
部屋で死んだら事故物件、なんて確かによく考えた
らおかしいですよね。

今、65歳以上で部屋探しをする4人に1人が入居
を断られているといいます。そう考えると住む場所
を見つけられたのは、幸運としか言いようがありま
せん。正直、私自身もこれまでは事故物件なんて怖
そう、と思っていましたが、今回、勉強し考えを改
めました。

とにかく、高齢者がそこで死んではいけないからと
部屋を追い出されるような世相は、どこかおかしい
ですよね。ある意味、コロナよりも恐ろしいもので
はないでしょうか。

今日も最後までお付き合い頂きありがとうございま
した!皆様にとって素晴らしい1週間となりますよ
うに!

<おしらせ>
※2月2日(水)の夜、ISIC(国際安全保障産
業協会)のウエビナーにてお話させて頂きます。詳
細はこちらです!
https://isic-japan.org/event/strategic-alignment/

●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。
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●YouTubeチャンネルくららで毎週末にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます。
http://okigunnji.com/url/42/



(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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