配信日時 2022/01/27 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (357)】自衛隊とその他のUAV(10)

こんばんは、エンリケです。

きょうの「ライター・渡邉陽子のコラム」は、

「自衛隊とその他のUAV」の10回目。

きょうは地方警察本部と消防のUAVです。

さっそくどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (357)』

 自衛隊とその他のUAV(10)

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こんばんは。渡邉陽子です。
トンガの海底火山の噴火、被害の全容がいまだはっきりしませんが、
著しい被害が出ていることは間違いありません。かつては南太平洋
のあちこちを巡っていたので、トンガこそ訪れたことはありません
が各地名も国の概要も多少知識があるだけに、心配でなりません。
JICAの方も派遣されている国なので、彼らを通じて、また空自の航
空機も到着済みですから、今後は自衛隊を通してより詳細な現地の
状況がわかってくることでしょう。1日も早い復旧、復興を願うば
かりです。

Sさま
まさにおっしゃるとおりです。日本は公的機関が導入するドローン
が中国製という根本的かつ重大な懸念事項があり、しかし予算内で
購入できるスペックを持つドローンとなると国産には選択肢がない
という、官公庁にとっては頭の痛い問題となっています。しかも日
本は中国のドローン開発に大きく水をあけられており、この差を埋
めるには(埋まるかすらあやういですが)人もカネも国家事業レベ
ルで投入しなければならないのが現状です。S様のような危機感を
抱かれることが非常に大切だと感じます。


雑誌記事のお知らせです。

「正論」2月号の「われらの女性自衛官」、今回は陸上自衛隊野戦
特科部隊の3尉です。若い幹部自衛官は今年、東工大へ国内留学し
博士号取得を目指します。カラーグラビアでの連載なので、自衛隊
好きの産経のカメラマンの写真も一緒にお楽しみください。
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「丸」1月号に「北の機動戦闘車(2) MCV初実射訓練密着ルポ」
が掲載されました。2022年3月末に即応機動連隊に新編される予定
の第3普通科連隊のMCV中隊準備隊にやってきたMCVの練成訓練を追
いました。佐々木譲カメラマン撮影の巻頭カラーグラビアページと
合わせてお楽しみください。
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されました。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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■自衛隊とその他のUAV(10)

地方警察本部のドローン導入例のお話の続きからです。

和歌山県警串本署も民間企業とドローンの運用に関する協定を結ん
だところのひとつ。
南海トラフ地震などの災害に備え、災害発生時に同署から要請があ
れば企業は空撮による情報収集に協力するほか、署員に対してドロ
ーンの操縦方法を指導しています。さらに災害が発生した際はネッ
トワークを活用し、被災地の撮影、被災者の捜索などで協力するこ
とになっています。
佐賀県警では、2020年7月に唐津湾で唐津市消防本部のドローン隊
やNPOが合同で災害時の捜索救助訓練を、9月には鳥栖警察署、
鳥栖・三養基地区消防本部、ドローン検定協会株式会社が参加して
ドローンを活用した水害時救助訓練を実施しました。
また、三重県ではドローンによる監視・測量システムを導入。ドロ
ーンで産業廃棄物の不適正現場を上空から監視するとともに、上空
から撮影した写真をもとに3D化した画像から残存する廃棄物量を
把握し、事業者への的確な指導に繋げています。令和元年度におけ
るドローンによる測量実施回数は34回にのぼりました。

続いて消防における無人機導入事情です。
消防分野におけるドローン活用することのメリットのひとつは、火
災現場などでは赤外線カメラを搭載したドローンで隊員が目視でき
ない箇所の確認ができることです。
そこで、現在はドローンで得た情報を基にホースの方向を指示する
といった運用がなされています。

また、作業に危険性がともなう捜索救助や土砂災害現場といった場
面でもドローンが有効です。
西日本各地に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」では、
警察や消防と提携していた民間企業が救助現場へドローンを飛行さ
せ、要救助者に対し救命胴衣を投下するという活躍もありました。
2019年の台風19号の際は、神奈川県内で発生した土砂災害現場で国
土地理院の地図と照らし合わせての状況確認、捜索現場での上空監
視による安全管理などで活用されました。さらに「令和2年7月豪
雨(熊本豪雨)」でも被害状況の迅速な把握に威力を発揮したほか、
濁流にのまれたとみられる行方不明者の捜索にドローンが使われま
した。

総務省消防庁は2019年3月末までに全20政令指定都市にDJI社の
ドローン、MATRISE200シリーズを無償で貸与。順次追加
配備し、2019年度以降は政令指定都市を持たない各都道府県にも最
低一基の配備を進めてきました。
ドローンを保有している消防本部の数は2017年度70(9.6%)、20
18年度116(15.9%)、2019年度201(27.7%)と年々増加し、2020
年の時点で43都道府県の消防本部が保有しています。
しかし、マニュアルの未整備や操縦者の不在などの理由で、実際に
運用している本部は176にとどまっています。多くの消防本部がド
ローンの必要性を実感しつつも消防本部のドローン導入率は3割、
さらに導入しながら運用できていないというのが現実です。

産業用ドローンのMATRISE200シリーズは、消火活動では
目視と赤外線画像で危険な状況を全体的に把握でき、捜索救援活動
では空撮ズームとサーモカメラが搭載によって離れた場所から迅速
に行方不明者を発見、安全な救助経路を計画できます。
消防が採用したMATRICE200シリーズは産業用ドローンプ
ラットフォームともいうべき存在ですが生産はすでに終了しており
、現在はMATRICE300RTKがその後継となっています。
最大55分という長い飛行時間と大きなペイロードを実現し、ハイブ
リッドマルチセンサーカメラZenmuse H20シリーズと組み合わせる
ことで、撮影作業を効率よく行なうことが可能となっています。防
水防塵性能により過酷な環境下でも実力を発揮、最大40m先まで検
知できる障害物センサーで飛行の安定感も増しています。


(つづく)



(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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