配信日時 2022/01/17 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(156)】 米兵のマスクをめぐる行き過ぎた報道

おはようございます、エンリケです。

156回目の美佐日記。

<日米地位協定云々ではなく、今こそさらなる意思
疎通の強化が重要ではないかと感じています。>

まったくそのとおりです。

空滑りの机上論、大上段からの空論に費やす時間が
あったら、目の前の現実を充実発展させる活きた知
恵に時間を使ってほしいものです。

ではどうぞ


エンリケ



桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
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ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。


エンリケ

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『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
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桜林美佐の「美佐日記」(156)

米兵のマスクをめぐる行き過ぎた報道


桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和4年1月の今回
は156回目となります。

 年明けはゴルフについて書きましたが(正確に言
えばゴルフと軍のお話)、意外にも反響がありまし
た。

 まずSさんから情報提供頂いたのは、拙日記配信
と同じ日にダイヤモンドオンラインのメルマガでも
「孫正義氏、柳井正氏、ビル・ゲイツ氏…超一流を
目指すならゴルフのススメ」という記事が紹介され
ていたのだとか。

 なんだか「軍事情報」の読者の方がますますゴル
フ嫌いになりそうなタイトルですね・・。

また他にも、お孫さんも交えて親子3代で、そんな
にお金もかけずに楽しんでいるというお声も頂きま
した。素敵ですね。ありがとうございます。コロナ
をきっかけに皆さんそれぞれ何らかのアウトドア活
動を追求するのもいいかもしれませんね。

 さて、オミクロン株の感染者数が増加し、国内の
規制も厳しくなりつつあります。今回は米軍基地が
「震源」だと言われ、日米地位協定を見直すべきと
いう議論にまで進展しています。

 私の能力不足なのでしょうけれど、英語圏の人と
会話をする場合、マスクをしていると非常に聞き取
りにくい気がします。

 口の開け方や発声の仕方が日本人と異なるからで
はないかと、勝手に分析しているのですが、いずれ
にしても、マスク着用の不便さは日本人より強く感
じているようです。

 米兵がいいかげんで規則を守らないような報道が
多く、また、そういう人もいるのだろうと思います
が、そもそも米軍基地内では人々がワクチン接種を
済ませ、感染者数もほとんどいなくなった段階で、
マスク着用の要求レベルを下げるなどルールは緩和
されていましたので「占領軍さながらに好き勝手に
やっている」というのはちょっと言い過ぎだと私は
思います。感染を市中に広げてしまったら自分たち
が外で遊べなくなってしまうのですから。

 私の知る範囲の在日米軍関係者は、マスクをしっ
かりしています。その人たちはむしろ、マスクが要
求される場所が緩和されたことを憂いていました。
マスクをしたいのに「なぜマスクをしているの?」
と言われてしまうといいます。マスクを規則化して
くれるほうがいいと。
 
日本の空気をよく分かっている米軍関係者なら、日
米の規則の温度差に配慮できますが、そんなことを
全く知らない若い人などにとっては、ルール化され
ていない限り、日本人のような「配慮」とかその場
の空気に合わせた行動を求めるのはムリでしょう。

 とにかく、結果的に米軍基地から感染が拡大し、
日米地位協定の見直しまで叫ばれる事態になってい
る事実は重く受け止めなくてはなりません。

日本が行う水際対策のいわゆる「抜け穴」が米軍基
地だということはかねてより指摘されていたことで
あり、このような状況になる前に注意喚起できなか
ったのかと悔やまれます。

 言ったけど聞き入れられなかった、ということも
あるのかもしれませんが、日米軍のコミュニケーシ
ョンはどうなっているのか、案じてしまいます。外
務省や防衛省の方が頑張っておられるのだと思いま
すが、ユニフォーム同士でのやりとりのほうが話が
通じやすいこともあるのかもしれず、そのあたり、
柔軟な調整を期待したいものです。

 日本で反米、反基地感情が高まることを喜ぶのは
誰なのか。そうした危機感があれば防ぎようがあっ
たのではないかと、思えてなりません。

 日米地位協定云々ではなく、今こそさらなる意思
疎通の強化が重要ではないかと感じています。

 今日も最後までお付き合い頂きありがとうござい
ました!皆様にとって素晴らしい1週間となります
ように!

●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。
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いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます。
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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