配信日時 2022/01/13 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (355)】自衛隊とその他のUAV(8)

こんばんは、エンリケです。

ことしはじめの「ライター・渡邉陽子のコラム」です。

「自衛隊とその他のUAV」の8回目。

UAVをはじめとする「最先端の技術・科学」に、
変わらぬ関心と理解・把握を図ろうとする気持ちの大切さを
毎回感じています。

ことしも本連載をよろしくお願いします!
さっそくどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (355)』

 自衛隊とその他のUAV(8)

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こんばんは。渡邉陽子です。
年始早々顔面打撲の話題でお騒がせしましたが、たくさんの方にご
心配いただきありがたい限りです。まだ触れると痛いので洗顔もそ
ろりそろりですが、見た目はもうまったく元通りになりました。コ
ロナだけでなく、前方にも気をつけなければ…


雑誌記事のお知らせです。

「正論」2月号の「われらの女性自衛官」、今回は陸上自衛隊野戦
特科部隊の3尉です。若い幹部自衛官は今年、東工大へ国内留学し
博士号取得を目指します。カラーグラビアでの連載なので、自衛隊
好きの産経のカメラマンの写真も一緒にお楽しみください。
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「丸」1月号に「北の機動戦闘車(2) MCV初実射訓練密着ルポ」
が掲載されました。2022年3月末に即応機動連隊に新編される予定
の第3普通科連隊のMCV中隊準備隊にやってきたMCVの練成訓練を追
いました。佐々木譲カメラマン撮影の巻頭カラーグラビアページと
合わせてお楽しみください。
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されました。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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■自衛隊とその他のUAV(8)

先週までは自衛隊で推進されている各種無人機の最新事情を紹介し
ました。今回は防衛関係ではありませんが、日本の官公庁における
UAV運用について知っていただきたく、海上保安庁、警察、消防な
どの分野で導入されている無人機についても紹介したいと思います。

海上保安庁
海上保安庁は連続飛行時間が飛躍的に伸びる大型無人機の導入を検
討しています。2020年10月~11月には海上自衛隊八戸航空基地にお
いてジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社
(GA-ASI)の遠隔操縦無人機MQ-9B、「シーガーディアン」の実
証実験を行ないました。
シーガーディアンは中高度における情報収集・警戒監視・偵察(I
SR)の任務に特化した遠隔操縦無人機です。実験は広域海上監視
を行なう海上保安庁の任務遂行に遠隔操縦無人機の導入が有効なの
かを検証するもので、三陸沖洋上エリア、日本海エリア、そして17
00キロ以上離れた硫黄島も含む小笠原洋上エリアで計13回、約150
時間の飛行を実施。広域の洋上での救助や監視、取り締まりなどに
有効かを試しました。

シーガーディアンは地上にいる操縦士が無人機のビデオやレーダー
を使い、衛星経由で操縦します。無人機は飛行中に操縦者を交代で
きるほか、連続飛行時間が1日8時間に定められている有人機では
実現が難しい長距離かつ長時間の監視・観測を可能にします(一度
の飛行で日本の排他的経済水域の外側を一周できる性能を有してい
ます)。
さらに全天候に対応、ほかの有人機や無人機との連携や音声による
不審船への警告もでき、4万時間以上の運用に耐える設計によって
運用コスト削減をもたらし、今後数十年に渡り海洋任務の主力とな
りうることが期待されます。

センサーシステムは避雷および除氷/防氷システム、検知・衝突回
避、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)、高解像度EO/IR自
動離着陸、マルチモード360度海洋表面探査レーダー(MPR)、
フルスペクトル電子支援対策(ESM)、電子情報(ELINT)
ならびに通信情報(COM-INT)装置、船舶自動識別装置(A
IS)など。
これらの機器も地上のコントロール施設からの遠隔操縦により操作
でき、衛星通信によるデータリンクなどを介してタイムリーに取得
した情報を地上に送信し、海難事故の捜索や不審船の監視に際して
迅速に対応することができます。
諸元は次のとおりです。
翼幅:24m
全長:11.7m
離陸重量:5760kg
飛行最高高度:4万フィート (海抜1万2000m)
最大航続時間:30時間以上
最大飛行速度:時速約400km(対気速度)

2021年6月には海上保安庁長官が定例記者会見で洋上監視機能の強
化のため、大型無人航空機の導入に向けた必要経費を来年度予算の
概算要求に計上する意向を明らかにしました。
そして令和4年度概算要求にはUAV 1機の導入経費として34億8000万
円を計上しています。



(つづく)



(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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