配信日時 2021/12/30 05:18

【本の紹介】『米陸軍レンジャー─パナマからアフガン戦争』 L・ネヴィル著 床井雅美監訳 茂木作太郎訳

『米陸軍レンジャー─パナマからアフガン戦争』
L・ネヴィル著
床井雅美監訳
茂木作太郎訳
判型:四六判184ページ(オールカラー)
発行日:2018.5
発行:並木書房
https://amzn.to/3prI5VV

おはようございます、エンリケです。

陸自の「レンジャー過程」を通じ「レンジャー」と
いう言葉に馴染みを持つ人は多いでしょう。

今日ご紹介する本は、本家本元の「レンジャー」を
解説したもので、世界最強の特殊空挺部隊といわれ
る「第75レンジャー連隊」の実像を初めて公開して
います。

米陸軍のなかで唯一、部隊名に「レンジャー」を冠
しているのが第75レンジャー連隊です。

起源は古く、植民地時代の1750年代までさかのぼり
ます。WW2ではレンジャー大隊としてわが軍と戦い、
戦後は解隊と復活を繰り返しながら、軽歩兵部隊と
して数々の武功を立ててきました。

監訳者の床井さんによれば、

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1986年のパナマ進攻「ジャスト・コーズ作戦」から、
ソマリア、アフガニスタン、イラクと続く作戦・行
動を時系列で詳述しながら、レンジャーの任務が主
作戦を有利に運ぶための単なる「尖兵部隊」以上の
要求を課せられていく過程とその背景を解き明かし
ている。2001年の9.11テロ攻撃以降、第75レンジャ
ー連隊は同じ陸軍のデルタ・フォース、海軍のシー
ルズ・チーム、空軍の特殊戦術飛行隊などとともに
統合特殊作戦コマンドを構成し、いまや対テロ戦争
に挑む主力の1つに変貌したのである。(床井雅美)
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ということです。


では、
そんなレンジャーの現代戦史を振り返る本の内容を見
ていきましょう、


◆監訳者のことば

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 本書『米陸軍レンジャー』(US Army Rangers 
1989-2015)は、『M16ライフル』『AK-47ライフ
ル』に続いて、私が監訳を担当させていただいた、
ミリタリー研究の分野では定評のあるオスプレイ社
のシリーズの1つである。
  著者のリー・ネヴィル氏は同シリーズで数多く
の著作があり、兵器についてはもちろん、特殊作戦
部隊の組織や運用、その実像について精通している
軍事ジャーナリストである。
  私は「レンジャー」部隊といえば、挺進行動に
よって敵中深く潜入し、破壊活動や特定目標の襲撃
、あるいは人質救出などの特別任務を、その卓越し
た能力と精神力で遂行する「戦闘の鉄人」といった
イメージを漠然と抱いていた。
  そもそも「レンジャー(ranger)」の語源は
「徘徊者」という意味で、それが転じてアメリカ西
部開拓時代に辺境を踏破、パトロールした「テキサ
ス・レンジャー」のように固有名詞化したものだと
いう。
  さらに第2次世界大戦では、アメリカ陸軍が特
別に訓練された兵士たちで編成された部隊をもって
特殊任務や遊撃作戦を数多く実施し、彼らを「レン
ジャー」と呼び、イギリス軍の「コマンドゥ」と双
璧をなす特殊部隊を表す代名詞として広く知られる
ようになった。
  本書は、冒頭でアメリカ陸軍レンジャー部隊の
起源から第2次世界大戦で果たした任務と戦歴を紹
介している。それによれば、かつてのレンジャーの
役割が、戦争遂行という大きな歴史の中では重要な
がらもそのごく一部であり、きわめて限定的なもの
であったことがわかる。
  ところが1980年代以降、このポジションは大き
く変化していく。本書は、1986年のパナマ進攻
「ジャスト・コーズ作戦」から、ソマリア、アフガ
ニスタン、イラクと続く作戦・行動を時系列で詳述
しながら、レンジャーの任務が主作戦を有利に運ぶ
ための単なる「尖兵部隊」以上の要求を課せられて
いく過程とその背景を解き明かしている。
  2001年の9.11テロ攻撃以降、第75レンジャー連
隊は同じ陸軍のデルタ・フォース、海軍のシール
ズ・チーム、空軍の特殊戦術飛行隊などとともに統
合特殊作戦コマンドを構成し、いまや対テロ戦争に
挑む主力の1つに変貌したのである。  銃器や小
型火器の研究を専門としている私は、軍隊の運用や
戦史に関しては熟知しているとは言いがたいが、本
書にはレンジャーが装備している武器についての記
述も多く、それがまた、描かれている戦闘の実相を
リアルに再現しており、その内容の正確さを期すの
が監訳を引き受けた所以でもある。
  読み進めるうちに、これまで私が実物を手にし
たり、試射したこともある小銃や機関銃も登場し、
レンジャーたちが特殊作戦の実際の戦場で、これら
の武器をどのように使用し、評価しているのか、新
たな知見を教えてくれた。
  読者にとっても、知られざる特殊作戦とレンジ
ャーの実像を明らかにするとともに、現在あるいは
将来、アメリカが軍事力を行使する事態が起こった
ときの近未来戦の様相と、そこでどのような作戦の
展開、戦術の実行が可能なのか、予測するうえで多
くの示唆を与えてくれるに違いない。

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◆目 次

はじめに 1

第1章 レンジャー連隊の訓練と組織 14
レンジャー評価・選考プログラム(RASP)/第75レ
ンジャー連隊の編制

第2章 ジャスト・コーズ作戦(パナマ進攻) 
1989年12月20日~1990年1月31日
第75レンジャー連隊の任務/ロメオ(R)支隊のリ
オ・アト飛行場急襲/タンゴ(T)支隊のトクメン/
トリホス国際空港急襲/ノリエガ拘束

第3章 砂漠の嵐作戦(第1次湾岸戦争) 
1991年1月17日~2月28日
対イラク作戦のレンジャー連隊/イラク軍の通信施
設を破壊

第4章 ゴシック・サーペント作戦(ブラックホー
ク・ダウン)1993年8月22日~10月13日
ソマリアのタスク・フォース・レンジャー/民兵組
織への急襲・拘束作戦/「ブラック・シーの戦い」/
2機目のブラック・ホーク墜落/「ブラック・シ
ーの戦い」がもたらした教訓/新たな任務の始まり

第5章 不朽の自由作戦(アフガニスタン) 
2001年10月7日~
アフガニスタンでの特殊作戦/幻のオマル襲撃作戦/
ビン・ラーディンを取り逃がす/タクルガル山の
激戦/削減されたアフガニスタン駐留兵力/元フッ
トボール選手の非業の死/増大する任務/初めての
名誉勲章/アフガニスタンへの兵力増派/「チーム・
メリル」の作戦/タリバンとの激戦/「エクトー
ション・ワン・セブン」墜落の悲劇/現在も続くア
フガニスタンの戦い

第6章 イラクの自由作戦 
2003年3月20日~2011年12月15日
知られざる「タスク・フォース20」/イラク軍機甲
部隊との戦い/生物・化学兵器研究所への強襲作戦/
「サーペント・ターゲット」への空挺作戦/レンジ
ャー最大の作戦/ハディーサ・ダムの攻略・奪取作
戦/イラク軍による迫撃砲の猛射/レンジャーと戦
闘管制官の連携/自爆テロによる最初の犠牲者/ジ
ェシカ・リンチ上等兵の救出作戦/M1A1戦車とT-55
戦車の戦い/重要人物の捕獲に成功/伝説となった
近距離戦闘/「タスク・フォース・ノース」の被疑
者追跡作戦/アルカイダ指導者ザルカウィの追跡/
拉致されたイギリス人ジャーナリストを救出/イラ
ク新政府の作戦介入/イラク・アルカイダのナンバ
ー2を射殺/レンジャー最後のイラク作戦

第7章 進化する第75レンジャー連隊 
変わるレンジャーの任務/レンジャーにも女性進出/
「我々は特殊作戦部隊である」

第8章 レンジャーの武器
M9ピストルから新型拳銃へ/M4A1とアサルト・ラ
イフルの更新/スナイパー・マークスマン用ライフ
ル/分隊支援機関銃の多様化/グレネード・ランチ
ャーと迫撃砲

[コラム]
レンジャーの信条 
RASPの必須条件 
パナマ、アラビア湾、ソマリア(1989~1993年)で
の軍装
ソマリア(1993年)とアフガニスタン(2001~2002
年)での軍装 
イラクとアフガニスタン(2003~2007年)での軍装
「不朽の自由作戦」(アフガニスタン、2009~2013
年)での軍装
特殊作戦車両(RSOV)
武勇を讃える部隊賞詞 
陸上機動車(GMV)
M1126ストライカー装甲兵員輸送車 
MH-6リトル・バード特殊作戦用ヘリコプター 

参考文献 
監訳者のことば 

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◆著者略歴

リー・ネヴィル(Leigh Neville)
アフガニスタンとイラクで活躍した一般部隊と特殊
部隊ならびにこれら部隊が使用した武器や車両に関
する数多くの書籍を執筆しているオーストラリア人
の軍事ジャーナリスト。オスプレイ社からはすでに
6冊の本が出版されており、さらに数冊が刊行の予
定。戦闘ゲームの開発とテレビ・ドキュメンタリー
の制作において数社のコンサルタントを務めている。
http://www.leighneville.com


◇監訳者略歴

床井雅美(とこい・まさみ)
東京生まれ。デュッセルドルフ(ドイツ)と東京に
事務所を持ち、軍用兵器の取材を長年つづける。と
くに陸戦兵器の研究には定評があり、世界的権威と
して知られる。主な著書に『世界の小火器』(ゴマ
書房)、ピクトリアルIDシリーズ『最新ピストル図
鑑』『ベレッタ・ストーリー』『最新マシンガン図
鑑』(徳間文庫)、『メカブックス・現代ピストル』
『メカブックス・ピストル弾薬事典』『最新軍用銃
事典』(並木書房)など多数。

◇訳者略歴

茂木作太郎(もぎ・さくたろう)
1970年東京都生まれ、千葉県育ち。17歳で渡米し、
サウスカロライナ州立シタデル大学を卒業。海上自
衛隊、スターバックスコーヒー、アップルコンピュ
ータ勤務などを経て翻訳者。訳書に『F-14トップ
ガンデイズ』『スペツナズ』『欧州対テロ部隊』
『SAS英陸軍特殊部隊』『シリア原子炉を破壊せ
よ─イスラエル極秘作戦の内幕』(並木書房)があ
る。


いかがでしょうか?

純粋に装備の詳細を楽しめるのもいいですね!

米軍には数多くの特殊部隊がありますが、
レンジャー連隊はなかでも現在の「テロとの戦い」
における主要な戦力としてに統合特殊作戦コマンド
を構成する「テロとの戦い」に欠かせない部隊とい
えます。

現代最先端の「低強度紛争」に対処している部隊の
戦史から学ぶところは、想像以上に大きいと感じま
す。

今日ご紹介したのは、

『米陸軍レンジャー─パナマからアフガン戦争』
L・ネヴィル著
床井雅美監訳
茂木作太郎訳
判型:四六判184ページ(オールカラー)
発行日:2018.5
発行:並木書房
https://amzn.to/3prI5VV

でした。



エンリケ

追伸

昨日ご紹介した特殊部隊本を読むと、この種の「世
界の特殊部隊紹介本」から得られる密度の濃さは変
わりますね。

わが国防を忘れることなく世界の特殊部隊紹介本を
読む意識は大事ですね。

『米陸軍レンジャー─パナマからアフガン戦争』
L・ネヴィル著
床井雅美監訳
茂木作太郎訳
判型:四六判184ページ(オールカラー)
発行日:2018.5
発行:並木書房
https://amzn.to/3prI5VV