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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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こんにちは。エンリケです。
「防衛省の秘蔵映像」解説 第47回です。
本連載の年内の配信は今号が最後です。
年明け最初の配信は12日の予定です。
火力なき国防はありません。
自ら手離した火力は取り戻せません。
現実や戦場を知らない机上の空論の徒に、
国防安保分野を牛耳らせてはなりませんね。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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防衛省の秘蔵映像(47)
防衛省秘蔵映像から見えること
2009(平成21)年の映像紹介
荒木 肇
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□22大綱からの3年間
2013(平成25)年に前回22大綱よりわず
か3年で新しい大綱が出されました。
2011(平成23)年には3月、東日本大震災
の発生で自衛隊は大規模震災への派遣と原子力災害
派遣も経験します。また5月には米国政府がウサマ・
ビン・ラディン殺害を発表しました。6月からは
ジブチの自衛隊活動拠点運用開始、8月には中国が
ロシアから買い入れた航空母艦「ワリヤーグ」が初
試験航行を始めます。同じ月には中国の漁業監視船
が尖閣諸島のわが領海に侵入しました。9月、ロシ
ア艦艇24隻が宗谷海峡を通過、明らかに揺さぶり
です。11月には中国海軍の6隻からなる艦隊が沖
縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に進出します。
そうして、12月には米軍がイラクから撤退を完了
しました。
2012年にはアメリカが国防戦略指針を公表し
ます(1月)。そうして中国の公船「海監」が3月
にわが国領海に侵入。外務省は「遺憾砲」を撃ちま
くりますが、一向に効果がありませんでした(苦笑)。
4月には中国海軍艦艇が3隻で大隅海峡を通過し、
太平洋に出ます。7月には中・露両国の動きは激し
さを増し、ロシア艦艇26隻が宗谷海峡を通過、中
国漁業監視船4隻が尖閣の領海に侵入しました。
韓国も負けていません。8月には李明博韓国大統
領が不法占拠を続ける島根県竹島に上陸して「守備
隊」を激励します。9月になると、政府がようやく
尖閣3島を購入しました。同じ月には中国海軍空母
「遼寧」が就役します。10月には中国艦艇7隻が
与那国島・仲の神島の間を通過し、12月には北朝
鮮が「人工衛星」と称する弾道ミサイルを撃ち、中
国航空機による初めての領空侵犯が起きました。
2013年になると、1月から大事件が続きます。
アルジェリアで日本人が拘束され、中国海軍艦艇が
わが護衛艦搭載ヘリに火器管制レーダーを照射し、
東シナ海では護衛艦に対して同じくレーダーを照射
します。これは安全装置を外した拳銃を、相手の胸
元に突きつけるのと同じで、射撃するぞという危険
な威嚇行為です。中国艦艇は3隻で宮古島北東を通
過し太平洋上に出ます。2月にはロシア戦闘機の領
空侵犯、北朝鮮の3回目の地下核実験が行なわれま
した。3月には中国艦艇4隻による沖縄本島南西通
過で太平洋進出。
このようにわが国を取りまく安全保障環境が大き
く変わって緊張が増してきたことを表しています。
米国もこうした変化に応じて太平洋戦略の見直しも
始めました。また、東日本大震災での自衛隊の活動
は大きな教訓をもたらしました。将来のさらなる大
規模災害への備えを取ることも課題となってきまし
た。
▼たしかに有事ではない
有事ではないものの、あたかも戦争につながりか
ねない中国艦艇の行動、北朝鮮の核保有などますま
す危険な状況です。官房長官は25大綱が国家安全
保障戦略に基づくものであること、わが国は国際協
調主義に基づく積極的平和主義の考え方の下に、ハ
ード・ソフト両面における即応性、持続性、強靭性
および連続性を重視した「統合機動防衛力」を構築
すると公表します。
ハード、装備です。ソフト、運用です。有事にな
ったら「ただちに」、「短期戦だけではなく」、
「したたかに」そして「単発ではない」、陸海空が
一体となった柔軟性ある防衛力を目指すということ
でしょう。これは22大綱の「動的防衛力」よりも
さらに踏み込み、運用(作戦)に焦点をあてた実効
的な防衛力を目指すことを考えていたのです。
▼強靭な組織と運用を
陸上自衛隊は編成定数が5000名増えました。
東日本大震災では、やはり「頭数」だということが
証明されたのです。最前線でスコップをふるい、瓦
礫の中からご遺体を運び出す、被災者に手厚い対応
をとる。やはり陸上勢力は減らせなかったのです。
常備自衛官が4000人、即応予備自衛官が100
0名増えました。
作戦基本部隊の数は15個(9個師団+6個旅団)
です。うち第7師団(北海道千歳市)だけが機甲
師団といい、機動運用部隊とされていました。残り
の14個の師・旅団は「平素地域配備する師団・旅
団」とされていたところを、5個師団・2個旅団が
「地域配備部隊」とされて、残りの3個師団・4個
旅団は「機動部隊」と整理されることになります。
中央即応集団はなくなりました。空挺団(千葉県
船橋市)とヘリコプター団(千葉県木更津市)が機
動部隊として復活します。さらに水陸機動団(2個
連隊を基幹)が新たに編成されました。陸上総隊と
いう各方面総監部の上級司令部が発足し、南西方面
への備えも怠らないという意思表示です。さらに地
対艦誘導弾部隊も機動運用部隊として1個連隊が増
えました。地対艦ミサイルは洋上遠くの敵艦船を撃
破します。
ただし、戦車は400輌から300輌に、火砲も
また400門から300門へ減らされる一方です。
戦車の代わりに装輪の16式装甲戦闘車も開発され
て、火砲も普通科部隊に120ミリ迫撃砲が配備さ
れるなどの工夫もありますが、重火器や戦車が減っ
てゆく現状を考えると、心配にもなります。
▼南西地区を重視する「統合機動防衛力」
海上自衛隊は護衛艦勢力を48隻から54隻に増
えました。しかもイージス・システム搭載艦は8隻
です。潜水艦は22隻、作戦用航空機も20機増え
て170機になります。空自も28個警戒隊となり
ますが、空中警戒機部隊が増えました。戦闘機部隊
も1個増えて13個隊になり、作戦用航空機が20
機増えて360機になり、うち戦闘機が280機で
す。
昔は北方重視、対ソ連戦を考えて来た陸上自衛隊
は明らかに西方に重点を移しています。それに協力
する海自と空自、統合された組織としてますます姿
を変えてゆくことでしょう。防衛費の奇妙な縛り、
GDPの1%以内というようなものが破られ、予算
も増えていくようです。
▼人は増えにくい自衛隊
しかし、同時に少子化、高齢化が進むわが国、自衛
官、自衛隊員になる人が増えてくるかというと前途
は明るくないと思います。ある方はこう言いました
。「災害派遣に出て活躍する自衛官の素晴らしさに
はいつも涙が出る。でもね、あんな危険なこと、う
ちの息子にはできないし、させたくもない」
たしかに自分の子供を喜んで自衛官にするかという
とそういう人は少ないでしょう。現に我が家でも、
夫婦は本人の意思だからと止めませんでしたが、亡
母たちは戦争で兄弟を亡くしているので怒っていま
した。親だったら止めているでしょう。それもまた
当然です。危険で、汚くて、厳しい、それでいて栄
誉は少ない。給与も飛び抜けて良いわけではありま
せん。
景気の良い時には募集難、不景気では人気が出る。
そういったことを繰り返してきましたが、今後は適
齢人口が減るという小手先の対策ではどうにもなら
ない危機がやってきています。それでも国を守ると
いう崇高な仕事に身を挺してくれる人が必要です。
そのためには後方のわたしたちが出来る限りの応援
をするしかありません。
▼おわりに
もうすぐ令和3(2021)年も終わります。新
しいオミクロン株もわが国に入ってきました。ぜひ
来年こそ、コロナ禍の前と同じには戻らないものの
、少しでも普通の暮らしに戻るようにしたいもので
す。
どうぞ、皆さま、良い年をお迎えください。
1年間、ご愛読ありがとうございました。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
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マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
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