配信日時 2021/12/23 20:00

【ライター・渡邉陽子のコラム (353)】  自衛隊とその他のUAV(6)

こんばんは、エンリケです。

「自衛隊とその他のUAV」の6回目です。

グローバルホークのはなしのつづきです。
F-Xと連携するUAV構想に注目ですね。

本連載はこれが今年最後の配信です。
年明けはじめの配信は6日の予定です。

さっそくどうぞ


エンリケ


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『ライター・渡邉陽子のコラム (353)』

 自衛隊とその他のUAV(6)

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こんばんは。渡邉陽子です。
2021年のメルマガは今回が最後になります。今年も1年ありがとう
ございました。
今年は「今できること、すべきことをおろそかにせず、丁寧に。」
という思いを例年以上に強く抱きながら仕事と向き合った気がしま
す。みなさまにとって2021年はどんな年だったでしょうか。少
し早いですが、よいお年をお迎えください。来年もどうぞよろしく
お願いいたします!


雑誌記事のお知らせです。

「正論」1月号の「われらの女性自衛官」、今回は海上自衛隊P-3C
のフライトエンジニアです。実質的に海自初の女性FEとなったWAVE
はめちゃくちゃかっこよかったです! 固定翼のからむ取材はやっ
ぱりたぎります。カラーグラビアでの連載なので、自衛隊好きの産
経のカメラマンの写真も一緒にお楽しみください。
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「丸」1月号に「北の機動戦闘車(2) MCV初実射訓練密着ルポ」
が掲載されました。2022年3月末に即応機動連隊に新編される予定
の第3普通科連隊のMCV中隊準備隊にやってきたMCVの練成訓練を追
いました。佐々木譲カメラマン撮影の巻頭カラーグラビアページと
合わせてお楽しみください。
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されました。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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■自衛隊とその他のUAV(6)

グローバルホークの話の続きです。
日本は2018年にグローバルホークのブロック30を3機導入(地上管
制装置2基を含む)する契約を締結しました。そのわずか2年後に
「グローバルホークの維持費高騰を理由に、調達中止も視野に再検
討を行なっている」というニュースが流れました。
しかし2021年3月には三沢基地にグローバルホークのための臨時偵
察航空隊が新編されました。

その後のニュースとしては、2021年4月にグローバルホークを開発
したノースロップ・グラマンが、空自向けグローバルホークの初飛
行に成功。
さらに同年6月には日本向けの2機目のグローバルホークの飛行も
成功させました。いずれの機体にも被視認性を下げるロービジ塗装
の日の丸が施されていました。

こうなると、さすがに今から「調達はキャンセル」はないと思われ
、予定通り導入、三沢基地に配備されるのでしょう。
しかし今年7月、米空軍は2022会計年度の予算案で、20機保有する
ブロック30の全機を退役させる方針を示しました。2021年度に同じ
方針を示した際は議会に拒否され見送られましたが、今度こそ現実
となれば、ブロック30は日本と韓国の7機のみとなってしまいます。
防衛省は今後20年間、毎年120億円超の予算をかけて運用する計画
ですが、さらなるコスト増が懸念されます。

そして予算以上の懸念事項といえるのが、米空軍での退役の理由が
「競争の激しい緊迫した状況で運用できる能力がない」と、機体の
旧式化にあることです。空軍幹部は公聴会で「われわれが直面して
いる中国の脅威に対応できる設計になっていない」と証言していま
す。

日本でも、対空兵器、電磁波を使った妨害の能力を高めている中国
に対し、ブロック30は他国から妨害を受けるような状況での運用が
想定されておらず、「台湾海峡の有事でも使えない」と指摘する声
があります。しかも非武装ですから、攻撃されればなすすべもなく
撃墜されてしまうでしょう。

米国が退役させるグローバルホークのブロック30を、来年度以降に
運用を始める日本。その役目をどこまで果たせるのか、単なる「金
喰い虫」になってしまうのか、今後の動向にも注目です。

さて、空自のUAVについて、もうひとつご紹介したいことがあります。
防衛省は2021年8月、F2戦闘機の後継となる次期戦闘機を支援する
無人機を開発する方針を固めました。2022年度予算概算要求に関連
経費を盛り込み、人工知能(AI)による無人機の自律飛行技術の実
現を検討、次期戦闘機と同様に2035年ごろの運用開始を目指します。
支援のための運用方法としては、次期戦闘機と離れた空域を飛行し
ながら敵戦闘機・ミサイルの早期探知、ミサイル発射、電子攻撃な
どを行なうほか、敵ミサイルの「おとり」となることなどが想定さ
れます。撃墜されても人的損傷がないので、危険な空域を飛ばすこ
ともできます。
パイロットと連携してミッションを遂行するUAV、1日も早く実現
されることを願います。



(つづく)



(わたなべ・ようこ)



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□著者略歴

渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
 
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。


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