━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
E-mail
hirafuji@mbr.nifty.com
WEB
http://wos.cool.coocan.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
https://amzn.to/3gGpNcq
※大好評発売中
武器オンチの日本人には
特におススメです。
冒頭文を拝読し、明治維新(いや建国からか)以降一貫して
「わが民主主義」を創造し積み上げてきたわが日本民族の強
さ偉大さを改めて感じ、静かな安堵の笑みに浸されています。
ともに、
理不尽への堪忍袋の緒が切れた時のわが民族の姿も、
思い浮かびます。
私利私欲のために
変な流れに乗っかろう、乗っけようとしている人たちには、
「後悔するよ」「根絶やしになるよ」
と強く警告したいところです。
さて本文の
「死神」。
痛快ですね!
さっそくどうぞ
エンリケ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
台湾防衛の切り札(6)MQ-9リーパー(死神)
加藤喬(元米陸軍大尉)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□パンデミック対処を理由に超法規の寡頭政治が進
む─民主主義対権威主義の戦いで日本が果たすべき
役割─
前回、カリフォルニア州サンタクルーズ市の「自
宅マスク令」を取り上げましたが、その後、類似の
事例が多々あることに気づきました。
イリノイ州シカゴ市では在職22年のベテラン消
防隊長らが接種証明を提出しなかったとして市から
事実上の解雇処分を受けています。隊員らの中には
感染後に回復し自然免疫を獲得した人々もいるので
すが考慮されておらず、医学に照らした処分とは言
えません。
カリフォルニア州ビバリーヒルズの消防隊員らも
同様の処分を受けています。こちらは宗教的理由に
よるワクチン拒否が認められなかった結果です。
アメリカでは極めて重大な個人案件である「信心」
を政府が「不足」と判定したことになります。ネバ
ダ州は未接種の州政府職員とその家族らに月額約6
千円から2万円の保険追徴金を科すことを決定しま
したが、シソラック州知事の判断には高飛車な印象
を受けます。
ニューヨーク州の病院では知事の接種命令に従わ
なかった職員約200人が解雇され、一部の医療業務
が行なえない状況に立ち至っています。
今月に入りニューヨーク市のビル・デブラシオ市
長も民間企業従業員に接種命令を出し、拒否者は解
雇になります。もっとも、バイデン大統領も就任後
間もなく民間企業従業員への接種義務化の大統領令
を出しましたが、複数の連邦裁判所が「一時差し止
め」を命じ、今のところ実施されていません。した
がって、デブラシオ市長の接種令が合法であるかど
うか、そして実施可能かも不明です。
アメリカ以外でもワクチン拒否に対する厳罰化が
進んでいます。11月中旬、オーストリアでは未接種
者に外出規制が科されました。街頭で警官が人々に
接種証明の提出を求め、違反が発覚すると約19万円
の罰金。ドイツとチェコも同様の政策を施行すると
報じられており、警官がワクチンパスポートをチェ
ックする光景はナチス占領下の欧州を彷彿とさせま
す。
11月下旬、オーストラリアの北部準州では感染者
を隔離施設に強制収容する命令が出されました。古
い炭鉱の建物を改装したこの「収容所」から3人の
若者が脱走し、警官が大捕り物を演じたと報じられ
ています。
思いつくまま例を挙げてみましたが、こういった
出来事の底流にある共通項は何か? わたしの見る
ところ「寡頭制(かとうせい)」、つまり少数エリ
ートによる支配です。
大統領はもとより、州知事や市長、地方政府の役
人には、憲法や法規を無視し人権を制限することは
できません。ところが、パンデミック対処を理由に、
事実上、超法規の寡頭体制がなし崩し的に容認され
てしまったのです。
バイデン大統領をはじめ民主党の知事や市長らが
市民を接種者と非接種者に分け、回復の兆しが見え
ない経済と日常性回復遅延の責任を後者に転嫁して
いるのはその典型でしょう。
パンデミックの政局化は禁じ手だと思いますが、
すでに市井でも「自由はタダではない。ワクチン拒
否者に対価を払わせるべきだ」との声が聞かれ始め
ています。民主主義が保障する市民の権利を無視す
る空恐ろしい発言です。
民主国家で顕著化しつつある寡頭制は「自由圏諸
国の中国化」にも喩えられます。しかし人間心理の
根源を見つめれば、国を問わず施政者の心に潜む「
独裁への誘惑」がパンデミックで表出したとも言え
ます。
反対意見は弾圧し、政治的ライバルは粛清すれば事
が済む独裁制に比べ、民主主義は極めて手間暇かか
る厄介な統治方法です。しかし、その効率の悪さこ
そが、独裁に対する予防手段となっています。
ちなみに本校執筆時の12月10日、米国主催のオ
ンライン「民主主義サミット」が開催されています。
「中露などの権威主義を押し返す」と力説したバ
イデン大統領ですが、ご本人が寡頭制に走り、未接
種市民の人権をないがしろにしている光景はまさに
ブラックユーモアです。
対照的なのが日本です。武漢ウイルス禍と対峙する
にあたり、日本政府は人権に対する法的制限を忌諱
(きい)し一切実行しませんでした。にもかかわら
ず、国民と政府は一丸となってオリンピックを敢行。
開催国の責任を果たすと共に世界に希望を与えまし
た。
立ち遅れていたワクチン接種率もここにきて77パー
セントを超え、先進7か国の先頭に立っています。
日本人の「空気を読む」国民性がこういった成功
に大きく寄与しているのでしょう。同時に、施政者
らが寡頭制の誘惑に屈しなかった事実は世界でも稀
有であり、大いに誇ってよいと思います。ここに私
は「民主主義対権威主義の戦い」で日本が果たすべ
き役割を見ます。
習近平国家主席はアメリカの分断を熟知していま
す。当然、バイデン大統領には「戦時挙国一致体制
」を構築する政治力がないことを見抜いており、そ
れが「民意の後ろ盾がないバイデン政権は武力介入
を躊躇(ためら)う」との読みにつながります。
ここでアメリカを政治・軍事両面で支えるのが盟邦
日本であるべきです。パンデミックのさなか国民の
人権を守り抜いた日本が「新疆ウイグル地区で進行
する民族浄化と香港での人権蹂躙に反対する立場」
を冬季五輪ボイコットで内外に示し、岸田総理のモ
ットーである「言うべきことは言う」実例を作るの
です。
中共の「強烈な不満」は織り込み済みで、間髪を入
れず、米軍の台湾防衛作戦参加表明で畳みかけます
。台湾の人々の人権と日米台が共有する民主主義を
守るという「譲れぬ線」を明示し、中共に「日米相
手の台湾侵攻は割に合わない」ことを悟らせる訳で
す。
岸田首相の胆力と指導力次第では、日米豪印「クワ
ッド」の結束をさらに固め、中共の覇権野心を封じ
込めることも可能になりましょう。
閑話休題。権威主義との戦いは砲弾やミサイルが
飛び交う戦場だけが舞台ではありません。非常事態
にまぎれ施政者を懐柔する「独裁制・寡頭制への誘
惑」に負けぬ心を錬磨し、万難を排し民主的手法を
堅持することもまた「銃後の守り」なのです。
▼MQ-9リーパー(死神)
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
私の陸軍礼服の右胸には軍事情報部徽章がありまし
た。記されたモットーは “Always Out Front”
(いつも最前線に)。第一線に出て敵の動きを探る
任務を示しています。言い換えれば、情報部は敵の
奇襲攻撃を察知する尖兵なのです。
今回とりあげたMQ-9リーパー(死神)は主に無人
攻撃機としての戦果が知られています。アフガニス
タンとイラク両戦争では、タリバンやアルカイダの
拠点に対するミサイル攻撃に使われました。また、
2021年1月、バクダッド国際空港に到着したイラン
革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したのも同無
人機だといわれています。
しかしMQ-9は、最大14時間に及ぶ滞空時間と1900
キロ近い航続距離、時速300キロを超える巡航速度、
7500メートルに達する作戦高度、そして搭載された
高精度カメラやレーダーを活かした偵察・索敵任務
にも対応しています。
台湾海峡は幅が130キロですから、有償供与される
4機のMQ-9で24時間絶え間なく監視活動が行なえま
す。それはとりもなおさず、人民解放軍海軍陸戦隊
による奇襲上陸が不可能になることを意味します。
MQ-9が「ハンター・キラー」と呼ばれるのは、索
敵と攻撃任務を同時にこなすことができるからです。
当初索敵を逃れた先遣隊が上陸を試みても、MQ-9に
搭載された対艦用ヘルファイア・ミサイルや精密誘
導爆弾で対処することができるわけです。人民解放
軍将兵にとって、同機のニックネーム「死神」は誠
に的を射たものになるでしょう。
教材ビデオ:
US equipping #Taiwan with deadly weapons to t
ake to China ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NGwVw4I2SSI&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=21
1
(本エピソードは8:14から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Reaper(リーパー)死に神
Hover(ホーバー)空中に浮かぶ
Force multiplier(フォース・マルティプライヤー)
戦力増強兵器
Keep a tab on(キープ・ア・タブ・オン)注視する
シナリオ(カウンターを9:41に合わせてくださ
い)
Reaper hovering over the strait will be an exc
ellent force multiplier for Taiwan since it wi
ll be able to keep a tab on the movement of Ch
inese forces.
(台湾海峡上空を周回飛行するリーパーは優れた戦
力増強兵器になる。中国軍の行動を監視することが
できるからだ)
The platform will essentially eliminate the po
ssibility of China taking Taiwan by surprise.
(このシステムは中国による台湾奇襲の可能性を排
除するだろう)
(今回のエピソードは9:55まで続きます)
英語一言アドバイス:
keep a tab on または keep tabs onは「注視する」
「観察下に置く」という意味の口語表現です。
発音サイト:
keep tabs on の発音 keep a tab on - Google Search
http://okigunnji.com/url/140/
参考サイト:
MQ-9B Reaper MQ-9 リーパー- Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/MQ-9_%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
追記
『ミニミ軽機関銃』
https://amzn.to/3gGpNcq
※大好評発売中
「MP5サブマシンガン」
http://okigunnji.com/url/14/
※大人気継続中
『AK-47ライフル』
http://amzn.to/2FVniAr
※根強い人気
『M16ライフル』発売中♪
http://amzn.to/2yrzEfW
『ガントリビア99』発売中!
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633456/
『アメリカンポリス400の真実!』発売中
https://www.amazon.co.jp/dp/4890633405
『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
---------------------------------------
日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
----------------------------------------
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。
-----------------------------------------
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
■メルマガバックナンバーはこちら
http://okigunnji.com/url/105/
メインサイト:
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら:
https://okigunnji.com/url/7/
メールアドレス:
okirakumagmag■■gmail.com(■■を@に置
き換えてください)
------------------------------------------
配信停止はコチラから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
----------------------------------
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権はメー
ルマガジン「軍事情報」発行人に帰属し
ます。
Copyright (C) 2000-2021 GUNJIJOHO All rights reserved.