こんにちは、エンリケです。
宇宙空間、サイバー空間での戦いが熾烈を極め、領
域横断的作戦用兵も指向される今後の軍事の世界に
不可欠といえるドローン、人工知能、ロボット、
3Dプリンターなど軍事転用可能な革新的な民生技
術に注目が集まっています。
こうした技術革新は戦争や平和のあり方にどのよう
な影響を与えるのでしょうか?
国際政治、軍事・安全保障分野の気鋭の研究者18人
が、テクノロジーの視点でこれからの時代を展望し
ているのがこの本です。
軍事技術は時代の最先端技術を真っ先に取り入れて
実用化したものといわれますが、昨今の技術の進化
はすさまじく、これから先の軍事世界で実用化され
るであろう最先端技術は、昔と比べて山ほどあるよ
うです。
この本は、一般人でも理解できることばと長さで軍
事技術の動向を分野ごとに記した小論集。
著者は全部で18名。
16本の小論、まえがき、あとがきという名の道下
さんの小論、そして関東防衛局長へのインタビュー
記事からなる、読みやすい軍事技術論集といえます。
何が変わって何が変わらないのか?
を考える上で大切な視座へのヒントも多々ありますね。
軍用犬の復活も、実に興味深い視点です。
一見軍事とは無関係な印象を与える技術が軍事の進
歩につながっていることもわかります。けっきょく、
時代の最先端技術に、包括的に最も敏感な分野が軍
事分野なんだなあとあらためて感じます。
だからこそ、
技術や理論の実用化を考えるエンジニアの方は、
軍事分野の技術動向のフォローが必須なのでしょう。
内容は次の通りです。
■目次
はじめに(道下徳成)
第1部 技術が変える戦略領域
技術が変える宇宙の軍事利用(村野将)
変わりゆくサイバー空間での戦争(川口貴久)
脳・神経科学が切り開く新たな戦略領域(土屋貴裕)
第2部 技術が変える軍事環境
技術革新と軍の文化の変容(安富淳)
技術革新とハイブリッド戦争
ロシアを中心として (小泉悠)
技術が変える南アジアの安全保障(長尾賢)
韓国の戦力増強政策の展開と軍事産業の発展
新技術獲得を目指す執念とその弊害(伊藤弘太郎)
■特別インタビュー
日本の防衛装備品の課題と今後の展望(堀地徹)
第3部 技術が変える戦争形態
ドローン技術の発展・普及と米国の対外武力行使
その反作用と対応(齊藤孝祐)
3Dプリンタが変える戦争(部谷直亮)
AIとロボティクスが変える戦争(佐藤丙午)
第4部 技術が変える国際紛争
技術革新と核抑止の安定性に係る一考察
極超音速兵器を事例として(栗田真弘)
トランスナショナル化するテロリズム
現代技術はテロの脅威をどう変えたのか?
(和田大樹)
技術進歩と軍用犬
対テロ戦争で進むローテクの見直し(本多倫彬)
第5部 技術革新は何を変えたか
技術が変えた戦争環境(中島浩貴)
技術が変えない軍の特質
海兵隊を事例に (阿部亮子)
軍における技術進歩の知的背景
米陸軍のドクトリンと「作戦術」中心の知的
組織への挑戦(北川敬三)
いかがでしょうか?
今年の年末、時間を作ってぜひご一読してはいかが
でしょうか?
来年のあなたの新たな知的生活を支える知的インフ
ラになるかもしれませんよ!
今回ご紹介したのは、
「「技術」が変える戦争と平和」
著者 道下 徳成 編著
出版社 :芙蓉書房出版 (2018/10/5)
発行:2018/10/05
判型・ページ数 A5判240ページ
https://amzn.to/3GqRi6I
でした。
エンリケ
追伸
軍事技術の論文は、とっつきにくいものですが、
そういう先入観を抜いて読んでみると、
意外に身近なところとつながっていることがわかっ
て距離が近くなるきっかけになるケースが多いです。
専門家による軍事技術のはなしにはそういうところ
がありますよ。面白いですね!
「「技術」が変える戦争と平和」
道下徳成 (編著)
出版社 :芙蓉書房出版
発行:2018/10/05
判型・ページ数 A5判240ページ
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