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荒木さんの最新刊
知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。
そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!
自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。
『自衛隊警務隊逮捕術』
荒木肇(著)
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こんにちは。エンリケです。
「防衛省の秘蔵映像」解説 第44回です。
国防にあたる最前線の疲弊。
国家国民すべてが思いを至らせる必要のある
現実ですね。
さっそくどうぞ。
エンリケ
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防衛省の秘蔵映像(44)
ヒトロク(16)大綱の時代
2007(平成19)年の映像紹介
荒木 肇
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2007(平成19)年の映像紹介
平成19年防衛省記録 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ddpKl2fiZEo
□はじめに
読者の皆さんは、防衛力が大きな方針のもとに計
画され、見直しをかけられつつ中期防衛力整備計画
にのっとって発展をしてきたことをご存じでしょう。
そうしたことは、陸自に関しては、これまでのわ
たしの活動と自衛官とのお付き合いで学んで来るこ
とができました。
今回は16(ひとろく)大綱と通称された指針を
あらためてご紹介しようと思います。もちろん、当
時の防衛白書などを読めば理解もできますが、なに
ぶん大部です。そこで駆け足ながら、現役のK1佐
がまとめられた論文を下敷きに、かいつまんでご紹
介します。
まず平成16(2004)年とはどんな年でした
でしょうか。冷戦が終わって15年が経ちました。
この前の07大綱(平成7=1995)年から9年
です。07大綱は51大綱(昭和51=1976)
から約20年が経っていました。
▼情勢の変化
16大綱が出るまでの情勢変化をふり返ってみま
しょう。1996(平成8)年には、UNDOFと略称
された中東ゴラン高原の兵力引き離し監視団への部
隊派遣が始まります。そして、現在(2021年)
の事態にもつながる中国による台湾近海でのミサイ
ル発射訓練、中国海空軍の実弾演習と陸海空統合演
習がありました。そして7月には45回目の地下核
実験も中国は行なっています。
1997(平成9)年1月にはロシア船のナホト
カ号海難と重油流失災害が出ました。7月になって
香港が英国から中国に返還されます。翌年は8月に
北朝鮮がわが国上空を越えるミサイルの発射実験を
行ないました。翌99年には能登半島沖の不審船事
案が起き、海上警備行動が発令されます。そうして
平成13(2001)年には米国の大都市に対して
テロ活動が行なわれ、同時多発テロと衝撃が世界中
を襲いました。
もう「抑止」ではない。「対処」だという認識が
わが国世論にも生まれてきました。イラク特別措置
法も成立し、平成14(2002)年にはイラク復
興派遣群も派遣され、「テロとの戦い」への貢献か
ら、世界の平和の維持こそわが国の平和につながる
という認識も広がってきました。同時に国内では、
16(2004)年には「鳥インフルエンザ」につ
いての災害派遣も行なわれます。以後、現在でもこ
うした事案には、地方自治体もためらいなく自衛隊
に派遣を要請するようになりました。
このことは本来の災害派遣にあたるのか、いつも
議論されます。自衛隊の災害派遣はとくに考えなく
てはならないのは、「非代替性」だとわたしは考え
ています。そうした罹病した動物を殺し、処理し、
後始末をしたりするのは、ほんとうに「国防の組織」
である自衛隊にしかできないのかということです。
自治体の皆さんは、安易に「じゃあ、自衛隊にや
ってもらおう。世論はこっちに味方する」という考
えに乗っているのではないでしょうか。
いや、そんなことはない・・・という方もおられ
るでしょう。そうでしょうね。仕組みもない、予算
もない、人手もないというのが地方自治体の実態の
1つでしょう。ただ、こうしたことが国防の任務、
そのための訓練や、学習や、休養の時間や機会を、
自衛隊・自衛官から奪っていいのでしょうか。
そのことは以前、某月刊誌に寄稿したこともあり
ますが、ほとんど反応はありませんでした。「他に
ないから仕方ないだろう」というのが、他の手段や
仕組みを考えようともしない人たちの返事です。情
けない自治体の首長、議員、公務員たちなのです。
もちろん、そうした首長や議員を選挙で選ぶ住民の
レベルの問題なのですが。
▼16大綱の基本方針
2つの目標と3つのアプローチといわれました。
目標の第1は、わが国に直接の脅威が及ぶことを防
ぎ、もし脅威が及んだら排除するとともに、その被
害を最小限にすることでした。第2には国際的な安
全保障環境を改善し、わが国に脅威が及ばないよう
にすることとしました。
3つのアプローチとは、「わが国自身の努力」、
「同盟国との協力」、そして「国際社会との協力」
を指していました。これらを統合的に組み合わせる
ということになったのです。
抑止効果重視から対処能力重視への転換もありま
した。異常な事態、有事につながる事件は予測困難
です。しかも突発的に発生します。これまでの抑止
効果は期待できないという認識が生まれました。そ
して国際平和協力活動に主体的に積極的に関わろう
ということから、わが国の防衛のためには過去の「
基盤的防衛力構想」だけでは十分ではないと防衛当
局者は考えます。
つまり防衛力の果たす役割が多様化する一方で、
「少子化」による若者人口の減少、厳しさを増すば
かりの財政事情などがあります。そこにも考えを及
ぼさねばならないと考えました。
▼本格的な侵略事態はない・・・だろう。
多機能で、弾力的な実効力のある防衛力。即応性、
機動性、柔軟性及び多目的性のある防衛力。これ
が戦車を900輌から600輌に減らし、主力火砲
を900門から600門に減らした大綱の実態でし
た。
陸上自衛隊は伝統的に、「連隊戦闘団」という単
位を主として戦う訓練をしてきました。わかりやす
くいえば、普通科(歩兵)連隊の4個には、それぞ
れの連隊に特科(砲兵)大隊、戦車中隊、施設中隊
が配属され、普通科連隊長の指揮のもとに戦うのが
長い間の伝統だったのです。
だから4個普通科連隊をもつ師団の特科連隊は5
個大隊でした。4個大隊はそれぞれ固有の派遣先の
普通科連隊に配属され、連隊長は師団長の命令で全
般支援(つまり、重点への投入)を行なうようにな
っていたのです。これが、そうした事態は起きない
だろうということから、次々と連隊は「隊」になっ
て規模が小さくなり、普通科連隊も小型化し、あま
った火砲は溶鉱炉行きとなりました。
陸上自衛官の定員も編成定数が5000名削減さ
れます。常備も即応予備自衛官も減りました。16
大綱では編成定数は15万5000名、うち常備自
衛官は14万8000名、即応予備自衛官は700
0名と8000名の減員となりました。
海上自衛隊は、地方隊の護衛艦部隊が2個減り、
潜水艦部隊も同じく2個減って4個隊になります。
哨戒機部隊も13個隊から9個隊に減りました。航
空自衛隊も作戦用航空機が50機も減り、戦闘機は
そのうちの40機を占めました。
▼2007(平成19)年の映像紹介
防衛庁が「省」になりました。中央即応集団が発
足し、第1空挺団や第1ヘリコプター団、中央即応
連隊などで構成されるようになります。米軍の再編
についての映像では、アメリカ海兵隊所属の水陸両
用戦闘車AAV-7が登場します。
防衛大臣は元気いっぱいの石破茂氏が登場します。
インド洋上での多国籍軍艦への給油活動の終了を
宣言しています。高村大臣、そして女性初の防衛大
臣、現東京都知事の小池百合子氏も若々しい姿を見
せてくれます。女性政治家といえば、参議院議長の
扇千景さんも登場されていました。
海自の話題は、全通甲板(艦首から艦尾まで)の
平甲板をもった護衛艦「ひゅうが」の進水です。2
009(平成21)年3月に就役しますが、初の1
万3500トン型と紹介されています。また、護衛
艦「こんごう(DDG173)」がSM3への装備
更新を行ない、弾道ミサイルへの対応が可能とされ
ています。
海自・空自も同じく国産の哨戒機と輸送機がデビ
ューします。もっともどちらも就役ではなく、工場
からロールアウトして公式の初飛行を行なう映像で
す。現用のP1とC2の誕生前の姿でした。
能登半島沖地震、そして新潟中越地震への災害派
遣活動も見られます。
(つづく)
(あらき・はじめ)
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●著者略歴
荒木 肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
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最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
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心から感謝しています。ありがとうございました。
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