配信日時 2021/11/17 09:00

【防衛省の秘蔵映像(41)】イラク復興支援・中期防衛力整備計画  2004(平成16)年の映像紹介 荒木肇

--------------------------
荒木さんの最新刊

知られざる重要組織「自衛隊警務隊」にスポットを
当て、警務隊とは何か?の問いに応えるとともに、
警務隊で修練されている「逮捕術」を初めて明らか
にしたこの本は、小平学校の全面協力を受けて作ら
れました。

そのため、最高水準の逮捕術の技の連続写真が実に
多く載っています。それだけでなく、技のすべてを
QRコードを通して実際の動画をスマホで確認できる
のです!

自衛隊関係者、自衛隊ファン、憲兵ファンはもちろん、
武術家、武道家、武術ファンにも目を通してほしい
本です。

『自衛隊警務隊逮捕術』
 荒木肇(著)
 https://amzn.to/34szs2W
-----------------------------------------

こんにちは。エンリケです。

「防衛省の秘蔵映像」解説 第41回です。

憲法9条2項の大罪、罪の深さは人類史上最高レベルの
極悪さと言って過言ではない、と私は捉えています。

さっそくどうぞ。


エンリケ


メルマガバックナンバー
https://heitansen.okigunnji.com/

ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
https://okigunnji.com/url/7/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

防衛省の秘蔵映像(41)

イラク復興支援・中期防衛力整備計画
 2004(平成16)年の映像紹介


荒木 肇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 2004(平成16)年の映像紹介
平成16年防衛庁記録 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Uqj3QfrbBvo

□「まあいいじゃないか」の伝統

 さて、いまどきの話題は「憲法改正」や「防衛費
の倍増」かと思っていましたが、公明党の意見はす
ごいですね。聞いていると、「GDPのまあ1%が
目安でしょう」と責任者がおっしゃっています。い
やはや、自民党と連立政権をになう方々です。これ
では、うまく防衛費の増額すら運ばないでしょう。

 先日は、元統幕長の河野元海将の痛快な指摘があ
りました。「改憲論議の敵」はむしろ保守層の中に
ある「まあ、いいじゃないか」という気分だそうで
す。「自衛隊も認められてきているからいいじゃな
いか」などというとぼけた意見です。そうした気分
が、いまひとつ改憲論議、とりわけ第9条への意識
が問題だなと思っています。

 いつの頃からか、たぶん昭和20年代の自衛隊発
足から、今に至るまで「専守防衛」ということがい
われます。具体的には「撃たれてから反撃せよ」と
いうことです。決して先に手を出してはいけない。

BMDの運用議論でも、相手のミサイル基地で発射
準備の動きが始まったときか、ミサイルへの燃料注
入が始まったときか、注入が完了したときか、発射
されたときか、ミサイルが上昇中で、合理的な判断
でわが国を狙っているのか、あるいは同盟国を狙っ
ているのか・・・細かい議論が延々と続きます。

そうした背景には徹底した議論を嫌い、いつも相手
の気持ちに忖度するといった、ある意味「日本人の
美風」もあるのでしょう。それを少しずつ、少しず
つ崩してきたのが自衛隊の努力であり、政権与党の
方々の現実認識への対応だったと思います。


▼わざわざ戦力を落とす

だいぶ昔のこと、F4ファントム戦闘機の導入が始
まったとき、航続距離が問題になりました。米軍の
仕様には当然、空中給油システムがついています。
行動する半径を大きくするため、あるいは乗員・機
体の安全のためには燃料を増やすことが必要です。
しかも、飛行中に給油できることは素晴らしい解決
策でしょう。

ところが、これに当時の大野党、社会党が噛みつい
たのです。「周辺諸国に脅威を与える」という論理
でした。「相手は(具体的にはロシア=当時のソ連)
どう思うか。脅威と受け止め、戦争になるのでは
ないか」と言うのです。結局、国会で大騒ぎになっ
た末に、空中給油装置を取り外すという愚挙で決着
しました。

このときの社会党の支持者たち、組合員、マスコミ
の「勝った、勝った」という表現にはほんとうに驚
きました。もちろん、共産党の機関紙「赤旗」は「
軍国主義復活への道の一部を断った」と大喜びでし
た。

「まあいいじゃないか。基地に戻れば給油もできる
だろうし。ファントムがないよりましだろう」とい
う気分があったに違いありません。

▼潜水艦のこと

原子力というとそれだけで目くじらを立てる方がい
ます。「世界で唯一の被爆国」ということ、悲惨な
広島・長崎を思えば・・・ということで理解はでき
ますが、原子爆弾とその運用が問題なので、動力や
発電力に使うこととはあまりつながらないと思いま
す。核兵器の現状に限れば、周辺諸国はほとんどが
装備しているのが現状です。ミサイルだけではなく
砲弾にも核が使われています。


とりわけわが国のような海上輸送力に支えられてい
る国にとっては、輸送路の安全確保が必須のもので
す。その輸送路を守るために、わが海自は通常動力
の潜水艦隊をもっています。地味で、存在を大きく
アッピールすることもなく、海自の潜水艦の乗員は
「深く、静かに」潜航し、わが国を脅かす原子力潜
水艦の群れに備えているのです。

通常動力型潜水艦とは、浮上中にはジーゼル・エン
ジンなどで航行し、潜航する時には蓄電池を使って
動きます。おかげで水中での速度は原子力潜水艦に
対して、ひどく劣ります。燃料補給もしなくてはな
らず、航続距離も小さくなるのです。

そうした自衛官たちへの不当な待遇も、「まあ、い
いじゃないか」という気分で抑えてきたことが、い
まだに解決されていません。

▼自衛隊をどうみるか?

 14日(日)、産経新聞に山上論説委員による世
間の意見の紹介がされました。近頃刊行された、ミ
リタリー・カルチャー研究会によるアンケートと分
析の結果です。興味深い数字が出ました。今年の1
月から2月にかけて、日本に住む15歳以上の人を
対象に無作為抽出した郵送調査の結果です。

 「自衛隊に関心がありますか?」に対して、非常
にある、ある程度関心があるという人の合計はおお
よそ6割強でした。あまりと全くの関心がない人は
3割強存在します。では、関心をもつきっかけにな
ったのは?と2つまで選べる11の設問で最多が
「災害救援活動」で次が「日本の安全保障や防衛政
策」でした。

 「自衛隊の存在そのものを肯定か否定か?」とい
う問いには、「どちらかといえば肯定」も含めて8
割を超えた回答がありました。すごいなと思ったの
は、「肯定」が5割を超えました。「どちらともい
えない」が17%ほど。否定はたった1.7%でし
かないのです。

 つまり国民の半数は自衛隊を支持し、「どちらと
もいえない」という含みがある答えが2割というこ
とです。

▼正確な判断情報はどこから

 さて、防衛力の整備がどうされているか。これを
「防衛計画の大綱」のもとだと知らない人が77%
にものぼっています。このことは、わたしにとって
は、大変興味のある数字です。この記事を読んでく
ださっている方々は、おそらく常識としてご存じで
しょう。問題は、いつも総務省の調査の設問、「装
備や組織の現状についてどう思うか?」に対して、
もっとも多いのが「いまのままでいい」という答え
です。

 これはおそらく自衛隊に関心がないというより、
そうした国家の財政支出の仕組みが理解できていな
いか、防衛政策などの高度な問題を考えられない人
がいるとわたしは理解しています。おそらく国家安
全保障会議についても、その機能と構成、役職者な
どについてもまったく知られていないのでしょう。

▼憲法9条について

 変更しない・・・という人が22%弱。つまり5
人に1人は9条改正反対。ただし「2項をそのまま
に、自衛隊の保持その他を加える」も20%弱。さ
あ、次もわたしにとっては問題です。「専守防衛に
徹する自衛隊を憲法9条に明記する」、これも20
%強。

 ところが、もっとも大きな改正を願っている人々
かと思わされる「集団的自衛権を憲法9条に明記す
る」が10%強もあり、「削除する」という強硬意
見も3%です。もちろん、「分からない」が最多の
24%弱でした。この「分からない」も魔法の言葉
です。

 いずれであれ、「憲法9条をそのまま守ろう」と
いう人は改正に賛成する人に比べれば、ずいぶん少
ないと思えます。

▼戦争になったら

 この設問が興味深いです。「もし、日本が武力紛
争にまきこまれた場合、あなたはどう行動すると思
うか?」という書きぶりです。この「まきこまれる」
というのが、いかにもな発問に思われます。まあ、
わが国が積極的に他国へ武力紛争をしかけることは、
その意思も、能力もない(はず)です。

そうなると、具体的にはわが船舶や航空機がどこか
の国の武力発動の対象になる(これは攻撃されると
いうことで「まきこまれる」とは違うと思いますが)
ことをいうのか。また、どこかの軍隊が、わが国
固有の領土や領海に攻撃をしかけてくるかという事
態でしょうか。

答えは、最多が「その時になってみないとまったく
分からない」が30%強。「もっぱら自分自身や家
族の安全を考えて行動する」が26%弱。「政府の
指示通り行動する」という秩序重視派が14%弱。
中には勇ましい「自衛隊に志願はしないが、自衛隊
の作戦を積極的に支援する」という方が10%強も
おられます。

わたしは、このアンケートの結果を、とても健全だ
なと思いました。山上直子論説委員は、「自分だけ
がよければいいのかという疑問も生じた」といわれ、
「公という意識の希薄さも感じる」といわれています。

でも、戦前、戦後を通じて、我が国民はあまり変わ
らないのではありませんか。「その時になってみな
いと・・・」というのは大変正直だと思います。だ
って、戦争とはどんなもので、どのようにふだんの
暮らしに変化が起こるのか、考えても分からないの
が実態でしょう。

「政府の指示通り行動する」を選んだ方は、現在の
統治機構や政治の仕組みに信頼感をもっているとい
うことです。さらに「自衛隊に協力する」という方
が1割も国民の中にいるという。これは山上論説委
員には申し訳ないけど、「公」という意識が高い人
が、「政府の指示に従う」人と合わせると国民の4
人に1人もいるのです。

▼アンケート処理の難しさ

 せんだっての総選挙で、主に出口調査を重視した
結果と思われますが、マスコミの多くは予想を外し
ました。立民と共産党が躍進、自民が惨敗・・・の
はずでした。少なくとも出口調査の結果です。

 だって・・・とわたしは思います。出口調査に協
力する人はマスコミに対して、何らかの強い思いが
ある人です。わたしも期日前投票に出かけたときに、
新聞の腕章を巻いた人から協力を頼まれました。
わたしは家族にさえ、自分の投票先を明らかにした
こともありません。だからお断りしました。

 ところが、声をかけられると、いそいそと答える
人、むしろ堂々と投票先を支持した理由を答える人
が多いのです。それは、その方の自由なのですが、
そうした人ばかりが「国民の代表」ではありません。
やはり、投票行動や意見の表明に「思い」がある
方が調査に協力されるのでしょう。

 このミリタリー・カルチャー研究会のアンケート
も同じです。郵送調査ですから、回収率も分かりま
せんが(刊行された本にはあるでしょう)、少なく
とも設問を読み、考え、記入し、封をして投函する
といった方は、やはりある「思い」を持つ方だと思
えます。

 研究会は「京都大などの研究者」だそうですから、
そのことに「思い」をかけて答える方々もいたか
も知れません。無作為抽出としても、答えにはある
バイアスが必ずあるものです。もちろん、そんなこ
とは分かっていて処理もされるのでしょうが、アン
ケートは難しいとだけしか言えません。

▼16年度の映像

 内容は従来の踏襲です。装備品の解説、紹介もな
く、ただひたすら政府見解にのっとった自衛隊の紹
介でした。防衛庁・自衛隊50周年にあたる年です。

 イラク復興支援の紹介があります。「ヒゲの隊長」
と、当時は人気を博した佐藤正久参議院議員が指
揮官として若々しい姿を見せてくれています。東テ
ィモールへの施設群派遣も活動を終わりました。

 今回は映像の紹介にも目新しいものもなく、河野
元統幕議長のご発言と「日本社会は自衛隊をどうみ
ているか」に関しての記事紹介になってしまいまし
た。



(つづく)


(あらき・はじめ)


☆バックナンバー
 ⇒ https://heitansen.okigunnji.com/
 
荒木さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。

https://okigunnji.com/url/7/
 
 
●著者略歴
 
荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
 
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
 

『自衛隊の災害派遣、知られざる実態に迫る-訓練
された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
「中央公論」2020年3月号
 https://amzn.to/31jKcxe


 
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。


最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国に、
心から感謝しています。ありがとうございました。

----------------------------------------------
-
メールマガジン「軍事情報」
発行:おきらく軍事研究会
      (代表・エンリケ航海王子)

■メルマガバックナンバーはこちら
http://okigunnji.com/url/105/

メインサイト:https://okigunnji.com/

問い合わせはこちら:https://okigunnji.com/url/7/

メールアドレス:okirakumagmag■■gmail.com
(■■を@に置き換えてください)
----------------------------------------------
 
 
 ●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
 
 
--------------------
ビタミン、ミネラル、サプリメントなら
↓  ↓  ↓  ↓  ↓、
http://okigunnji.com/url/108/
※↑は5パーセント割引専用URL。利用者多数

---------------------------

投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。
その他すべての文章・記事の著作権は
メールマガジン「軍事情報」発行人に帰
属します。

Copyright(c) 2000-2021 Gunjijouhou.All rights reserved