こんばんは、エンリケです。
「陸上自衛隊 中央輸送隊」の3回目です。
近代五種のショッキングなニュースには驚かされました、、、
さっそくどうぞ
エンリケ
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『ライター・渡邉陽子のコラム (347)』
陸上自衛隊 中央輸送隊(3)
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こんばんは。渡邉陽子です。
2028年ロサンゼルス五輪から近代五種競技の馬術が除外されること
が決まりました。今年開催された東京五輪で女子のドイツ代表選手
が馬をうまく操れずにムチでたたいたり、同代表コーチが馬を殴っ
たりして競技への批判を受けたことによるものです。近代五種は
「近代五輪の父」クーベルタン男爵が考案した伝統のある競技で、
馬術、フェンシング、水泳、レーザーランのすべてに意味がありま
す。それは「フランス軍将校が戦果を報告するため馬で敵陣に乗り
込み、銃と剣で敵を倒し、泳ぎ、走って任務を遂行した」を競技に
したからです。そのうちの馬術がなくなるということは競技関係者
とアスリートにとっては近代五種史上最大の衝撃といっていいでし
ょう。しかし、競技の中に馬を扱う種目があることで費用がかさみ、
東南アジアや南米ではこれまで大会を開催することができていませ
んでした。ですから前向きに考えれば、近代五種競技の門戸が開か
れたといえます。自衛隊体育学校にも近代五種競技のための馬がい
ます。馬術をなくした「四種」とするのか、馬術に変わる新たな競
技を加えるのか注目です。
雑誌記事のお知らせです。
「丸」12月号に「北の機動戦闘車1 第3普通科連隊MCV入魂式ル
ポ」と「世界の軍備」コーナーで「東京オリンピック2020&1964支
援」が掲載されました。
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「正論」12月号「われらの女性自衛官」、今回は陸上自衛隊の1佐
です。見出しが「陸上自衛官史上初、高卒2士から1佐へ」。私か
ら「ぜひ彼女を」とお願いし、登場していただきました。
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されました。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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■陸上自衛隊 中央輸送隊(3)
先週は中央輸送隊が米国で訓練を終えた装備品の積み下ろし作業を
仙台港で行なう、その始まりの部分までご紹介しました。今回はそ
の続きからです。
税関での仕事に続いて行なわれる荷役調整会議には中央輸送隊と契
約を交わしている複数の運送業者などが参加、翌日の荷役作業につ
いての調整を進めていきます。
貨物船に載っている大量の装備品を積み下ろすのは中央輸送隊の仕
事ではなく運送業者の担当で(民間の人が自衛隊の車両を操縦する
というきわめてレアなシーンが見られます)、中央輸送隊はその装
備品を各部隊へ引き渡すまでの一連の流れを統括する役割を担いま
す。
翌朝、岸壁に大きな貨物船が接岸。
RO-RO船(ローロー船)と呼ばれるこの船は船尾にランプウェーを
備えており、クレーンなどを使わずに積み込みが可能というすぐれ
もの。
ランプウェーを下げればそこが船と岸壁をつなぐ道路となり、自走
できる貨物は自走し、できない貨物の荷役にはタグ・マスターと呼
ばれる牽引車を使います。
作業が始まると、まず作業員たちが一斉に貨物船に乗り込みアンラ
ッシング(荷役を固定していたワイヤやフックの解除)を、続いて
積み下ろしを実施(ここがレアなシーンですね)。中央輸送隊の隊
員たちは作業が滞りなく進められるか、それぞれ担当する場所で確
認を行なっています。
午前中のうちにコンテナ以外の積み荷はすべて降ろされ、埠頭の定
められた場所に整然と並べられました。
積み下ろし作業と並行して、部隊に同行していた宰領者たちは税関
の荷物チェックを受けています。
彼らは3か月間日本を不在にしていたわけですが、ただ荷役に付き
添って往復していたわけではありません。往路の航海中は現地到着
時に装備品が問題なく使用できるよう随時チェックし、復路では牽
引車と120mm迫撃砲を切り離す作業なども部隊に代わって担当
しています。現地でも追送品の手配や現地輸送業者との調整、撤収
時のサポートなど、やるべき仕事が山ほどあります。
午後には税関のほか農水省の検疫所による食防が行なわれ、戦車の
履帯に泥がついていないかなど、かなり細かいチェックを受けまし
た。
ここで許可が出ないと、せっかく日本まで戻ってきた装備品もこの
保全地域から出ることが許されません。とはいえ、どの車両のタイ
ヤの溝1本取っても汚れひとつ見当たらず、無事に上陸の許可が出
ました。
FH-70りゅう弾砲を積んでいるマーフィートレーラーは、夕方
には出港してしまう貨物船に返却しなければなりません。そこでF
H-70をクレーンでつり上げマーフィーを外すのですが、ここで
も中央輸送隊が業者に指示を出しながら作業が進められました。輸
送業務だけでなく、こういった各種装備品に対する知識をも求めら
れるのが中央輸送隊なのです。
翌日は各部隊からやってきた隊員たちと運送業者、中央輸送隊、そ
して宰領者立ち会いによるダメージチェックが行なわれました。米
国出港前と相違点はないか、整然と並ぶ車両を、チェックリストを
使って1台ずつ丁寧に確認していきます。チェックが終わった車両
は、これで晴れて駐屯地へと帰れるのです。
輸送は、特に災害派遣や国外への輸送において統合運用が当たり前
の時代となっています。輸送業務プロ集団の活動するフィールドは
、今後も広がっていくことが予想されます。
最後に。
中央輸送隊がまだ中央輸送業務隊という名称だったとき、取材をさ
せていただきました。そのひとつが仙台港での積み下ろし作業でし
た。
強風を遮るものがない晩秋の港は思い出すだけでも凍える寒さで、
けれどちょうどブルーインパルスが訓練している場面を目にするこ
とができて(ご存じの方が多いでしょうが、ブルーインパルスのベ
ースは松島基地です)、うれしかったことをよく覚えています。
フェリー会社の方、部隊の車両を運転してフェリーから降ろす、通
称「ギャング」と呼ばれる複数の運送業者の方など、たくさんの民
間業者の方にもお世話になりました。
荷役調整会議の取材をさせていただいた建物やほかの社屋はみな港
に隣接していて、取材から間もなく、津波ですべて流されてしまい
ました。
建物は跡形もなく津波がさらってしまいましたが、あのときお世話
になった方々がご無事であったよう、今も心から願っています。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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