配信日時 2021/11/01 20:00

(新)【我が国の未来を見通す(配信準備号)】 未来に立ちはだかる3つの課題 宗像久男(元陸将)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。お仕事の依頼など、問い
合わせは以下よりお気軽にどうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
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こんにちは、エンリケです。

21世紀の我が国の行く末を占う重要なリトマス紙になった
総選挙が終わりました。

そしてきょうから、

宗像久男さん(元陸将 元東北方面総監)の

「我が国の未来を見通す」

がスタートします。

著作にもなった前回の連載
「我が国の歴史を振り返る」
では、我が国の500年の歴史を振り返りました。

今回の連載では、我が国の現状や未来について、
これから先、数十年数百年にわたって我が国に立ち
ふさがるであろう3つの大きな課題を今から認識し、
考え、後輩たちに残す負債を少しでも小さくするよう
考えてゆきます。

3つの大きな課題とは何か?

以下記事でご確認ください。


エンリケ



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我が国の未来を見通す(配信準備号)

未来に立ちはだかる3つの課題

宗像久男(元陸将)
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□はじめに

『我が国の歴史を振り返る』を109回にわたって
配信させていただいた元陸上自衛官の宗像久男(む
なかたひさお)です。

このメルマガ連載をまとめた『世界の動きとつなげ
て学ぶ日本国防史』(*)をご購読いただいた読者
の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
お蔭様にて、多くの皆様にご注目いただいておりま
す。

(*)https://amzn.to/2ZARX5O

 実は、メルマガ読者をはじめ、多くの方から「も
う書かないのか」という声をいただきました。私自
身は、正直申し上げ、このたびの書籍化だけで、あ
る種の達成感と“精根尽き果てた”ような感覚に陥
っていますが、一方で、「過去の歴史だけを振り返
るだけで、我が国の現状や未来についてはどう思っ
ているのか?」と問われれば、それについて十分に
答えていないことは承知しております。

巷には、さまざまな情報が飛び交っています。情報
過多の中から本当に必要な情報を選び、分析し、対
策を講ずるのはなかなか至難の業です。特に目先の
情報に一喜一憂し、飽和状態になっている多くの国
民には、我が国の未来に立ちはだかるであろう課題
とか暗雲に気がついていないのではないかとの一抹
の不安も沸き上がってきております。
 そのような時、ふと頭に浮かび上がってきたのが、
新しいテーマ『我が国の未来を見通す』でした。
 ただし、今回は、国防とか安全保障の領域はあえ
て外すことにしました。このテーマに関しては、す
でに多くの有識者や元自衛官、そして心ある政治家
などがあらゆる機会をとらえて、周辺情勢の変化や、
さらなる国防の強化の必要性などについて警鐘を
ならしているからです。

正直言えば、中には、単に警鐘に留まらず、さまざ
まな意図が働いているものもあるような気がします。
歴史を学んだ立場からは少し違った考えがないわ
けではないですが、そこは当面、封印することにし
ました。

▼立ちはだかる3つの課題

 私は、我が国の未来に立ちはだかる課題のうち、
(1)少子高齢化問題、(2)農業・食料問題、(3)気候変動
問題を3大課題としてまずとりあげたいと思います。

 もとより、元自衛官の私は、それぞれの専門家で
はありませんが、近年、それらについて関心をもっ
て学ぶ機会がありました(一部は現在も探求中です)。
そうしたら、またもや持ち前の“好奇心”に火がつ
いてしまい、やかなり時間をかけて深掘りすること
になり、その結果、あまり表には出てない事実数々
を知って驚愕してしまいました。

その延長で、「多くの人はこのような事実を知って
いるのだろうか?」と考え込んでしまいました。

 またしても、自分の早合点(独りよがり)かも知
れない、これらのテーマについて書く資格があるか
否か、自問自答がありました。しかし、経験とは恐
ろしいものです(笑)。「もとより歴史の専門家で
ない自分が、歴史の書籍を刊行したのだから、それ
ぞれの分野の専門家でなくとも、躊躇する必要はな
いのではないか」との“陰の声”が騒ぎ出し、逆に
勇気が湧き、このテーマで書く決心を致しました。

 『世界の動きとつなげて学ぶ日本国防史』で約5
00年間の歴史を振り返りました。これから500
年先とは言わないまでも、50年先、100年先、
つまり私たち世代の子孫の時代、我が国はどうなっ
ているのだろうか、ということがいつも頭をよぎり
ます。

「未来がどうなるか」など神様以外だれにもわかり
ません。本来、未来は不確実で不透明で予測困難で
す。しかし、歴史を勉強して分かったことがありま
す。メルマガでも「歴史の時間軸・空間軸のつなが
り」を再三とりあげましたが、江戸、明治、大正、
昭和とその時代時代の国の「舵取り」(と総称して
おきます)が次の時代にかなりの影響を与えた、つ
まり「未来を創ってきた」ことは否定できません。

つまり、その時代時代の「舵取り」が変われば――
岡田英弘氏が言われるように、1回しか起こらない
歴史は検証ができないのですが――違う次の時代を
迎えていたはずなのです。同じことがこれからも起
こる、つまり「未来は創れる」ものではないか、と
いうことです。

このように、「過去はやり直すことができませんが
、未来は創り出すことができる」との立場に立てば、
上記3つの課題への取り組みが違ってくるのは当
然と考えます。

この3課題が私たちに突き付ける事実の詳細を知れ
ば知るほど、私自身は「悠長なことを言っておれな
い」とのあせりさえ感じます。我が国には「脅威が
明確にならないとその対応策を講じない」との伝統
があるからなおさらです。

少子・高齢化問題はもう始まっています。農業・食
料問題はあと10年で間違いなく顕在化するでしょ
う。気候変動問題は、国際社会がすでに舵を切り直
しつつありますが、一度作り出した二酸化炭素(C
O2)は1万年消えないとの分析もありますので、
もう遅いのかも知れません。

「少子高齢化問題」と「農業・食料問題」は我が国
独自の問題です。しかし、「気候変動問題」は地球
規模の問題です。皮肉にも、この問題があるから、
最近の米中会談のようの、大国同士の決定的対立を
回避する要因になる可能性も有しています。自国だ
けの国益とかエゴを言っておれないのです。

▼「この国民にしてこの政府あり」

私は齢70歳、いずれの問題も私の人生には直接的
に関係ありません。それらの問題がまさに顕在化す
る頃には、私は、あの世から我が国をはじめこの世
の“混乱”を眺めていることでしょう。だからこそ、
「だから言ったじゃないか」のような台詞を吐き
たくないとの思いに駆られて、「今、気がついたこ
とを実行しよう」と決心しました。

衆議院選挙がまもなく行なわれますが、各党の公約
をみると寂しくなるのは私だけでないと思います。
国の「舵取り」は、「主権者」たる国民の総意の反
映です。10万円とか12万円などとバラマキキャ
ンペーンがはびこっていますが、政治家の先生方は、
国民の精神(そのレベル)を見抜いているとも言
えるでしょう。

未来にために今の日本に何が必要なのかを忘れ、そ
のようなお金につられて1票を投じる国民が多い限
り、我が国の未来に漂う暗雲は消え去ることはない
と考えます。まさにカーライルの名言「この国民に
してこの政府あり」の状態です。

国防もそうですが、我が国の未来には、10万円よ
りももっと大事な課題が立ちはだかっています。メ
ルマガ読者とそれらの情報を共有し、一緒に対応策
を考えて行きたいと思います。どうぞよろしくお願
い致します。

次回より、第1編「少子高齢化問題」、第2編「農
業・食料問題」、第3編「気候変動問題」の順でメ
ルマガを配信させていただきます。ご期待ください


(むなかた・ひさお)



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【著者紹介】

宗像久男(むなかた ひさお)
1951年、福島県生まれ。1974年、防衛大学校卒業後、
陸上自衛隊入隊。1978年、米国コロラド大学航空宇
宙工学修士課程卒。陸上自衛隊の第8高射特科群長、
北部方面総監部幕僚副長、第1高射特科団長、陸上
幕僚監部防衛部長、第6師団長、陸上幕僚副長、東
北方面総監等を経て2009年、陸上自衛隊を退職(陸
将)。日本製鋼所顧問を経て、現在、至誠館大学非
常勤講師、パソナグループ緊急雇用創出総本部顧問、
セーフティネット新規事業開発顧問、ヨコレイ非常
勤監査役、公益社団法人自衛隊家族会理事、退職自
衛官の再就職を応援する会世話人。著書『世界の動
きとつなげて学ぶ日本国防史』(並木書房)



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