こんばんは、エンリケです。
きょうで
「個人用防護装備防護マスク」は終了です。
いかがでしたか?
さっそくどうぞ
エンリケ
「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (342)』
個人用防護装備防護マスク(1)
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こんばんは。渡邉陽子です。
この「軍事情報」のメルマガでも連載されていた伊藤学さんの『陸
曹が見たイラク派遣最前線 熱砂の中の90日』が刊行されました。
私が伊藤さんと初めて出会ったのは数年前、陸上自衛隊第6師団の
取材時です。
一緒に取材したのは2日間という短い日程でしたが、伊藤さんの少
工出身の陸自OBという経歴に基づく知識と穏やかな人となり、撮
影に対する情熱がとても印象深く心に残りました。メルマガの連載
を誰よりも楽しみに読んでいたのは私だと思います。
自衛官OBが現役時代を振り返る内容の書籍はほぼ幹部自衛官によ
るものですから、少年工科学校出身の戦車のスペシャリストがイラ
ク、サマーワでの3カ月間(とその前後)をどう感じたか、その視
点から書かれたものは初めてではないでしょうか。ひとりよがりに
ならない文体は読みやすく説明も的確、さらに著者のそのときどき
の心情も伝わってくる貴重な1冊だと思います。ひとりでも多くの
方に読んでいただきたいですし、私としては防衛省も参考資料とし
て大人買いしてもらいたい本です。
『陸曹が見たイラク派遣最前線 熱砂の中の90日』
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雑誌記事のお知らせです。
『丸』10月号に「第2師団集合教育 レンジャー 密着ルポ」が掲載
されました。レンジャー教育の卒業試験ともいえる3夜4日の最終
想定から帰還式までを追いました。これまで夏の北海道には何度も
訪れていますが、ぶっちぎりで最高に暑かったです……
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されました。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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『正論』10月号「われらの女性自衛官」、今回は陸上自衛隊女性自
衛官教育隊の助教の紹介です。ときに入隊したばかりのひな鳥を、
ときに年上の先輩を、助教として指導するWACはものすごくかっこ
いいです。また、陸自2師団レンジャー教育の最終想定についても、
『丸』での掲載とは別の切り口でご紹介しています。
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■個人用防護装備防護マスク(3)
防護マスクのご紹介は今回が最終回です。
自衛隊や警察、消防など災害対処に携わる組織では顔全体を覆う全
面マスクタイプが用いられますが、このタイプが一般向けに普及し
ていないのには理由があります。
それは、全面マスクを素早く、かつ正しく装着するには、髪の毛や
ひげなどを挟み込まないようにする訓練が必要だからです。
ほんのわずかでも隙間が生じてしまうようなら、いっそ半面マスク
にフードを併用したほうが高い安全性を期待できるほどです。どれ
ほど高機能なマスクでも、漏れ込みが多くては意味がないですもの
ね。
装着時にマスクの内側にどのくらいの粉じんが漏れ込んでいるのか
という「漏れ率」は、マスクの外側と内側の粉じん濃度を測定する
ことで得られます。
興研によると、マスクの内側の粉じんが10個測定されたときの漏
れ率を1%とすると、一般的なサージカルマスクの装着の漏れ率の
平均値は63.36%だそうです。
これがN95マスクになると、漏れ率の平均値は0.56%と激減。
18式は不明ですが、00式の漏れ率が0.01%であることを考える
と、同等もしくはそれ以上の性能と思って間違いないでしょう。
ただしこれらの数値はすべて正しく装着した場合です。
新型コロナウイルス対策で、マスクを正しく装着することの重要性
が広く国民にも浸透したと思われますが、まだマスクの効果が生か
せない間違ったつけかたをしている人はあちこちで見かけますよね。
特に鼻のわきや頬、あごなどにはすき間ができやすく、そこからマ
スクの外の空気が直接漏れ込みます。これではマスクを着けている
のに、フィルターを通らない空気を多く吸い込んでしまっているこ
とになります。なかには「眼鏡が曇るから」と鼻を丸ごと出してし
まっている人もいますが、これはもう論外です。周囲の人にとって
も迷惑です。
防護マスクはもちろん、一般のサージカルマスクもフィルターでろ
過した空気を吸うことで、初めてウイルス等の吸入防止の効果を得
ることができるのです。
興研はかねてからマスクのフィッティングの重要性を強く訴えてき
ました。フィッティング測定サービスを実施しているほか、防毒マ
スクの場合はマスク装着後、作業開始前のフィットテストを推奨し
ています。
手のひらで吸気口をふさいだ状態で息を吸ってみて、面体の中に空
気が流入しなければ、マスクが正しく装着され気密が取れている状
態ということだそうで、自衛隊の場合はこれを「気密点検」と呼ん
でいます。
最後におまけ話を。
演習でもガスの攻撃を受けたという想定で、防護マスクをかぶるシ
ーンはよくあります。それが夏だと、隊員いわく「とんでもない暑
さ」だそうで、警報が解除されない限り外すことも許されないので、
次第に頭がもうろうとしてくるとか。ガス攻撃もいやですが、真夏
の防護マスクもなかなかつらいものがありそうですね。
(個人用防護装備防護マスク おわり)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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