配信日時 2021/10/20 09:00

【防衛省の秘蔵映像(37)】周辺事態や日米協力とはいうものの  2000(平成12)年の映像紹介 荒木肇

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こんにちは。エンリケです。

「防衛省の秘蔵映像」解説 第37回です。

こんかいも、今につながる重要な記事です。

さっそくどうぞ。


エンリケ


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防衛省の秘蔵映像(37)

周辺事態や日米協力とはいうものの
 2000(平成12)年の映像紹介


荒木 肇
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2000(平成12)年の映像紹介
平成12年防衛庁記録 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=z992sHSsgkI

□はじめに

いよいよ衆議院の解散が行なわれ、与野党の選挙戦
への覚悟が固まったようです。もっとも興味深いの
は、立憲民主党の共産党との協力でしょう。共産党
とは決して仲良くはできない連合ははっきりと反対
しています。枝野さんは「れいわ新選組」党首の立
候補についてのうやむや事情も報道され、前途多難
なのでしょう。


 それにしても依然としてNHKの報道ぶりは、い
かにも中国寄りで唖然とします。いま、陸上自衛隊
は海・空自の協力のもとに、九州方面への機動演習
を行なっているところです。「陸演」と略称してい
ますが、わが国の「周辺」で異常事態が起きた時に
対応する訓練・演習になります。


 まともに情報を得ていれば、中国が台湾に対して
示威行動を行なっていることへの自衛隊の当然の対
応ですが、NHKはこれを「国民に秘密にした軍事
行動だ」というのです。どこが公共放送だというの
でしょう。視聴者から金をとっておきながら、不偏
不党どころか、一方的な見方しか流さない。制作陣
も、それを許す経営陣も明らかに「中国寄り」です。

 有名なTBSの偏向番組は今日(17日)も「台
湾有事をわが国の有事として防衛費を増額する動き
がある」とコメンテーターに語らせました。台湾の
安全は、わが国の平和に直結する、それが周辺事態
そのものだということはマスコミ人なら当然の常識
のはず。彼女はその所属する雑誌会社とともに、某
国系の工作員といっていいでしょう。

 こうした事態はどこかで予想もされていたのでし
ょうが、的確な対策をとれていたかどうかです。よ
うやく国内総生産の2%ほどに防衛費を増やすとい
われていますが、中期防衛力の整備計画は5年単位
です。そうでありますから、あと2年、現在の中期
防の計画が進行中。そうであると予算執行は単純に
は行きません。後年度負担という縛りがありますか
ら、さあ、増やすぞとはすぐにならないはずです。
いずれお話しできるでしょう。

▼またまた「新防衛大綱」解説

 このアーカイブスも21世紀を迎え、陸上自衛隊
は50周年の様子が描かれます。ところが、映像も
解説も去年とほとんど同じようです。「新防衛計画
の大綱」の解説、例の「軍事大国にならない」、「
非核3原則」、「国際協力による防衛環境構築」、
「文民統制」がしっかり掲げられています。

 時代は、21世紀の直前です。ITの発達で、
「RMA」と略称される軍事における革命、「BM
D」弾道ミサイルの脅威への対応、そして不安定化
する世界情勢です。在外邦人の輸送なども船舶とヘリ
を使えるようになります。「NBC」兵器への対応
も言われています。核・生物・化学兵器対応です。


▼自衛隊の態勢

 ほとんど広報されていなかった2000年頃の自
衛隊の現状についてご説明しましょう。もちろん、
公開されていた資料に依りますので目新しいもので
はありません。

 まず、海上自衛隊から。機動運用される護衛艦部
隊です。4個護衛隊群がそのままなのはいま(20
21年)も変わりません。その代わり、地方隊の護
衛艦部隊は10個から7個に減りました。したがっ
て護衛艦は60隻から50隻になりました。潜水艦
は6個隊16隻のままで、掃海隊群は2個から1個
に減ります。陸上を基地とする哨戒機部隊は16個
隊から13個隊に減り、作戦用航空機も220機か
ら170機に減ります。

 まず護衛隊群です。3機の対潜哨戒ヘリを積んだ
DDH、艦隊防空用の対空ミサイル搭載艦であるD
DG2隻、そうしてヘリ1機を搭載する汎用護衛艦
5隻の8隻、8機のヘリのいわゆる「八八艦隊」で
す。

 護衛艦の耐用年数は、おおよそ25年といいます。
そうなるとDDHの4隻が最初の退役対象になりま
した。1973(昭和48)年に竣工した「はるな」
と翌年竣工の「ひえい」は1987(昭和62)年
と1989(平成元)年に近代化改装を行なってい
ました。艦齢を8年延長したので、単純計算では、
2006~07(平成18~19)年に限界に達し
ます。

 1980(昭和55)と翌年には「しらね」と
「くらま」が竣工していますが、こちらも同じ時期
に艦齢がリタイヤの時期を迎えます。大きな護衛艦
の建造には5年ほどがかかりますので、次期中期防
(平成13~17年度)の初めには代替の1番艦の
建造を予算要求しなければなりません。

 実は海自は4次防(昭和51~55年度)で「は
るな」型の後継となる新型艦に、ヘリコプター6機
を搭載する8300トン型といわれた対潜護衛艦を
計画しました。ところが国防会議事務局は「はるな」
型の運用実績も少ないうちに、新しい艦種を採用
するなど時期尚早と言って認めませんでした。


結果、「はるな」型の拡大改良型の「しらね」型2
隻が建造されました。2隻で6機のヘリになります。
これが文民統制ですね。将来を見通した現場の意
見より、軍事に素人の文民の意見が通るのです。し
かし、現在では4隻の大型対潜水艦用ヘリ空母が4
隻もそろいました。うち2隻がF35Bを搭載する
ために改修中、またその予定と聞くと、情勢変化で
変わるものだと感慨深いものがあります。

▼イージス艦と汎用護衛艦

 イージスとは無敵の盾、ギリシャ神話の主神ゼウ
スが娘のために与えた盾の名前です。「多目標同時
対処能力」に優れたイージス・システム護衛艦が1
998(平成10)年3月に就役しました。これで
海自には、「こんごう」、「きりしま」、「みょう
こう」、「ちょうかい」と4隻のイージス護衛艦が
揃いました。各護衛隊群に1隻ずつです。イージス・
システム護衛艦の任務はさらにTMD(戦域ミサイ
ル防衛システム)能力をもつことになります。
 
 当時の護衛艦隊汎用護衛艦20隻は、「はつゆき」
型、「あさぎり」型、「むらさめ」型の3つのタイ
プでした。艦型はだんだん大型化し、それぞれ30
50トン、3550トン、4400トンに進化して
います。いずれのヘリ1機を搭載し、対潜、対空、
対艦の各戦闘にバランスをとれた兵装をしているの
が特色です。「むらさめ」型は改良され、砲を12
7ミリに換えて水上打撃力を強化した「たかなみ」
型が建造中でした。

 排水量は4650トン、備砲は「こんごう」型に
採用したOTOメララの単装砲です。「むらさめ」
は76ミリでしたから強力化しました。


▼輸送艦おおすみ

 全通甲板(艦首から艦尾まで構造物がない)の艦
影をみて、「空母だ!」とまた意図的な報道をした
勢力がいました。エアクッション艇といわれるホバ
ー・クラフトを艦尾の開口部から出し入れし、揚陸
に使うのでドック型揚陸艦と言っていいでしょう。
自衛隊では揚陸艦とはいわず輸送艦とします。航空
母艦とはまったく違い、飛行甲板後部では輸送用の
陸自の大型ヘリを発着できるだけです。前部には大
型トラックなどのパーキング場になります。

 「おおすみ」は1998(平成10)年に竣工し、
平成14年に「しもきた」、同15年に「くにさき」
が竣工します。兵装はまったく自衛用の20ミリC
IWSを2基もつだけです。CIWSがバルカン砲
のように銃身が回転し、20ミリ砲弾を高い速度で
接近する敵のミサイルなどを撃破します。

▼空中機動する第12旅団

 陸軍という軍種は徒歩と騎馬で地表面を機動して
きました。徒歩は時速4キロ、1日で40キロメー
トル、騎馬は時速8キロ、1日で80キロメートル、
車輌なら道路状況で大きく左右されますが1日に
120キロメートルくらいといわれます。

 それがヘリコプターの出現で大きく変わることに
なりました。3次元の機動になって、時速200キ
ロメートル前後の空中機動ができるようになったの
です。

 陸自にもヘリコプターを活用する思想は当然あり
ました。1998(平成10)年現在で、練習ヘリ
や要人用の特別輸送ヘリを除いて、458機が在籍
しています。最も数が多いのが観測用のOH-6で
178機、次は多用途(偵察・攻撃・輸送)UH-
1で146機、輸送用の大型CH-47チヌークが
32機、同V-107バートル16機、それに対戦
車用の戦闘ヘリAH-1Sが86機です。

 当時、もし防衛出動命令が下れば、木更津の第1
ヘリコプター団のCH-47の32機と、5個方面
隊にそれぞれある方面ヘリコプター隊のUH-1の
20機を集めてヘリボーン作戦を行なったことでし
ょう。

 陸自は師団を旅団化する中で、群馬県榛東村(し
んとうむら)に司令部を置く第12師団を「空中機
動旅団」に改編することになりました。

 次回はその改編を詳しく見てみましょう。



(つづく)


(あらき・はじめ)


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●著者略歴
 
荒木  肇(あらき・はじめ)
1951年東京生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、
同大学院修士課程修了。専攻は日本近代教育史。
日露戦後の社会と教育改革、大正期の学校教育と陸
海軍教育、主に陸軍と学校、社会との関係の研究を
行なう。
横浜市の小学校で勤務するかたわら、横浜市情報処
理教育センター研究員、同小学校理科研究会役員、
同研修センター委嘱役員等を歴任。1993年退職。
生涯学習研究センター常任理事、聖ヶ丘教育福祉専
門学校講師(教育原理)などをつとめる。1999年4月
から川崎市立学校に勤務。2000年から横浜市主任児
童委員にも委嘱される。2001年には陸上幕僚長感謝
状を受ける。
年間を通して、自衛隊部隊、機関、学校などで講演、
講話を行なっている。
 
著書に『教育改革Q&A(共著)』(パテント社)、
『静かに語れ歴史教育』『日本人はどのようにして
軍隊をつくったのか―安全保障と技術の近代史』
(出窓社)、『現代(いま)がわかる-学習版現代
用語の基礎知識(共著)』(自由国民社)、『自衛
隊という学校』『続自衛隊という学校』『子どもに
嫌われる先生』『指揮官は語る』『自衛隊就職ガイ
ド』『学校で教えない自衛隊』『学校で教えない日
本陸軍と自衛隊』『あなたの習った日本史はもう古
い!―昭和と平成の教科書読み比べ』『東日本大震
災と自衛隊―自衛隊は、なぜ頑張れたか?』『脚気
と軍隊─陸海軍医団の対立』『日本軍はこんな兵器
で戦った─国産小火器の開発と用兵思想』『自衛隊
警務隊逮捕術』(並木書房)がある。
 

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された《兵隊》、お寒い自治体』 荒木肇
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