こんばんは、エンリケです。
一昨年と去年にお届けしたシリーズ
「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱芳文の半生」
のつづきをお届けしています。
過去配信した内容はこちら
http://okigunnji.com/watanabe/category1/category45/
衝撃的な事実が描かれています。
「事故当時の原発建屋の表面温度を誰がどうやって計測したのか?」
は見過ごされがちな出来事です。
じつは、命がけでその任を果たしていた人たちがいたのです。
さっそくどうぞ
エンリケ
追伸
東京五輪は終わりました。
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』
を読み、大会全般の支援に当たった
わが自衛隊に思いを馳せます。
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「ライター・渡邉陽子のコラム」バックナンバー
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『ライター・渡邉陽子のコラム (341)』
神は賽子を振らない(20)
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こんばんは。渡邉陽子です。
取材に行っていたため先週はお休みをいただきました。
ワクチン2回接種&PCR検査陰性証明を掲げて、部隊も受け入れて
くださいました。今後ワクチンパスポートは国内でも必須になって
くるかもしれませんね。ちなみに現地では最高に実りある取材をさ
せていただきました。
雑誌記事のお知らせです。
『丸』10月号に「第2師団集合教育 レンジャー 密着ルポ」が掲載
されます。レンジャー教育の卒業試験ともいえる3夜4日の最終想
定から帰還式までを追いました。これまで夏の北海道には何度も訪
れていますが、ぶっちぎりで最高に暑かったです……
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『PANZER』10月号に「神は賽子を振らない 第32代陸上幕僚長火箱
芳文の半生」最終回が掲載されます。被災地への6度の視察を終え
てから退官までの約2カ月間も、怒涛の日々でした。
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『正論』10月号「われらの女性自衛官」、今回は陸上自衛隊女性自
衛官教育隊の助教の紹介です。ときに入隊したばかりのひな鳥を、
ときに年上の先輩を、助教として指導するWACはものすごくかっこ
いいです。また、陸自2師団レンジャー教育の最終想定についても、
『丸』での掲載とは別の切り口でご紹介しています。
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■神は賽子を振らない(20)
犠牲者が出ることを覚悟で計画された、原子炉にホウ酸をまくとい
う、火箱が名付けた「鶴市作戦」。
幸いなことに、放水などによって原子炉の冷却が進んだおかげで、
この鶴市作戦は実行されず幻の作戦となった。
火箱が乗り込んだヘリが2号機上空でホバリングすることも、空挺
隊員が建屋屋上に降り立つこともなく、この作戦によって殉職者を
出すことも回避された。
しかし当時、日本中が注目していた放水作戦の陰で、このような作
戦も進められていたのだった。
もうひとつ、いまだ国民にほとんど知られていないミッションがあ
る。
陸自ヘリからの放水をきっかけに地上からの放水も始まったものの、
依然として原子炉や燃料プールの温度計測系は計測不能となってお
り、放水等による冷却効果の有無を得る手段はなかった。東電に聞
いても「センサーが壊れていてわからない」という。
そのとき技術研究本部(現:防衛装備庁)佐々木達郎本部長から
「NECに委託して開発中の高性能サーモグラフィー装置なら、建屋
の表面温度を計測できる可能性があります」と提案があった。
「よし、それをやりましょう。協力をお願いします」と即答した。
今やこれだけが唯一の手段だった。
計測には3月17日に福島第一原発3号機上空からの放水を実施した
第1ヘリコプター団を利用することになった。
チヌークの床には放水時と同様、被ばくを最小限に抑えるためタン
グステンシートが敷かれ、サーモグラフィーも遠隔操作できるよう
にした。陸自隊員におけるこのチヌークの改造は、技本の職員たち
が「もうできたの!?」と驚くほどの速さだったという。
サーモグラフィー装置を扱うには専門的知識が必要だったため、す
べての計測に技本の技官も4人1組のチームを組んで同乗する必要が
あった。しかし、危険な原発上空には災害派遣に従事している自衛
官でなければ行けない(技官は自衛官ではなく技術職)。
そこでチヌークに乗り込む技本の職員を一時的に陸自へ出向させ、
陸自の命令を受けられる形を取った。技本の技官たちは一時的に陸
上自衛隊の隊員となり、命をかけて原発上空へ赴いたのだ。
3月20日に最初の計測を実施。建屋表面温度は100℃以下なことがわ
かった。
その後「キリン」による地上からの大放水が予定されていたことか
らも、最低最悪の事態は回避されるのではないかという希望が生ま
れた。火箱はこのとき、初めて「原発はなんとか持ちこたえてくれ
るのではないか」と思うことができた。
この日から4月26日まで25回表面温度調査を実施、東電などに情報
提供した結果、「内部の壁が燃えさかっている」などの未確認情報
も否定された。また、ヘリコプター映像伝送装置による上空からの
原子炉や燃料プールの詳密映像は、東電の技術者にとって非常に役
立った。
陸自に出向という形を取ってまで危険な任務を遂行した技本の職員、
そして2度の放水のみならず何度となく原発を往復した第1ヘリコ
プター団の隊員たちは、間違いなく隠れた英雄である。
(つづく)
(わたなべ・ようこ)
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□著者略歴
渡邉陽子(わたなべ・ようこ)
神奈川県出身。大学卒業後、IT企業、編集プロダクション勤
務を経て2001年よりフリーランス。2003年から月刊
『セキュリタリアン』『MAMOR』などに寄稿。
現在は自衛隊関連の情報誌などで記事を発表。メルマガ「軍事
情報」で自衛隊関連の記事を配信中。
2016年6月、デビュー作
『オリンピックと自衛隊 1964-2020』を刊行。
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