配信日時 2021/09/20 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(142)】 肥後花菖蒲に人生を捧げる人たち

おはようございます、エンリケです。

今週もどうぞよろしくお願いします!

142回目の美佐日記。

肥後花菖蒲の満月会恐るべし!
感動しました!!


さて、桜林さんが参加・講演される
Youtubeライブシンポジウムが開催されます!

「防衛シンポジウム2021 in 京都」
『第三開国時代に備える国家安全保障』

日時:9月25日(土)14:00~17:00

今年は新型コロナ感染拡大防止の為、
一般のお客様の会場での観覧は行わず、YouTubeで
のネット中継となります。

他のパネリストは 宇都 隆史・参議院議員、
コーディネーターは 村田 晃嗣・同志社大学教授。

とのことです。

いいメンバーですよね。

参加を希望される方は、
こちらからお申し込みください。

https://forms.gle/yCEeFpD66Jw9MYXw7

この土曜日です。

Youtubeライブなので、居場所に関係なく
参加できますよ。



桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
という名で出ました!

まだの方はぜひご一読を。
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すでに読んだ方も、文庫でもう一冊!
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※メチャメチャ売れてます!

ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。


エンリケ

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『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。

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ご意見・ご感想はコチラから
 ↓
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桜林美佐の「美佐日記」(142)

肥後花菖蒲に人生を捧げる人たち

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年9月の今回
は142回目となります。

最近、彼岸花が咲き始めました。「赤い花な~ら曼
珠沙華~」という「じゃがたらお春」をモデルにし
た歌「長崎物語」で、私は曼珠沙華という花の存在
を知りました(年齢詐称ではありません!古い歌が
好きなのです!)。

路上の花を見て「これは〇〇という花ですよ」なん
て、さりげなく言えるとカッコいいですよね。

 実は私の周りでこれに匹敵する人が野田力さん
(「フランス外人部隊」の著者)です。一緒にグア
ムのジャングルを歩いた時(なかなか得難い経験で
すよね~)、数多くの植物の名前を教えてもらい驚
かされました。

 先の大戦で過酷な持久戦を強いられ命を落とした
人には、毒性の植物を口にしたことが原因となって
いる場合も多いようですので、軍人には必要な知識
なのかもしれません。

 元来、花は日本の武人とも深く関係してきました。

 先日、NHKで昭和56年に放送した「新日本紀行」
の再放送をしていたのですが、非常に興味深い内容
でした。

 熊本の菖蒲の花、その名も「肥後花菖蒲」(ひご
はなしょうぶ)を守り続ける人々の物語です。

「肥後花菖蒲」というのは、肥後細川藩10代目の細
川斉護(ほそかわなりもり)の命を受けて江戸の花
菖蒲づくりの名人に弟子入りした家臣が、肥後熊本
に持ち帰って改良を続け引き継がれてきたものです。

 これを熊本藩士によって構成された「花連」とい
うグループが受け継いできましたが、明治に入って
から「満月会」という名に変わっています。

「満月会」のルールは極めて厳格です。

まず「門外不出」が大原則。花は「一代限り」と定
められ、たとえ親や兄弟であっても譲り渡してはな
らないそうです。

 それぞれの家の秘伝は、死に際に初めて我が子に
伝えられます。

もうこれは、花を通しての精神修養の「道」であり、
武士道そのものなのです。

 花の鑑賞の方法にもしきたりがあります。

 まず、肥後菖蒲は鉢植えで栽培し、室内に持ち込
み鑑賞することになっています。

部屋に入ったら座らずに 先ずは「花芯」をよく観
察し、全部の花芯を見てから座り 鉢に目をやって
鉢の形から鑑賞。次第に目線を上げていき 全体を
鑑賞するのが作法ということです。

 もし、万が一、肥後花菖蒲の鑑賞に招待されるよ
うなことがあったら、ぜひ覚えておきたいですね(
かなりレアな確率と思われますが)!

番組内では、国鉄に勤めている「満月会」の幹事長
さんを紹介していました。幹事長さんは、菖蒲の管
理があるために転勤はできず、昇進のチャンスも断
念したそうです。泊りがけの出張もできないという
ことでした。人生を花菖蒲に捧げているのです。

 また、別の年配の女性も、やはり花菖蒲のために
独身を貫き、家に伝わる代々の花を育てています。
花を育てることで、花を伝える「家」の重みを感じ
ているそうです。

 熊本では、この花菖蒲を含めた代表的な花を「肥
後六花」と呼びます。いずれもやはり熊本藩の武士
のたしなみとして栽培が始まったものです。

 菖蒲の他には「肥後山茶花(ひごさざんか)」、
「肥後椿」、「肥後芍薬(ひごしゃくやく)」、「
肥後朝顔」、「肥後菊」があります。

この中でも「肥後椿」は菖蒲の花とは対照的な、比
較的オープンな発展を遂げていました。

 折からの盆栽ブームで、盆栽の台木としての椿の
需要が増えたのです。とりわけ阿蘇の険しい山中で
長年の風雪に耐えた枝が価値が高いといいます。

 良い台木は10万円~20万円にもなるというこ
とで、業者の方々が山に分け入って行く様子も映し
出されたのですが、あまりにすごくて目を疑いまし
た。

 道などない、ほとんど未踏の岩場をロープを使っ
て登る姿は、もうレンジャーさながら!命を落とす
人もいるという、かなり危険な椿狩りなのです。

 あまりに閉鎖的なので「秘密結社じゃないか」と
揶揄されることもある肥後花菖蒲の「満月会」と、
レンジャー部隊と見まがう肥後椿を扱う人たち・・、
なんだか、これだけニュースが溢れている時代です
が、知らないことってあるんだなあというのが率直
な感想でした。

 とにかく、路傍に咲く花ひとつとっても、語るべ
きものが色々とあるものです。そして、茶でも花で
もそこに「道」を求めるという武士の哲学が今なお
引き継がれていることに、改めて感動しています。

今日も最後まで読んで頂きありがとうございました!
皆様にとって素晴らしい1週間となりますように!


<おしらせ>
前回は詳しい告知をありがとうございました!

●9月25日(土)に「防衛シンポジウム2021
 in 京都」に参加し、講演させて頂きます。
14:00~17:00 今年は新型コロナ感染拡
大防止の為、一般のお客様の会場での観覧は行わず
、 YouTubeでのネット中継となります。

パネリストは 宇都 隆史・参議院議員、コーディ
ネーターは 村田 晃嗣・同志社大学教授です。

申し込みフォーム は

https://forms.gle/yCEeFpD66Jw9MYXw7

です!

●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
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●YouTubeチャンネルくららで毎週末にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます!
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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