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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。
今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。
『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
2020/7/10 発行
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※大好評発売中
武器オンチの日本人には
特におススメです。
冒頭文を拝読して思いました。
正鵠を射た米国発の情報を毎週確認できるのは、
実にありがたい限りです。
さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
英国海軍空母打撃群(4)
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□極東で唯一信頼できる日本の「目覚め」に期待
「日本が台湾有事を語り始めた。時代が変わった」
先日、珍しく複数の米国メディアがそう言って日
本の安全保障姿勢を取り上げました。日台間で8月
27日に行なわれたオンライン協議への言及で、自
民党の佐藤正久外交部会長と大塚拓国防部長が台湾
与党のカウンターパートと「日台への軍事恫喝を強
める中共への対応」を話し合ったものです。日本と
台湾には正式な外交関係がありませんが、実質的「
外務・防衛2プラス2」会議で、踏み込んだ意見交
換ができるよう非公開で行まわれました。
「日本はほんの数年前まで、中国による経済・外交
上の反発を恐れ、台湾有事に関して沈黙するしかな
かった。今回、中国外交部の反対にもかかわらず2
プラス2を実施したのは、日本が台湾海峡の平和と
安定のためより重要な役割を果たす決意を固めたか
らだ」と分析しています。自民党議員による台湾と
の協議を容認した菅総理の気骨に驚くと同時に、中
共への毅然とした態度にかなり好感を持った印象で
す。
同時多発テロから20年。黒幕のオサマ・ビン・ラ
ディン容疑者は殺害したものの、アフガニスタンに
巣食う複数の反米テロ組織は健在。さらにバイデン
政権は撤退作戦の敵失で世界覇権を狙う中共を勢い
づけてしまいました。本件に関する米メディアの前
向きな論評は、極東で唯一信頼できる盟邦日本の「
目覚め」に期待している証左だと思います。
今年に入り、中共は領海侵犯した外国船に対し海
警局が武器を使用することを許可し、また、領海に
入る外国船籍の艦艇に報告を義務付けるなど一連の
国内法改訂を進めています。もちろん、中共の言う
「領海」とは恣意的かつ一方的なもので国際法が認
めるところではありません。しかし手をこまねいて
いれば、なし崩し的に南シナ海と東シナ海の実効支
配が確立してしまいます。
この意味で、日本と台湾が台湾有事と尖閣有事を
両国の存立危機と捉え、手を携えて中共の横暴に立
ち向かう決意を共有したのは意義深いことです。ま
た日台の自発的防衛協力の動きは、中共のインド太
平洋地域進出に歯止めをかけたい米・英・印・豪の
国益とも一致します。
ここで日本の有権者が肝に銘じるべきは「中共が
認めるのは力のみ」という現実です。1989年、
非武装の人民を大量虐殺した天安門事件で国際社会
から糾弾された中共を「孤立させるべきではない」
としてG7による経済制裁を拒否したうえ、対中政
府開発援助も継続して救ったのは日本。しかし、そ
の後の日中関係を見れば「恩を仇で返すのが中共の
やり方」であることが分かります。善意を解せず理
性を持たない相手には力で対峙するしかありません
。
したがって、今回始動した日台防衛協力と日米豪
印(クワッド)による対中包囲網に実効性を持たせ
るためには、裏打ちとなる「中共が許容できない打
撃」を与えるだけの武力が必要なのです。日本にと
っても、敵基地攻撃能力はもちろん、極超音速ミサ
イルやサイバー防御・攻撃能力の開発、そして、も
う一歩踏み込んだ核抑止力確保が早晩不可欠になり
ます。ちなみに、総理の座を狙う河野太郎、高市早
苗の両氏は早急な国防力強化に前向きで安心できま
す。
日本からの報道に「秋の衆院選で自民党が下野す
る」との下馬評がありました。しかし私はあまり心
配していません。なぜなら、中共の脅威は完璧に無
視し、今もって「モリカケ」や「桜を見る会」追求
を重要政策に挙げる政党に国政を任せれば祖国が亡
びることを、有権者はよく知っているからです。
唯一気がかりなのは、迫りくる中共の武力行使ま
でに日本の国防体制強化が完了するかどうか。米メ
ディアは「確かに時代は変わったが、日本の変化が
危機に間に合うかどうかは別問題だ」と結んでいま
す。
▼英国海軍空母打撃群(4)
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
先日、米海軍横須賀基地に入校した空母クイーン・
エリザベスは英海軍最大の軍艦。基準排水量6万5
千トンと言いますから、米海軍艦艇を除けば、日本
の戦艦大和に次ぐ巨艦です。アイランドと呼ばれる
艦橋が右舷に2つある独特の形状をしています。艦
首側のアイランドは操舵を担当し、艦尾側のアイラ
ンドは航空機の発着管制を行ないます。
空母の火力は艦載機が発揮するので、本艦の固定装
備は近距離自衛用のファランクス20ミリ多銃身機関
砲3基と30ミリ単装機関砲4基のみです。より遠方
の敵は、空母打撃群所属の駆逐艦やフリゲート艦、
そして攻撃型原潜が対処します。
特筆すべきは、極めて高い索敵・追尾レーダーを
備えていることです。S1850Mはイギリスに拠点を置
く多国籍複合企業体BAEとフランスのターレス社が
共同開発した長距離レーダー。1000個の空中目標を
自動索敵・追尾し、探知距離は最大400キロに及び
ます。ステルス性の高い第5世代戦闘機やドローン
も発見できるほか短距離なら大気圏外の標的も捕捉
可能で、戦域弾道弾迎撃システムの一環ともなりま
す。空母クイーン・エリザベスが持つ高いレベルの
状況認識能力は防空作戦や戦闘機の誘導管制などに
威力を発揮します。
教材ビデオ:
(20) #HMSQueenElizabeth moves into #SouthChin
aSea | Dares China ! -YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yt4cogIqSRU&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=190&t=71s
(本エピソードは4:19から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Claim(クレイム)主張する
Track(トラック)追跡する
BAE(ビー・エイー・イー)英国の国営兵器製造
会社だったブリテッシュ・エアロ・スペース社
(Bae)を民営化した多国籍複合企業体
シナリオ(カウンターを5:52に合わせてくださ
い)
BAE claims the S1850M has fully automatic dete
ction and track initiation that can track up to
1000 air targets at a range of around 400 kms.
(BAEシステムズ社は、S1850長距離レーダーは100
0個までの空中標的を自動的に発見・追尾すること
ができるとしている。)
(今回のエピソードは6:20まで続きます)
英語一言アドバイス:
trackは「後をつける」「追跡する」という動詞
で、名詞には「陸上競技」の意味もあります。カタ
カナ表記では、これらも運搬車両の「トラック」も
同じになってしまいます。しかし後者の綴りはtruck
で発音も微妙に違います。混同すると意味が通じな
くなるので注意が必要です、発音サイトに両者を載
せますので、聞き比べてください。
発音サイト:
trackの発音 How to pronounce track | HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/track
truckの発音 truck pronunciation - Google Search
http://okigunnji.com/url/122/
参考サイト:
英海軍空母打撃群
空母打撃群 - Wikipedia(イギリス
海軍の項を参照してください)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E6%89%93%E6%92%83%E7%BE%A4
F35Bステルス戦闘機
F-35 (戦闘機) - Wikipedia
(F35B 英海軍の項を参照してください)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)#F-35B
S1850M長距離レーダー
S1850M - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/S1850M
空母クイーン・エリザベス
クイーン・エリザベス (空母) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B6%E3%83%99%E3%82%B9_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
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ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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