配信日時 2021/09/10 20:00

【加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編】英国海軍空母打撃群(3)

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下よりお気軽に
どうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp

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こんにちは。エンリケです。

加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
出ました。

今回は、
分隊支援火器といえばこれ!
ミニミ/M249です。

『ミニミ軽機関銃』
クリス マクナブ (著), 床井 雅美 (監修), 加藤 喬 (翻訳)
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武器オンチの日本人には
特におススメです。

世界はまさに激動の渦中にあります。
ミレニアム規模の価値観大転換の真っただ中です。

今わが国は、次期自民党総裁が誰になるかに夢中です。

激動のさなかの世界で、
インテリジェンスなきまま漂流して生き残れるほど
世界や歴史は甘くありません。

国のかじ取りを誤ると、冗談じゃなく国は滅亡します。

「誰かに頼る」
姿勢から卒業し、自ら国を担う気概と力量を持つ国
民がもっと増えないと、わが国は本当にヤバいと感
じます。


さっそくどうぞ


エンリケ

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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato  

英国海軍空母打撃群(3)


加藤喬(元米陸軍大尉)

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□「この男で、本当に大丈夫か?」

 8月30日、最後の米空軍輸送機がカブール空港を
飛び立ちました。戦術的熟慮も危機対応策も欠いた
撤退作戦は当初から未曽有の混乱に陥り、米国市民
やアフガン人協力者を置き去りにしたまま、不名誉
な結末を迎えたのです。
 
「撤退作戦は並外れた成功だった」翌31日、バイデ
ン大統領は米市民向け終戦宣言で自画自賛。加齢で
現実の認識能力が低下しているのか、もともと非を
認めることができない性格なのかは不明ですが、党
派を問わず「バイデンの成功」に納得するアメリカ
人はいないでしょう。
 
 性急な終戦宣言とは裏腹に、米社会には「まだ終
わらない戦争」が存在します。2001年に始まった対
テロ戦争の戦傷復員兵たちが日々繰り返す「生きる
ための戦い」のことです。このグループの自死率は
一般人口の2倍半にも達し、その総数3万人強。同
戦争の戦死者数約7千名を大きく上回っています。
復員軍人省によれば、毎日20人の復員兵が自ら命を
絶っていることになります。
 
 昨今、性能の良いヘルメットやボディアーマー
(防弾チョッキ)などが制式装備となった結果、砲
弾の破片や銃弾による将兵の死傷率は低くなりまし
た。反面イラクとアフガニスタン両戦争では、路肩
爆弾の強烈な爆風が引き起こす外傷性脳損傷(Tra
umatic Brain Injury:TBI)が負傷の大多数を占め
ています。対テロ戦争に参戦した米軍将兵の8パー
セントから20パーセントが、この「見えない戦傷」
を患(わずら)っているとの統計があります。
 
「TBIに加え、戦場で体験した恒常的ストレスから
心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress
Disorder:PTSD)を発病したり、除隊後の市民生活
に再適応できなかったり、また、軍人気質から心の
病を受け入れられず治療を求めなかったりする悪循
環が戦傷復員兵を自殺に追いやっている」。そう主
張し、戦傷復員兵の自殺防止運動に奔走したのが自
身もイラクで負傷したルイス・カルロス・モンタバ
ン米陸軍大尉。
 
 介助犬チューズデーとの出逢いで社会復帰を遂げ
た実体験を描く『チューズデーに逢うまで』(拙訳
 並木書房 2015年)はニューヨークタイムズのベ
ストセラー入りを果たし、その後、映画化の話も進
んでいました。本書翻訳を通じて知り合ったルイス
と私はこの映画化の話に勢いを得て、日本講演ツア
ーの可能性を話し合うほどの意気込みでした。
 
 ところが2016年12月、PTSD再発を苦にルイスが唐
突に自死。我々の計画が日の目を見ることはありま
せんでした。著者と訳者の間柄を超えた戦友意識を
抱いていただけに、戦場で負ったPTSDの重篤さと、
年月が経っても癒えることのない心の傷の深さを思
い知らされました。当時、長引く対テロ戦争に米社
会が辟易し、復員兵に対する感謝と慰労の念を失っ
たことも、ルイスたちを自殺に追いやった遠因では
ないかと思います。
 
 対テロ戦争で「見えない傷」を負った存命の復員
兵は80万人以上。カブール空港撤退寸前、自爆テロ
で負傷した米兵らのなかにも、早晩、戦傷復員兵の
仲間入りをする者が出てくるでしょう。これら勇敢
な米国人男女に思いを馳せるとき、場当たり的早期
撤退で米国の威信を失墜させたバイデン大統領に憤
りを覚えます。
 
 一日一日辛うじて自死を思いとどまっている戦傷
復員兵に対し、バイデン最高司令官には「名誉ある
撤退」でその労をねぎらう責務があった。にもかか
わらず、氏は撤退の不備すら認めず、自己正当化に
終始。失態を失態と認められない人物は同じ間違い
を必ず繰り返します。合衆国大統領の器ではありま
せん。
 
「この男で、本当に大丈夫か?」。アフガン撤退劇
の敵失で、台湾や気候サミットをめぐる駆け引きで
も中共に押され気味のアメリカを鑑みれば、日本の
政界でもバイデン大統領の資質を問う声が出てきて
当然。誰が新総理になるにせよ、対中包囲網貫徹と
日米同盟強化に向けたバイデン氏の本気度を見定め
つつ、万が一のフェイルセーフ(二重安全機構)と
して、自力本願の国防体制を実現する「したたかさ」
が必須です。
 
 
▼英国海軍空母打撃群(3)

 兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があります。刀を
抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ「鞘の内の勝
ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまらせる圧倒的な
破壊力のことです。「平和を望むがゆえに兵器を手
放せない」。人類が陥って久しいこのジレンマの裏
面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。

前回「中共が1953年に九段線と呼ばれる境界線を策
定し、以来、その内側に入る南シナ海の9割に『疑
う余地のない主権』を主張している」ことに触れま
した。この言い分に対し、ハーグ常設仲裁法廷が
「国際法上の根拠がなく違法」との判断を下したの
は、中共が「島」つまり領土だとする岩礁が満潮時
には海面下に沈む低潮高地に過ぎず、それ自体の領
海を有しないからです。また同法廷は「低潮高地を
埋め立ててり建造物を付加したりしても、島に格上
げすることはできない」と裁定しています。

ではなぜ中共は国際法上無効と知りながら、多くの
岩礁を埋め立てているのでしょうか? その答えは
「南シナ海の実効支配強化」。これらの人工島は、
滑走路やレーダーサイト、対艦・対空ミサイルなど
を備えた文字通りの軍艦島。近隣海域や上空を航行
する船舶航空機に針路変更警告を与えるだけでなく、
危害射撃を加えることも可能です。つまり、世界海
上輸送の3分の1が通過するシーレーンが中共の支
配下に置かれるわけです。国際社会が手をこまねい
ていれば、南シナ海が中国の内海にされる・・・
これが現在進行中の「力による現状変更」にほかな
りません。

「ハーグ法廷の判断は紙屑だ」。中共はそう暴言を
吐き、南シナ海での中国主権を既成事実化していま
す。ところが、日本の最南端領土である沖ノ鳥島に
関しては「島ではなく岩であり、排他的経済水域の
根拠にはならない」と主張。露骨な矛盾は「法によ
る支配は絶対ではなく、自分に都合が良い時のみの
選択肢」と言っているに等しく、図らずも「中共が
認めるものは力だけ」との事実を露呈しています。

教材ビデオ:
 (20) #HMSQueenElizabeth moves into #SouthChin
aSea | Dares China ! -YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=yt4cogIqSRU&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=190&t=71s

(本エピソードは2:40から始まります)

基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Militarize(ミリタライズ)軍隊を配備
する 軍事化する
Deploy(ディプロイ)配備する

シナリオ(カウンターを4:02に合わせてくださ
い)

China has militarized several islands in the a
rea and has even deployed advanced missile sys
tems like YJ-12 anti-ship missile as well as H
Q-9 surface to air missile.
(中国は南シナ海のいくつかの島々を軍事基地化し
、YJ-12対艦ミサイルやHQ-9地対空ミサイルのよう
な先進ミサイル・システムすら配備している)

(今回のエピソードは4:16まで続きます)

英語一言アドバイス:
 deployは「軍隊を配備する」「兵器を展開
する」という意味です。たとえば「尖閣諸島に陸自
分遣隊を展開するべきだ」は “Japan should
deploy a Ground Self Defense Force detach
ment on the Senkaku Islands”です。また「冷戦中、
米軍はドイツに核兵器を配備していた」なら
“The U.S.military had deployed nuclear
weapons in Germany during the Cold War”
で通じます。

発音サイト:
deployの発音
 deploy - Google Search
http://okigunnji.com/url/121/

参考サイト:
英海軍空母打撃群 空母打撃群 - Wikipedia(イギ
リス海軍の項を参照してください)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E6%AF%8D%E6%89%93%E6%92%83%E7%BE%A4

F35Bステルス戦闘機 F-35 (戦闘機)- Wikipedia
(F35B 英海軍の項を参照してください)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-35_(%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F)#F-35B
空母クイーン・エリザベス クイーン・エリザベス
 (空母) - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B6%E3%83%99%E3%82%B9_(%E7%A9%BA%E6%AF%8D)

HQ-9 地対空ミサイルHQ-9 (ミサイル)
 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/HQ-9_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)

中共の人工島建設 南沙諸島海域における中華人民
共和国の人工島建設 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%97%E6%B2%99%E8%AB%B8%E5%B3%B6%E6%B5%B7%E5%9F%9F%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%B3%B6%E5%BB%BA%E8%A8%AD



(かとう・たかし)



●著者略歴
 
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
 
 
追記

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『チューズデーに逢うまで』発売中
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『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
 
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X 
 
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320

オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
 
 
 
きょうの記事への感想はこちらから
 ⇒ https://okigunnji.com/url/7/
 
ブックレビューの投稿はこちらから
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
 
 同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
 
 兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。 
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac" 
と表現します。
 
 『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
 
加藤 喬
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PS
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