おはようございます、エンリケです。
今週もどうぞよろしくお願いします!
139回目の美佐日記。
考えさせられるところ多い内容です。
桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
『誰も語らなかったニッポンの防衛産業』
という名で出ました!
まだの方はぜひご一読を。
https://amzn.to/3avtwJe
すでに読んだ方も、文庫でもう一冊!
https://amzn.to/3avtwJe
※メチャメチャ売れてます!
ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。
エンリケ
----------------------------------
『自衛官が語る災害派遣の記録』に続く、第2弾
『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
ーンの安全確保をめぐって新たな自衛隊派遣が行わ
れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
苦労をして、任務をこなしてきたか、25人の自衛
官のリアルな体験記です。
https://amzn.to/38gvhr1
----------------------------------
ご意見・ご感想はコチラから
↓
https://okigunnji.com/url/7
───────────────────────
桜林美佐の「美佐日記」(139)
「日本人は冷たかった」と言われないために
桜林美佐(防衛問題研究家)
───────────────────────
おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年8月の今回
は139回目となります。
アフガニスタンの状況がこれを書いている現時点で
最悪なものとなっています。カブール空港付近でI
Sによるものとみられる自爆テロが起き、多くの死
傷者が出ました。
9.11の悲劇から20年、幾多の血を流したアフ
ガンとの関わりにやっと終止符を打というとしてい
た時に、戦闘ではなく、現地の人を助けるために空
港警備を行っていた米軍兵士の皆さんの命が奪われ
たことに胸が張り裂ける思いです。
一方で、これまでもずっと同国内でのテロなどで米
軍人が犠牲になっていたのに、日本ではニュースに
もなっていなかったこと、今回は自衛隊が行ってい
るからこうした報道が大きく出て、また一層感情移
入するのかもしれないと思うと、申し訳ない思いで
いっぱいです。
その自衛隊は、空自のC-130やC-2輸送機、
陸自の中央即応連隊の隊員100人以上が現地に派
遣されています。
これはこれまでの日本ではあり得ないスピーディな
政府の決断で、イラン・イラク戦争の際に、取り残
された邦人をトルコ航空が自国民を後回しにして出
国させてくれたことなど思い起こせば、相対的には
「以前よりマシになった」ということになります。
しかし、実際には遅い動きだと言われてしまうので
す。
また、在アフガン大使館の日本人職員は17日の時
点で、英国機で国外に脱出し、同機の定員に制約が
あったということで、現地人スタッフを置いて来て
しまいました。
自衛隊はその人たちを迎えに行った形です。そして
NPOなどで活動していた邦人もまだ残っていると
みられます。
しかし、タリバンが検問所を設けているために、空
港まで辿り着けない状況になっています。
各国が同じようにぞれぞれの大使館で働いていた現
地スタッフなどの国外退避を試みていますが、難航
しているようです。
これに対して、画期的な動きをしていたのが韓国で
す。
米軍と協力し、綿密な計画を立てて現地職員とその
家族ら378人の脱出を成功させています。
ウェンディ・ルース・シャーマン米国務副長官が提
案したバスでの検問所通過作戦は「ミラクル」と名
付けられました。
「韓国は決して友人を見捨てない」
韓国のこのメッセージ、そして実際にやり遂げた意
志は日本人に突き刺さります。
いえ、突き刺さっていない・・・のかもしれません
。
報道ぶりなど見ても、どうもまだまだ「他人事」と
いう認識が多いように見えます。
日本は、現時点の状況では、最悪の結果を招くこと
になります。
「日本人は冷たかった」
と。
その場合、日本が今乗り出している「クアッド」や
「価値観外交」などという謳い文句は一瞬にして空
虚なものになりかねない。
常にこの日記でも述べていましたが、人道的ではな
い国を世界は冷淡な目で見るでしょう。
イギリスはアフガンに残されている犬や猫たち約2
00匹の退避も認めることを決定したようです。
これは以前にもご紹介した、元イギリス海兵隊員ペ
ン・ファージングさんが従軍兵士の動物たちを保護
するために立ち上げた組織NOWZADの熱心な活動が実
を結んだものです。
カブール陥落を受け、同氏はクラウドファンディン
グを開始し、スタッフらと共に動物を退避させるチ
ャーター機を手配する資金を集めたのです。
ウォレス英国防相は当初、動物のためのチャーター
機運航に否定的だったといいますが、英国内でファ
ージング氏を支持する声が高まり、態度を一変させ
たようです。
これは私たちが目の当たりにしている世界の今の現
実です。
みんな昔は野蛮なことをしたじゃないかとか、そん
な頃から日本は優れていたと、という意見を聞くこ
とがありますが、確かにそういう面は事実でも、今
現在の私たちは「仲間を見捨て」「自分のことしか
考えない」人間であることは紛れもない事実となっ
てしまいます。
しつこく書いてきた「動物福祉」も、「SDGs」につ
いても、単なる感情論ではなく、日本がこれらを軽
くあしらうことでビジネスや安全保障にもいずれ影
響してくる、ということを言いたかったのです。
相手にされなくなるということです。
暗澹たる気持ちの中、米国人の友人(主婦)に国内
の人たちはこのアフガンの様子をどう見ているか、
どんな思いなのか聞いてみました。
これでバイデン大統領に対する批判が高まっている
のではないかと。
すると、非常に文化的違いを感じる答えが返ってき
ました。
アフガンからの難民の人たちが次々に到着する中で、
皆にわかに忙しくなったと。
色々な団体などが支援のために寄付を募り、足りな
い物を調達しなければならないから。
家庭から衣料品、オムツ、食糧などを早急に寄付す
る必要があり、政治的な批判をしている暇がないと
いうことでした。
これを聞いて、恥ずかしい思いでした。
主婦も子供も、こうして行動しているのに比べ、私
たちはただたじろぐだけで、とかく政治批判ばかり
してしまいます。
少なくともアフガンで日本に協力してくれた現地の
人々が今、極めて困難な中にいることに思いを致し
、その全ての人の無事退避を祈り続ける必要を感じ
ます。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございまし
た。皆さんにとって平和な1週間となりますように
。
<おしらせ>
●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
https://amzn.to/2XnvrIy
●YouTubeチャンネルくららで毎週末にアップして
いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
海将に解説をして頂きます!
http://okigunnji.com/url/42/
(さくらばやし・みさ)
桜林さんへのメッセージ、ご意見・ご感想は、
このURLからお知らせください。
↓
https://okigunnji.com/url/7/
【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)
PS
弊マガジンへのご意見、投稿は、投稿者氏名等の個
人情報を伏せたうえで、メルマガ誌上及びメールマ
ガジン「軍事情報」が主催運営するインターネット
上のサービス(携帯サイトを含む)で紹介させて頂
くことがございます。あらかじめご了承ください。
PPS
投稿文の著作権は各投稿者に帰属します。その他す
べての文章・記事の著作権はメールマガジン「軍事
情報」発行人に帰属します。
最後まで読んでくださったあなたに、心から感謝し
ています。
マガジン作りにご協力いただいた各位に、心から感
謝しています。
そして、メルマガを作る機会を与えてくれた祖国
に、心から感謝しています。
ありがとうございました。
●配信停止はこちらから
https://1lejend.com/d.php?t=test&m=example%40example.com
---------------------------------------
発行:
おきらく軍事研究会
(代表・エンリケ航海王子)
メインサイト
https://okigunnji.com/
問い合わせはこちら
https://okigunnji.com/url/7/
Copyright(c) 2000-2021 Gunjijouhou.All rightsreserved.