配信日時 2021/08/23 08:00

【桜林美佐の「美佐日記」(138)】 繰り返すことを恐れない

おはようございます、エンリケです。

今週もどうぞよろしくお願いします!

138回目の美佐日記。

とても他人事とは思えません。

私の経験からも、
他人は、自分の話をほぼまったく聞いてません。
以前言ったことを覚えてくれている人は、
10万人に一人レベルです。

人は自分の話を聞いていない。

どの世界でも共通する不変の真実ですね。
いいも悪いもありません。

文中の桜林さんの「しつこさをめざす」姿勢に
共感し、応援していることだけはお伝えしてお
きます。


桜林さんの不朽の傑作
『誰も語らなかった防衛産業』の文庫版が、
潮書房光人新社から
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ではさっそく、
本日の「美佐日記」をお楽しみください。


エンリケ

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『自衛官が語る海外活動の記録』(桜林美佐監修・
自衛隊家族会編)が発売されています。中東シーレ
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れているこの時期にタイミングを合わせたような出
版です。現地で自衛官たちが何を思い、どのような
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桜林美佐の「美佐日記」(138)

繰り返すことを恐れない

桜林美佐(防衛問題研究家)

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おはようございます。桜林です。「男もすなる日記
といふものを、女もしてみむとてするなり」の『土
佐日記』ならぬ『美佐日記』、令和3年8月の今回
は138回目となります。

 とうとう8月も最終週となりました。福岡から埼
玉に来て約1年、夏の終わりになると、ああ「総火
演」だ「橘祭」だ、「概算要求」だなどと思い起こ
してしまうのは、この世界に染まりすぎ!?なので
しょうか。

 さて、ひと夏ごとに年を重ねていくにつれ、段々
と「しつこい」って言われないようにしなくちゃ!
という気持ちが強くなります。

 そのため「いちど言ったことは言わない」「いち
ど書いたことは書かない」ということを、いつの間
にか意識するようになりました。

 なんとなく、使う言葉についても、別の言い方を
するなど工夫する、そんなことが癖になっていまし
た。だから原稿書くのに時間がかかるんですよねー。

 なので、私の仕事は執筆というより、もうほとん
ど絵描きのようなかんじで、推敲している時は画家
が筆と絵の具を持って簿妙な修正をしているイメー
ジが頭に浮かんでいます(そしてその人はいつもベ
レー帽をかぶっている)。

 ただ、そのベレー帽の人は芸術を追求するあまり、
かんじんなこと(名称や数字など)を見過ごした
りしがちです。

 「字数は1000字」とオーダーされると、1字
も狂わず1000字で収めてみせるのですが、その
ことが「言葉足らず」「説明不足」をしばしば招き
ます。そもそも、そんなに目の色変えて字数に力を
注いだところで、校閲などで変わってしまったりす
るんですけどね・・・。

 そんなふうに「完全な作品」(自分の中では)と
してしまうと、ゲラが戻って来た時には「もう自分
の仕事は終わった」モードになっていて、目がちっ
とも真面目に字を追わない。

 たまに、編集者が修正していたりしても、ちっと
も気づかずスルーしてしまって、後で、ありゃーっ!
ということが起きます。

 この習慣(病気?)は治さなくてはならないと、
真剣に思っております・・・。

 喋る時も同様で、以前にも同じことを言ったなあ
と思うと、なるべくその話題はしないようにしてし
まいます。

 でも、実際、1度話したくらいではみんな覚えて
いないんですよね。

 と、分かっていても、こっちは「前にも話してい
るから、しつこくてはいけない」と気を使って我慢
したのに、相手が全く覚えていないことが分かると、
愕然とし、また、つい怒ったりしてしまいます。

 例えば、私がよく散歩をする途中に馬がいるので
すが、そこの1頭が「ウラヌス」といいます。「ウ
ラヌス」といえば、硫黄島で戦死した西竹一大佐が
1932年のロサンゼルスオリンピック馬術競技で
金メダルを取った時の愛馬の名前です。

 なので「わあ、あの西大佐のウラヌスと同じ名前
だ!」「あのウラヌスはすごく大きかったのに、小
柄だねー」という話を、ここを通る度に何回も口に
していたと、私は思い込んでいました。

 しかし、私がしつこいほど同じ話をしたと思って
いた相手が、ある時「ロス五輪の西大佐が乗った馬
ってウラヌスっていうらしいね」と言うので、私は
ひっくり返るほど衝撃を受けたのでした。

 そして心に決めました。やっぱり、自分が思って
いるほど人は覚えていないし、それが当然なのだか
ら、考え方を変えなくてはいけないと。
 
 あと「何度も言ったはず」というのも妄想で、無
意識に「しつこい」と思われることを避けて、ずっ
と心の中で言っていただけなのかもしれません。

 西大佐やウラヌスをはじめ、英霊のことを思わな
い日などないからです。

 そんなこんなで、気付かされたことがあります。

よく年配の人が「あの人、自分の言ったことをすぐ
忘れて、何度も同じこと言うわ」と、言われたりし
ていますが、あれは、実は忘れているのではなく、
年を重ねることによって「人は私の言ったことなん
か覚えてないのだ」という「気づき」であり、その
結果「しつこい」と言われても繰り返すことが「自
分にとっても周囲にとっても幸せと学習した」こと
による現象なのではないか、と。

 逆説的に言えば、人の話を聞かない若者が、しつ
こいおじさんおばさんを作ってしまったのです。

 いずれにしても、目下、私の目標は「繰り返すこ
とを恐れない」です。

 こうやって、また一人、しつこいおばさんが生ま
れる・・・のでしょうか。
     
 今日も最後まで読んで頂きありがとうございまし
た。皆さんにとって素敵な1週間となりますように!


<おしらせ>
●月刊誌『丸』にて「誰も知らないニッポンの防衛産
業」連載中です。コツコツ書いてまいります!
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●会員制月刊誌『テーミス』で連載中の自衛隊ルポ
は、来月は休載します。
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いる「国防ニュース最前線」、今週も伊藤俊幸・元
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(さくらばやし・みさ)



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【著者紹介】
桜林美佐(さくらばやし・みさ)
昭和45年、東京生まれ。日本大学芸術学部卒。フ
リーアナウンサー、ディレクターとしてテレビ番組を
制作。その後、国防問題などを中心に取材・執筆。
著書に『奇跡の船「宗谷」─昭和を走り続けた海の
守り神』『海をひらく─知られざる掃海部隊』『誰
も語らなかった防衛産業[改訂版]』『武器輸出だ
けでは防衛産業は守れない』『防衛産業と自衛隊』
(いずれも並木書房)、『終わらないラブレター─
祖父母たちが語る「もうひとつの戦争体験」』(P
HP研究所)、『日本に自衛隊がいてよかった』(産
経新聞出版)、『ありがとう、金剛丸─星になった
小さな自衛隊員』(ワニブックス)。月刊「テーミ
ス」に『自衛隊密着ルポ』を連載中。新刊『誰も語
らなかったニッポンの防衛産業』(産経NF文庫)



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