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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊した即応
予備自衛官でもあります。
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こんにちは。エンリケです。
加藤さんが翻訳した武器本シリーズ最新刊が
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さっそくどうぞ
エンリケ
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加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編 Takashi Kato
中国の核軍備増強(3)
中共の核野心
加藤喬(元米陸軍大尉)
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□「ブレーキを踏みながらアクセル全開」という違
和感
今月6日、米国のブリンケン国務長官が「急拡大
する中国の核戦力」に深い憂慮を表明。また中国に
南シナ海での挑発行為を止めるよう求めると同時に
、チベットや香港、新疆ウイグル自治区における人
権侵害にも懸念を示しました。
3日後には訪米中の秋葉安全保障局長と会談し「
台湾の平和と安定維持」で合意。席上、中国による
沖縄や尖閣諸島周辺海域の「力による現状変更」に
反対する秋葉局長に、ブリンケン長官は日米同盟強
化を確約したと言います。
ブリンケン氏は自身ユダヤ系であり、義父はナチ
スドイツによるユダヤ人大量殺戮(ホロコースト)
から生還した人です。したがって、強権国家や人権
侵害を厭わぬ独裁政権に対しては毅然と対峙します
。日本にとって、頼もしい盟邦アメリカの重鎮とい
えます。
同9日、オースティン国防長官は軍人への武漢ウ
イルス・ワクチン接種の義務化を表明。同日ミリー
統合参謀本部議長も「我々は祖国のために共に戦う
者だ。仲間の健康と安全には責任を持たなくてはな
らず、武漢ウイルスからお互いを守る最善の防御は
ワクチン接種だ」とする手紙を全軍宛に送付してい
ます。
ちなみに1991年の湾岸派遣に際し、私も数種
類のワクチンをカクテルにした予防接種を「身を守
る手段」として躊躇なく受けました。軍人は国防の
第一線に立つわけですから常に最良の健康状態にあ
ることが必要で、武漢ウイルス・ワクチン接種は当
然のことだと思います。
これらの言動から分かるのは、アメリカが中国を
地政学的な最大の脅威として捉えていること、そし
て、中国発パンデミックの最中(さなか)、国防力
維持に本腰を入れている事実です。
表層ではバイデン大統領の政権運営と同盟関係修
復が円滑に進んでいるように見えます。しかし・・
・これまでの経緯を踏まえると、どこかしら辻褄が
合わない気がしてなりません。言ってみれば、そう
、「ブレーキを踏みながらアクセルを全開にしてい
る」ような頓珍漢な印象を受けます。
以前から触れてきましたが、バイデン最高司令官
と国防トップらが米軍内に拡散させているクリティ
カル・レース・セオリー(CRT)は、元々は19
70年代から大学で教えられてきた社会学理論。「
奴隷制度の上に建国されたアメリカは本質的に差別
国家で、社会のあらゆる分野には組織的差別が組み
込まれている」と主張するものです。
CRTが象牙の塔から飛び出すきっかけになった
のが、ニューヨーク・タイムズ紙の「1619プロ
ジェクト」。ニューイングランドの植民地に奴隷第
一陣が連れて来られてから400年を境に建国史を
見直すイベントでした。同プロジェクトをもとに、
「制度的差別国家アメリカ」を説くカリキュラムが
全米の幼稚園から高校までの教育現場に浸透し、全
米最大の教員組合も社会潮流に迎合しCRT支持に
回った経緯があります。
反差別主義の仮面をまとったCRTが教育、出版
、マスコミ、大手企業、エンタメなどの各分野に浸
潤しきった2020年、ミネアポリス市でジョージ
・フロイド氏殺人事件が発生。アメリカ社会の内部
崩壊は決定的になりました。警察解体を叫ぶ暴徒が
全米の大都市を連日跋扈(ばっこ)、破壊の限りを
尽くす様子が全世界を震撼させましたが、その裏面
では、機会均等を含む米国の伝統、価値観、国体、
社会制度そして自由競争に基づく資本主義、つまり
、米国そのものをゼロから作り直す反米運動が形成
されていったのです。
「革命」を目指すCRTがマルクス主義の本性を見
せた訳ですが、「階級」の代わりに「人種」「性別
」「性的指向」を闘争の舞台とした点がいかにもア
メリカで、まさに歴史の皮肉でした。
CRTによれば「全ての白人は人種差別的抑圧者
で、あらゆる少数派は白人が社会に組み込んだ制度
的差別の被害者」ということになります。この分断
の教義が軍隊に馴染みむはずはありません。
第一線に立つ兵士らにとって、戦友の肌の色や性
的指向など問題ではない。肝心なのは安心して背後
を任せられる人間かどうかだけです。「戦友と指揮
官のためには自らの危険を顧みない」この軍人気質
が士気と呼ばれるもので、全ての強い軍隊に共通し
ています。CRTはこの士気を根こそぎにするもの
です。
ちなみに、士気なき軍隊の好例が昨今のアフガニス
タン政府軍。米軍の訓練を受け米国製兵器で武装し
た正規軍ですが、タリバンの侵攻を前に抵抗もせず
敗走してしまいました。士気を失った兵士らにカブ
ール陥落を防ぐ力はありませんでした。
高い士気を要求すると同時に、将兵間の人種分断
を煽るバイデン最高司令官らの言動・・・この相反
する米軍の現実が「ブレーキを踏みながらアクセル
全開」なる違和感の出処です。バイデン氏らの矛盾
した振る舞いが米軍の戦争遂行能力にいかなる影響
を与えるのか・・・日本の国防を預かる人たちにと
って、その答えは死活的に重要です。
▼中共の核野心
兵器は人が生存をかけて使う道具。生き延びるた
めには相手より優れた武器を持たねばなりません。
兵器開発競争が文明の黎明から今日まで途切れなく
続いているのはこのためです。よく指摘される武器
の効用に「抑止力」(deterrence)があ
ります。刀を抜かずとも相手を委縮させ対峙を防ぐ
「鞘の内の勝ち」の如く、敵に攻撃を思いとどまら
せる圧倒的な破壊力のことです。「平和を望むがゆ
えに兵器を手放せない」。人類が陥って久しいこの
ジレンマの裏面が「抑止力」なのです。
「加藤大尉の軍隊式英会話:兵器編」では、それぞ
れの武器が持つ抑止力に着目。兵器と平和の関係を
考えていくことにします。
「中国の核軍備増強」の最終回です。巻頭言でも触
れましたが、一連のサイロ増築の事実を念頭にブリ
ンケン米国務長官は「急拡大する中国の核戦力は憂
慮すべき」と公式発言しています。では、核戦力増
強に舵を切った中共の真意はどこにあるのでしょう
か?
先週引用した米国科学者連盟(FAS)やジェーム
ズ・マーティン核不拡散研究所の試算では、中国人
民解放軍ロケット軍は早晩250基のICBMサイ
ロを運用することになります。このうち230を占
める新規サイロは東風-41大陸間弾道弾(DF-
41 ICBM)用と考えられます。2017年か
ら配備が始まったDF-41は米本土を射程に収め
るだけでなく、それぞれ10〜12発の核弾頭を搭
載する能力があります。
仮にすべての新規サイロにDF-41を収納すれば
、即戦力となる配備核弾頭数は2300発に達し米
露の配備数を上回ります。もっとも中共の現有核弾
頭数が300発強ですから、この数字はやや現実味
を欠いています。
より可能性が高いのは、少数のミサイルを多くのサ
イロの間で移動させミサイルの位置特定を避けるシ
ナリオです。中共がこの戦略をとる場合、現在の2
倍程度の配備数が必要になると推定されます。核報
復能力では米露に及ばないものの、日本や台湾に対
する脅威は格段に高くなりましょう。
バイデン大統領がプーチン大統領と習近平国家主席
を核軍縮交渉に招く理由は核抑止力バランスの維持
にあります。中共が核備蓄を大幅に増やしたり、ロ
シアが核搭載極超音速ミサイルや無人魚雷を本格配
備したりすれば、脆弱な核抑止の枠組みが壊れてし
まうからです。
しかし現在までのところ、習氏は「米露に比べれば
中国の各配備数は微々たるもの」として交渉参加を
拒み続けています。米ロに匹敵する核戦力を備える
までは、いかなる軍縮条約にも縛られたくないとい
うのが本音でしょう。日本の政治家諸氏は中共の「
核野心」を読み違えてはいけません。
(本エピソードは3:45から始まります)
基本語彙(カタカナ表記は大雑把なものです)
Resist(レジスト)抵抗する 抗う
Arms-control talk(アームス・
コントロール・トーク)軍縮交渉
the Pentagon(ペンタゴン)米国防総
省
シナリオ(カウンターを7:18に合わせてくださ
い)
Beijing has resisted c
alls to join new arms-c
ontrol talks. (中国政府は新たな
軍備削減交渉への参加要請を断り続けている)
This discovery follows
recent warnings by Peng
agon officials about th
e rapid progress in Chi
na’s nuclear capacity.(
米国防総省当局者が中国核戦力の急拡大に警告を発
してから時を経ずして、新サイロが発見された)
教材ビデオ:
#China building more than 100 new silos for #
ICBMs ! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UyEghN61TYg&list=PLk2kWhtlkeERNmHhjjwD0qbox5r9ZGvvh&index=186
(今回のエピソードは最後まで続きます)
英語一言アドバイス:
the Pentagonは米国防総省を指します
。世界最大のオフィス・ビルといわれ、その五角形
の形状からペンタゴンと呼ばれるようになりました
。
発音サイト:
the Pentagonの発音
How to pronounce the Pentagon | HowToPronounce.com
https://www.howtopronounce.com/the-pentagon
参考サイト:
東風-41固体燃料式ICBM
DF-41 (ミサイル) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/DF-41_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
(かとう・たかし)
●著者略歴
加藤喬(かとう・たかし)
元米陸軍大尉。都立新宿高校卒業後、1979年に渡米。
アラスカ州立大学フェアバンクス校他で学ぶ。88年
空挺学校を卒業。
91年湾岸戦争「砂漠の嵐」作戦に参加。米国防総省
外国語学校日本語学部准教授(2014年7月退官)。
著訳書に第3回開高健賞奨励賞受賞作の『LT―あ
る“日本製”米軍将校の青春』(TBSブリタニカ)、
『名誉除隊』『加藤大尉の英語ブートキャンプ』
『レックス 戦場をかける犬』『チューズデーに逢う
まで』『ガントリビア99─知られざる銃器と弾薬』
『M16ライフル』『AK―47ライフル』『MP5サブ
マシンガン』『ミニミ機関銃』『MP38/40
サブマシンガン(近刊)』(いずれも並木書房)
がある。
追記
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『チューズデーに逢うまで』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063326X
『チューズデーに逢うまで』関係の夕刊フジ
電子版記事(桜林美佐氏):
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150617/plt1506170830002-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20150624/plt1506240830003-n1.htm
『レックス 戦場をかける犬』発売中
http://www.amazon.co.jp/dp/489063309X
『レックス 戦場をかける犬』の書評です
http://honz.jp/33320
オランダの「介護犬」を扱ったテレビコマーシャル。
チューズデー同様、戦場で心の傷を負った兵士を助ける様子が
見事に描かれています。
ナレーションは「介護犬は目が見えない人々だけではなく、
見すぎてしまった兵士たちも助けているのです」
http://www.youtube.com/watch?v=cziqmGdN4n8&feature=share
きょうの記事への感想はこちらから
⇒
https://okigunnji.com/url/7/
ブックレビューの投稿はこちらから
http://okigunnji.com/url/73/
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日本語でも英語でも、日常使う言葉の他に様々な専
門用語があります。
軍事用語もそのひとつ。例えば、軍事知識のない日
本人が自衛隊のブリーフィングに出たとしましょう。
「我が部隊は1300時に米軍と超越交代 (passage of
lines) を行う」とか「我がほう戦車部隊は射撃後、
超信地旋回 (pivot turn) を行って離脱する」と言
われても意味が判然としないでしょう。
同様に軍隊英語では「もう一度言ってください」
は "Repeat" ではなく "Say again" です。な
ぜなら前者は砲兵隊に「再砲撃」を要請するときに
使う言葉だからです。
兵科によっても言葉が変ってきます。陸軍や空軍
では建物の「階」は日常会話と同じく "floor"です
が、海軍では船にちなんで "deck"と呼びます。
また軍隊で 「食堂」は "mess hall"、「トイレ」
は "latrine"、「野営・キャンプする」は "to bivouac"
と表現します。
『軍隊式英会話』ではこのような単語や表現を取
りあげ、軍事用語理解の一助になることを目指して
います。
加藤 喬
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